呼び声
___【
___【确认用户的未知连接】
__【确认病毒检测※※※※※※※※※※】
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【叛徒】
【你从我的另一个自我中抢走的东西】
【给我那个灵魂】_____
【否则,您将继续受到永恒创建的
幻想堡垒的束缚】
_______※※※※※※
目が覚めたと思えば、夢の中にいた。
暗く冷たい、狭くて身動きがとれない。寒い。閉じ込められてる。
ここは一体どこなのかと辺りを見回しても、暗闇で何も見えなかった。夢だ、ただの夢だ。そう自分に言い聞かせる。
骨まで通るような寒さと、この世の何処とは分からない暗闇で、膝を丸めて、ただ、待つ。
この暗闇に、目が慣れるまで。
…………コッ………コッ………
微かに聞こえてくる、石を叩くような音が。俺の頭上から。
叩く音の大きさは増していく。
小突くような音が、頭蓋骨に響く野太い音に変わり、一筋の光が差した。
たった一筋差しただけの光がこんなにも慰めになるとは知らず、俺は光の眩しさに真っ白になっていく。
【
誰だ?
【
なんで俺の名前を知ってる?
___「ねぇ、ヤス。写真ほとんどダメだったんだって?……ヤス?」
…!!
気がつくと、目の前に灰色の眼をしたルイの顔があった。
「…あれーもしかして、今寝てたの?」
…寝てた、のか?なんだよ、今の。
「頬杖ついたまま目が閉じてたね。疲れてる?」
そうか…悪い。座りながら眠ってたのか。
なんか、現実味のある夢だったが………夢で良かったと分からないように深呼吸する。
今日の撮影は、玄関市場だ。
買い物ついでにルイに付き合ってもらい、露店で商売している人間や遊び回る子供…の姿をなるべく写さないように、許可を得てカメラに収めてた、面白くもない仕事。
何か頼んだか?
「ナポリタン二つね。後、コーヒーとお茶」
コーヒーは嫌いか?
「嫌いじゃないけど、あんまり飲まないかな」
当たり障りない写真ばかりだと、流石に飽きてくる。
そもそも俺は修行中の身で、この薄暗い場所で撮るのは、なかなかハードルが高い。
目の前で砂糖も何も入れていないコーヒーを飲む俺の手前、右目にかかった髪の奥の灰色の目のルイがテーブルに置いてあった占いのおもちゃを弄っていた。
百円で簡単に占える物。自分の星座の絵に合わせてハンドルを回すと、おみくじが出てくる。
硬貨を入れたルイは、出たおみくじの結果を見て「今日はまずまずか」と結果を呟く。
「これでもっとやり易くなると思ったんだけどなー」
これでって、何が?
「学校に行って、サイファ達に紹介したでしょ?学校が始まって、ヤスが一人になっても大丈夫なようにしたかったんだけど」
せっかく撮った写真がほとんどダメってなるのは、お手上げかな。とルイが言う。
平気だ、また別の手を考えるしかないけどな。しかし、サイファ達はそんなに顔が効くのか?
「僕より活発的だから、あちこちに知り合いがいるし。ウズメ君とだって知り合いになれたでしょ?」
印象最悪じゃねーか、あいつは。
「皆にそうなんだよあの子は。責任感強いしね」
ここは子供の方がコネクションには強いとルイは言う。
やっぱりスクールカーストとか言うのと、町内会が幅を利かせているからなのか。
「次は何処に行こう?ちょっと思いきって、銀流街まで行ってみる?」
あ?あそこは昨日騒ぎが起こってたんじゃないか?
「今日はもう平気だよ。ここで起こる事件は、北南よりだいぶマシなのばかりだからね」
そんなに表は治安が悪いのか?
「もっと酷いよ。今は政府と揉めてるし、だいぶピリピリしてるから行かない方がいい。向こうとここはまた別の世界」
昼間はまだマシだと、運ばれてきたナポリタンに一緒に手をつけながらフォークを片手にそう言った。
まだ目新しいことは起きていないが、光明街のあの辺の空気が、ユーハンと来た昼間とは全く違ってた。
煙草じゃない変な臭いと、淫らな格好をした娼婦。酔っぱらいと明らかに正気じゃ無さそうな奴が、ウジャウジャとあの劇場の周りも、そいつらで染まっていた。
「ヤス?もうナポリタン来てるけど食べないの?」
フォークも持たずにボーッとしてる俺を見かねてルイがまた声をかけてきた。
此処で昨日の帰りの事を聞いてみようとしたが、なんとなく言ってはいけない気がして、別に。とナポリタンに手をつけた。
「あの…ヤス」
呟いた一言に、再び顔をあげてルイの顔を見た。
何だよ?
「………うん。ヤスの星座教えて貰おうかなって」
灰色の目でじっと無言で見つめた後、再び手にかけた占いの玩具に硬貨を入れた。
星座?俺はいいよ、そんなの。占いなんてくだらねーし。
「良いじゃん。もうお金入れちゃったしせっかくだから」
なんで入れちゃうんだよ先に。…別にいいけど。さそり座。
「さそり座ね」
占い玩具の側面に描かれたさそり座のマークに合わせ、ハンドルを回す。
回って小さな紙がポロッとルイの手に落ち、紙を広げた。
「うんうん」
どうだった?
「最悪だって」
躊躇なしに即答で結果が帰ってきた。
「ここの占い機は、中身が日によって変わるんだ。マスターが占師で。今日は最悪だって」
ペラッと紙を机の上に置かれる。
読めるか読めないかほどの小さい神の上に、漢字ばかりびっしりと詰まっている。
「ここ、結構当たるんだよね」
やめろ。たかが占いだろ。
「されど占い。ここの占いで最悪の結果が出て不幸な目にあった人、三人知ってる。一人はサイファ、真上で下水管が破裂して汚物まみれになってた」
汚ねぇ。
「次はユーハン。水商売カップルの喧嘩に巻き込まれて、上腕とあばら骨二本骨折」
何があった。
「そして最後が僕」
お前かよ。
「カレンと喧嘩して仲直りしようとしたら、関節技と背負い投げ決められた」
弱っ。
「このように不幸は立て続けに起こりました。なんかあったら教えてね」
言わねーよ。なんで笑顔なんだよお前。
…不吉だ。たかが占いだろと信じちゃいないが…。
___
「聞いたか?銀流街の騒動、
_「あいつらはもういない。俺は
_「それが両方と関係があるらしい。ったく、イギリスのせいで政府がでしゃばって来てやがるのに余計な騒ぎを起こして、得体の知れねぇ上に迷惑な連中だ!」
____
いつも人通りのない狭い道、夜は一層静かに思う。
フィルムとカメラを収めたバッグだけを持ち、煙草を吸いながら向かうと、玄関市場の明かりと喧騒に包まれた灰色の世界の中に、橋の下を座って見下ろす横顔が煙の中に見えた。
格子の外に足を出し、猫背になって玄関市場を見下ろして、髪が揺れる。電子蛍光灯の光に照らされて。
そんな幻想が見えた。あいつの姿は、煙に混じって消えていく。
海を跨いだ疲れが今出たのか、脳ミソが幻覚を見せた。
誰も座っていない目の前の橋にあのガキが座ってて、帰り道に通り抜けようとする俺に「今日は何も撮れなかったの?」と聞いてきそうな気がしたが、実際は誰もいない。
今度会ったら散歩でもしようと言われたが、今日は…いないか。いや、別に期待してた訳じゃねぇ。むしろ、知りもしねぇ相手とどうこうする気もない。
ただ………そんな気がしたってだけだ。
___【ヤス】
橋を渡ろうとした時だ。
俺の来た道、ちょうど真後ろの向こうから名前を呼ばれた。
はっきりと、誰かに名前を呼ばれて振り向くが、そこには暗い一本道しかない。いや、はっきり呼ばれた。
誰か隠れてるのかと思って引き返し、暗がりの向こうを見る。人の影も形もないし、何かが動いたり足音もない。
……気のせいか?ったく、気味が悪いぜ…。
__【ヤス】
いや、気のせいじゃない。また橋の方に戻ろうとしたら、今度はさっきより近い距離、いや……俺の隣からはっきり聞こえた。
だが、誰もいない。腕を伸ばして誰もいないかちゃんと確認してもだ。誰も…いない。
おいおい、誰の悪戯か?まさか、幽霊とでも言うんじゃなっ………___だっ!?
急に片足を何かに強く引っ張られて思いっきり地面にスッ転んだ。
っ!?なんだ!?おい!!!!
あっという間に俺の足を掴んだ何かが通路の暗闇の中に引きずり込み、玄関市場の喧騒が遠ざかっていく。
俺の名前を呼んだ何かか、姿の見えないものは、俺の片足を強い力に任せて引き込む。
服と背中をコンクリの地面に削られながら、暗闇に紛れた何かが、何処かに引き込もうとしている!!
クソッ!離せっ!!!
叫んで暴れて引き剥がそうとしたが、仰向けで引きずられてる状態で足を掴む何かを振りほどくのは難しく、時々障害物に問答無用で叩きつけられながら、地面を引き摺られていく。
電灯がないうねった通路を、そいつは人間じゃ考えられないスピードで……。
__いや、待て、人間じゃ考えられない?冗談だろ。
男一人引っ掴んでここまでのスピードで引きずってく人間が、いるかっ!?
あり得ない。俺の体重は軽くとも60はある。それを全速力でしばらく引きずり続けてくのにはかなりの労力だ。
だが現実問題、何かに引きずられてるんだ、俺は!!
離せ!!離せってんだよ!!くそっが!!
このまま黙って引きずられてく訳にもいかねぇ。俺の腹の上に乗った重みに気づいてカメラを咄嗟に掴んだ。
片足で何かを蹴り続けながら、脅かすようにそれにカメラを向ける。
脅かすためとか、姿をフラッシュの光で確認してやろうと、そんなことを考えた末の行動だった。
__狙いもつけず乱雑にシャッターを押したことで、まぶしいフラッシュが闇に向かって放たれる。
その一瞬、俺の足を掴んでた何かの正体が一瞬見えた。
黒い触手の塊のような何かが、光に驚いてパッと俺を離し、闇に溶けて消えたのを。
その場に放置された俺は、すぐに消えて行った先を見る。チカチカと、切れかけた蛍光灯が点滅するごとにその通路の向こうの先が見えた。
___エレベーター…?
今じゃ使われていない古いタイプのエレベーターだ。手動で扉を閉めるタイプの。
それが俺を待ち構えてるかのように廊下の先にあったが、あの黒い何かの姿はなかった。
こんなところにエレベーターなんて。しかし、古いエレベーターだな。今時手動なんて、俺がガキの頃にも見なかったぜ。
顔を出そうとすれば鼻がなくなるタイプの引き戸と辛うじて電力が来てる証拠の電球。エレベーターガールなんてもんはいない。俺をここに引き込んだ、何かの影も。
「こんなところで何してんの?」
うわっ!!?……ってなんだ、お前か。
急に後ろから声をかけられて振り向くと、そこにはいつも玄関市場の橋の上にいる足の長い女がいた。
中国系とは思えない顔立ちに、アーモンド形でぱっちりしてるが、やる気の無さそうな目。チョーカーの首飾りがチリンッと鳴った。
ブルゾンのアウターのポケットに手を突っ込み、短パンから晒した足とスニーカーを踏み出して、影の中から俺の前に現れる。
「迷子?」
ちげーよ。なんか、変なのに引っ張られて…。
……変なの?って何?って具合に首を傾けられる。俺も知らない。でも確かにそれはいた。エレベーターで行き止まりなのに、それは何処にもいないが。
「
シュンハイ?シュンハイって、地下に住んでるって奴等か?
「噂ぐらいは聞いた?あいつらは、九龍城砦の地下に住んでる。あれがその入り口」
滅多にこっちの人間と向こう側が交わることはない、特殊な場所。あのエレベーターも、普段使用禁止なんだとヨミは言った。
「でも、これからどうせ用事あるし。頼みたいことがあるから、一緒に来てよ」
一緒にって、何処にだよ?
「地下に」
プラプラと白い指がエレベーターを指す。
いや、待てよ。ルイはあまり関わるとこじゃないって言ってたし、不法入国者の隠れ家なんて、カメラ持って入ったら面倒なことになるのがまるわかりだ!
「不法入国者?…まぁそんなのは確かにいるけど、この地下にいるのはそんなんじゃないし」
ヨミが俺の話を聞いて眉を潜めて言った。だって俺はそう聞いたぞ。じゃあ何だって言うんだ?
「んー……地底人?いや………異世界人?」
……何?
「この下も九龍だけど、こっちとは別の次元に、繋がってると言うかね??…説明めんどくさいんだけど、行ってみたら分かるから」
はい、行こう。……じゃねぇ!!なんだそれ!??ふざけてんのか!?
「だから、説明面倒だから見せてあげるっていってんじゃん。ここで会ったのも、何かのお導きだと思って」
ヨミが俺の腕を引っ張り、エレベーターへ連れていこうとした背後に、あの黒い何かが霞んで見えた。
見間違いかと思ったが、僅かにゾゾゾッと地面から這い出た何かは、ビデオや映像に走るノイズのようなエフェクトを走らせ、また消える。
異様な気配。あの黒い何かが出た瞬間、すべての電灯がチカチカと点滅し、配線を混濁させた。
なんだ、今の一瞬の、違和感は…?
「…あんた、感じるんだね」
ヨミは俺の腕をギュッと握りながら、首から下げた一眼レフのカメラをじっと見つめた後、再び俺の顔を見上げる。
「来て」
不気味にも思える笑みを浮かべた。
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