第66話 謝罪〈しゃざい〉
五日間の帰省を終え
自宅の部屋に近づくと
人影の正体は
手には
帰京してそのまま
「
五日ぶりに見る
「ただいま、おじさん・・・。」
帰郷した疲れが残っているのだろうか?
「おじさん・・・大事なお話があるの・・・。」
部屋に入った
妙に余所余所しい。
帰省の理由か帰郷して何かがあった事が安に想像できた。
その件に触れて良いのか迷っては居たが、目の前の
「
決して好奇心からではない。
真に
まるで固まって居るかの様に、そして何かを考えている様に・・・。
暫くの間、沈黙が続いた。
「ごめんね、おじさん・・・伝えないといけない事ちゃんと整理していたのだけど、おじさん目の前にしたら何伝えていいか、わかんなくなっちゃった・・・。」
気持ちはすごく解る。
いざ言いたい事を考えていても、対象の相手を目の前にしたら当初思考していた内容が頭から飛んでしまう。
あえて黙っていたのが逆に緊張を煽ってしまったのだろうか?
「
「おじさんは
「うん・・・だったら結論を次々に言っちゃうね・・・。」
理由なんて後から問えばいい、先ずは話を聞いてやる事だ。
「わかったよ、理由は後から聞くから思っている事を素直に話してくれたらいいよ。」
大事な話があると言った
「おじさん・・・今までごめんなさい!」
いきなりの謝罪から始まっていた。
正直意味が解らなかったが、
「ずっとおじさんに、付きまとって・・・おじさんの迷惑も考えず・・・わたしすごく自分勝手だったと思う・・・。」
正直、
だが、今はどうだ?
周りを気にしなければどうって事の無い事に気付かされただけだった。
その事に気付いた後は、
「だからね・・・だから・・・。」
「これ以上、おじさんに付きまとうのは止める・・・。」
「今まで私がおじさんに対して見せていた好意も全て忘れて!」
何かあるのは考えずとも明らかだった。
今まで見せていた好意を否定するような事を言っている。
「もうおじさんに、これ以上付きまとわないから・・・。」
「わたしの事は忘れてほしいの・・・。」
生前の
あの時の
あの時の
最後まで
「
「
「前に似た様な事を言ったけど、
一瞬、
「やっぱり、おじさんには隠し事は出来ないね・・・。」
「全部正直に話すよ・・・。」
「ああっ、なんでも話してスッキリしちまえばいい。」
やがて
「実はわたしの伯母さんが入院したの・・・。」
「二階から階段で降りている時バランスを崩して、頭を強く打っちゃったの・・・。」
「そのまま意識がなくなったらしくて・・・おばさん一人暮らしだから、発見が遅れちゃって・・・・。」
「玄関に鍵を閉めてなかったのが幸いして近所の人が見つけてくれたのだけど、そのまま入院で即手術・・・。」
「頭を強く打っていた為、頭の中にいっぱい血が貯まっちゃってね・・・。」
入社して一年に満たない
義母である
頭を強く打って内出血、おそらく、くも膜下出血か何かだろう。
「
ことばの詰まってしまっている
思わず
「手術は成功したけど、今後後遺症が残るらしいの・・・。」
「今も手足がしびれているみたい・・・。」
今、一言気遣いの言葉をかければ、
「伯母さんは・・・伯母さんにとって、あの家は思い出が多くて絶対に離れたくないと思うの・・・。」
「でも、一人で暮らしていたら、また今回みたいになったちゃうかもって、わたし心配になって・・・。」
一人暮らしの義母が心配で故郷に帰るとでも言うのだろうか?
だが、あの
「
「ごめん・・・なさい・・・・・・ごめんね、おじさん・・・。」
だが
交際していた訳でもないが
歳をとり、以前の様に感情的にはなれなくなっていた。
受け取りを拒否したが
今の
願わくば、
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