第62話 不安〈ふあん〉
休みをもらった一週間、PCによる業務の確認や指示を行っていた。
自宅に居ながら業務を行い的確に指示をし業務を滞らせる事なく復帰を果たしていた。
この件は一週もの期間、休業していたにもかかわらず業務を遂行出来ていた
出社しなくても業務ができる事を
確かにこの方法が主流になれば家賃の高い都会での大規模なオフィスを借りる必要は無くなる。
家賃の安い地方での業務で事足りる。
この現象は現状でも似た様な事例はある。
たとえばコールセンターなどである。
全国区の企業は家賃と人件費の安い地方にコールセンターを置くことが多い。
コールセンターの特性上フリーダイヤルを使用する事なので日本国内にあればどこだろうと問題ない。
これが大企業のオフィスに適用されたらとてつもない経費削減となるだろう。
だが
時間と場所を選ばない事、これは労働環境の改善にもなるが改悪にもつながる。
もう一つは人との交流が希薄になる事、人は信頼関係で纏まる事が出来る生き物である。信頼関係が希薄になれば協力関係は薄くなる。
だがこの件はいずれにせよ改善策の一つとなっていた。
また
だが最近は
その事を知った時、
だが
そう考えると
最近は
最近、
妙に余所余所しい事がある。
何か考え事にふけっている事もある。
その様子を見て心配になり声をかけると元の
明らかに心配をかけたくないのであろう。
その行動が尚更、
何か悩みでもあるのか?
だが、その内容は?
仕事が上手く行っていないのか?
これに関しては杞憂である。
体調でも悪いのか?
そう考えると不安になる・・・。
だが
新入社員は研修期間中に健康診断を受ける事が通例だ。
家庭に入って健康診断を受けていなかった
ならばプライベートでの問題か?
よくよく考えてみたら
良く知っている相手だと思っていたのだが、
以前は娘の様な存在の
自分に好意を寄せてくれている存在に対して
対して
何とも不甲斐ない。
業務が終わり
魚料理が上手いと評判の料理屋だった。
ここへ誘った理由は各席が襖で区切られプライベートな話をしやすい事と食事を箸で食べられるからだ。
二人が食事を完食させた頃、
「
悩みがあるのは明白である。 だがそれに対して力になれるかは解らない。
「おじさん・・・やっぱ気付いてくれてたんだ・・・。」
「ちょっと嬉しいな・・・わたしの事よく見てくれるようになったんだね・・・。」
「そりゃ解るさ・・・。」
「まあ、話したくない事なら追及はしないし、話して楽になる事なら聞くし、おじさんが協力できる事なら協力はするよ。」
「あ・・・、ごめんおじさん・・・。」
「大丈夫! 心配してくれるおじさんの好意が嬉しくて・・・。」
「おじさんありがとね・・・。」
「でもおじさんには今は話せないかな・・・。」
「でも大丈夫だよ!」
「だから心配しないで!」
「おじさんに話せない事なら無理に聞かないし、追及もしないよ。」
「おじさんに遠慮して話せないとか、話をする事でおじさんに迷惑が掛かるって事なら話してほしいな。」
相手を気遣い自分の気持ちを抑え込んでいたあの日の
「そんなんじゃないよ。」
「でもこれは自分で決めなきゃならない事だから・・・。」
「おじさんに話すべきでも、おじさんに頼る事でもないんだよね・・・。」
事情があるのは明確でそれに思い悩んでいる。
だが
「わかった・・・。」
「でも、話したくなったり、協力してほしい事があるなら遠慮なく言ってよ?」
「おじさんだって、
押しつけの善意は良くない。
「まったく・・・おじさんはやさしいな・・・。」
「そんなんだから、わたしおじさんのことますます好きになっちゃうよ・・・。」
「そんな事、こんな公衆の面前で言うもんじゃないよ・・・。」
テレ隠しから出た言葉だった。
「おじさん・・・公衆の面前って・・・周りには誰も居ないけど?」
周りは襖に囲まれたこの席では誰に見られるわけでもないし個室といって良い環境だった。
「まさか、おじさんこの店選んだのって・・・。」
「わたしと変な事をするのが目的だったの?!」
「何でそーなる!」
思わず突っ込みを入れてい待っていた。
これは
「これは、
冷静さを取り繕うのにいっぱいいっぱいだった。
「そーなんだ残念・・・。」
何が残念なんだか・・・。
「でもせっかく、おじさんが整えてくれたこの環境だもんね・・・。」
「有効活用しないと!」
悩み事を打ち明けてくれるのかと一瞬思ってはみたが、甘かった・・・。
「おじさん・・・大好き。」
「あーもういい・・・出るよ!」
最初は
こんな冴えないおっさんだ、冷静になって考えれば後悔しても仕方ないだろう。
だが
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