誰かに憧れて
@Sumaphonekentyan
第1話
大学の頃の男友達から連絡があった。
何も出来なかった淡い恋の響きがした。
他愛もない会話なのに。
私の友達は砂のようだった。
もう自慢話で固めたウソで人は寄ってこない。
そっと相槌を発する事しかできなかった。
叩けばポロポロ崩れそうだから。
私の友達は祭の風船のようだった。
カラフルな姿で
見えない夜道を明るく照らす。
別れ際には、暗くて果てしない空へ
また次の祭りに遊ぼうなと言い残し、
白くて寂しい空気を吹かしながら
灯りの届かない方へ萎んでいく。
大学の頃の友達から連絡があった。
1ヶ月も経たないうちに連絡をよこすとは珍しい。
でも、声は若い女性のようだった。
あいつ好みのかわいらしい声だった。
かすれた声と鼻をすする音しか聞き取れなかった。
その声を境に、もう友達からはかかってこなかった。
私の友達は、砂漠のようだった。
口を開けて眠っていた。
近づこうとしてもなかなか近寄れない。
砂がサラサラと涙に変わりそうだから。
砂になった友達は、広い海へ流してあげた。
味わった事がない広い景色を見せてあげるために。
今は、気軽に立ち寄れない砂浜に身をひそめ、夕日の懐かしさを浴びている。
自分に似た子どもを眺めながら
誰かに憧れて @Sumaphonekentyan
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