第65話 過去と未来〈かことみらい〉
正直、料理など全く出来ない。
ましてや、食材の栄養価など考えた事すらない。
体調も良くなっている気がする。
疲れが昔ほど感じられなくなっていたのだ。
毎日、
あの弁当箱の中身は
昼休憩の時間も物足りなさを感じた。
業務が終了し帰宅する際も違和感しかなかった。
シフトの都合で昼を一緒に出来なかった時も、弁当箱を回収していく。
その際、サンドイッチなどの軽食を
勿論、
残業の必要が無い際は、当然の様に
それも理由の一つだろう。
以前から気付いていたが、あえて自分自身で気付かないフリをしてきたが、今の状況ではそのフリが出来なくなっている。
それはあきらかに、以前とは違う感情で
だが普通に考えれば、
三十年以上も一人の女性を一途に愛し続ける、こう言えば聞こえは良いかもしれないがこんな例は殆どないだろう。
結婚する事も無く、深い関係でも無かった今は故人となった女性を思い続ける・・・。
そして、その女性である
ある程度は理解していた。
そこまで鈍感ではない。
だが、
思い出に浸る時はとても心地よい気分だった。
過去にしがみついていた結果、会社での立場は悪くなり
そんな事は
今の
会社での立場も若かりし日の様に取り戻しつつある。
仕事に対しての意欲もある。
人間関係だって改善している。
現在の
いつからこうなったのか?
役員となっていた
確かに
だが
私を支えてくれたのは・・・。
もう答えは出ていた。
そしてそれを否定する事は出来なくなっていた。
評判の悪い冴えない中年社員の
確かに最初は周りから好奇な目で見られていた。
外見が変わると人の印象も変わる。
そして
恩師と言っても良い
しかしながら情熱があっても体は確実に衰えていた。
無理がたたり倒れた際に支えてくれたのは・・・。
過去ばかりに囚われていた
過去を忘れる訳では無い。
過去の教訓、過去の思い出、大事な物ばかりだ。
だが生きている人間にとっては未来は確実にやってくる。
それから逃げていく事など出来ない。
それに向き合う事を否定していた頃は最低な評価しかない得られていなかった社員だった。
そう考えると
それに向き合えるようにしてくれたのは・・・。
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