第67話 花桜梨〈かおり〉
プロジェクトのメンバーは
生涯愛すると宣言した相手への裏切りの様な後ろめたさから、表紙をめくる事が出来ないままであった。
幼い
義母である
思い悩むことは多かったが会社の業務に影響する事はなかった。
普段通り業務を滞らせる事なく進めている。
年齢を積み重ねた為、精神的に成長したのか、諦めに慣れたのか
周りの目からは、
昼食時、
多少めんどくさくなっていたが、真実を打ち明け変な誤解を生む前に他者と話すのはいい機会かもしれない。
まあ、相手が勉強はできるが馬鹿の
ほぼ食事を終えると、
話がこじれるのも時間がもったいないので、
「
「
「そーです! なぜ
「
「だが、話していい事と悪い事がある、今から私が話していいと判断した事を淡々と話すから、口を挟まないでくれ、そして話したことは
「わかりました・・・お約束します。」
「実は
「一人暮らしをしていてね、その母が心配でこの間実家に帰省してたんだ。」
「病名までは言えないが、結構深刻らしくてね・・・。」
「
その理由を聞きたかったが、話しが長くなりそうなので後回しにする事にした。
「そういった理由もあってね、
「次に私と
最初の警告が効いているのだろう、非常に話しやすい。
「前にも言ったが私と
「私は
「
「いつも一緒だったのは、
「現に今、
「結局私は
「話せることは以上だ・・・。」
相手が
蕎麦屋を後にし、帰社しながら
「僕は
「そんな訳ないだろ、こんなおっさんだぞ?」
「実際、
「
「そんなことある訳ないだろ!
「私と
表情は笑っていたが、気持ちは気落ちしていた。
「話は変わりますが、
「もちろん、退職が確定って事は誰にも言いませんよ?」
「僕は
おそらく
一般的には退職願を提出して一か月後位で退社する。
改めて
汚れている表紙を眺めていると文字の様なものがある事に気付いた。
文字というより記号の様な感じだ。
まるで幼児が文字の練習をしているかの様な文字だった。
鉛筆で書かれて消えて行ったような文字・・・。
(私・・・のことはわすれてれて・・・)
(しあわせに・・・。)
死の直前、意識を失う前に書かれた最後のメッセージだったのだろう。
そしてそのメッセージの相手は、
−私のことはわすれてしあわせに−
娘の
母親なら娘に忘れてほしくなどない筈だ。
そんな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます