第63話 少女〈しょうじょ〉
この家にはもう一人住人が居る。
最後に姿を見たのは五歳の頃、
あれから七年時が経っていた。
最愛の
何年も会っていなかった為、説得力はないであろうが自分にとっても娘の様な存在の
その
当然、二つ返事で了承する。
伯父である
なるべく
成長した
その時の
想像通りの反応だったのだろう。
「
「あんたが小さかった頃、東京へ行った
「お久しぶりです。おじさん・・・。」
「本当、久しぶりだね・・・、すごくきれ・・・いや大きくなったね・・・。」
言葉は整理して発言するべきである。
小学生の子供に何を口走ろうとしたのか・・・。
「元気だったかい? 今何年生になったのかな?」
こんな時に元気な筈はない・・・。
全く子供相手に何て無粋な言葉なのだろう・・・。
「元気でした・・・今は五年生です・・・。」
あれだけ懐いていてくれた
少し寂しい気分になっていた。
「センパイ、すみませんね・・・この子、照れてる様ですね。」
「伯母さん!」
先程の
「だって本当だろ? 伯父さん亡くなってずっとメソメソ泣いていたあんたが、
どうやら
むしろ
「おばさんのバカ! わたしは子供じゃないもん!」
「後、四年経てば結婚だって出来るもん!」
茉莉は猫をかぶっていた様である。
どうやら
「十六で結婚!?」
「現実的じゃないね! だからあんたは子供なんだよ!」
「あーっ! また子供って言った!」
「おじさんの前でそんな事言わないでよ!」
売り言葉に買い言葉である。
何故、
「あの・・・こんな時、親子喧嘩は良くないよ・・・。」
「
二人の口論がとまっていた。
「すみませんセンパイ、センパイには話してませんでしたね?」
「あたしらは決め事をしたんですよ。」
「泣くのは昨日までってね。」
「あたしらがいつまでもメソメソしていたら、
「だから普段通りに振舞おうって・・・。」
「あたしらの口論なんていつもの事だったし、別にそれが原因で不仲になってるわけではないし、
成程、そういう発想もあるのかと変に納得させられていた。
確かに、普段通りの生活をしていく事が、
「でもね、我慢できない時は我慢しなくてもいいって事も決めているんです。」
「我慢できなくてもペナルティー無しって事で。」
ルールは決めたけど強制はしない。
夫と伯父の死という現実に無理に耐えなくてもいい、実にアバウトで救いようのある決め事だ。
「確かにな・・・周りが落ち込んでいても
「君達の言う通りだ・・・。」
「俺も君たちを見習うとするよ・・・。」
「
しばらくすると
成長はしているが、
ただ、
大人しかった
しかし
短足な自分の足を見て苦笑いせざる得なかった。
通夜と葬式を続けて行うようである。
無論、香典返しは受け取らないつもりだった。
だが二人共、次第に涙を拭う動作が頻繁に見られた。
二人で定めた、決め事の我慢しなくて良いという決まりを実施しているのだろう。
休暇が一日しか許可されていなかった為である。
(真司・・・すまないな・・・今度ゆっくり時間が取れる時きっと会いに来るよ・・・。)
(その時は、あの二人の言った様に普段通りに態度で会いに行くから・・・。)
親友の死を十分に弔ってやれない悔しさはあったが、生きているものには生活がある。
明日を生きて行く為に現実に戻らなくてはならない。
そして、この事をネタにして笑い飛ばしてくれる奴だ。
条件はこうだ。
・
・生活費などの支援はしない事。
・支援を受けた事を理由に
・
どうやら最後の条件が
時は平成の真っただ中。
北の赤い国から弾道ミサイルが次々に日本海に着弾、結果として日本国民の国防意識が高まる。
国内では皇室に皇位継承の重要な役割を担う、親王殿下が誕生され不安視されていた未来の皇統への継続に希望をもたらされた。
銀幕では大東亜戦争の硫黄島の戦いを描いた作品が外国人の手によって製作、公開された。
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