第54話 告白〈こくはく〉
若い頃は愛する人と一緒になる目的があった為、その人との生活の糧となる仕事に情熱を注いでおり社内でも相当期待される若手だった。
愛する人を失い目標を失った事で仕事への情熱が冷め、
心が情熱を失った後は転落する一方だった。
僅かな期間で得た評価も地の底に落ち現在に至っていた。
まるで人が変わった様に仕事に打ち込む
地の底に落ちていた評価も一変して社内の
これ程仕事の出来る男が何故、今まで悪い評価をされていたのだろう。
元々
が朝食も用意してくれる。
今朝も出社するとランチボックスが置いてありサンドイッチが机に用意されていた。
昼食時も
そう考えると
ふと
入社した頃噂にもなるほどの美女でもある。
そして
何より献身的で
おまけにまだ若い・・・。
いや・・・若すぎるのだ・・・。
結婚を考えても不思議ではない年齢である。
現に
だったら
そして
一度は娘として引き取る覚悟は出来ていたが、
今更親子になれるのだろうか?
そうなれば
極論として
年齢差二十三歳だ・・・。
世間からどう思われるか想像することも出来ない。
それと
他の女を思いながら一緒に生活する事なんてあまりにも
妻?・・・一緒になる?・・・生活する?
(俺はいったい何を考えているんだ・・・。)
以前なら絶対に想像すらしなかった思考に
(疲れているんだな・・・今日は可能なら早めに帰宅しよう・・・。)
早めの帰宅をする事は
こんな考えをしていては気まずくなりそうなものである。
だが
軽く食事を済ませ二人で駅まで歩いていた。
「おじさん、最近毎日忙しそうだったから久しぶりに一緒に帰れてうれしいよ。」
「
「やっぱり、男の人は胃袋をつかむのが効果的なんだね!」
元気に腕に絡みついてきた
「・・・前なら、こうやったら離れろって言われてたもん・・・。」
確かに以前なら人目があるなどと理由を付けて拒否していた。
何故今は
「なぜ
「だっておじさんが大好きだから!」
気軽に好きだと言ってくる・・・。
この様な
「だったらおじさんが
しばらくの間、
やはり
血こそ繋がってはいないが親戚の様な関係なんだろう・・・。
「・・・そう・・・言ってくれるの?・・・」
「本当にそう言ってくれるの?」
「おじさんがそう言ってくれるなら、わたしはいつでもオッケーだよ?」
「わたしはおじさんの事ずっと好きだって言ってたじゃん・・・。」
きっといつもの様にオーバーな照れた仕草を行うものだと思っていた。
「あれはおじさんをからかっているのかと思っていたよ・・・。」
「ひどいな・・・おじさん・・・わたしはおじさんに対して嘘なんてついたことなんてないよ?」
「いつも本音で話をしていたもん・・・。」
確かに
素直な所も彼女の魅力である、だが
「でも、私も悪いよね・・・いつも冗談交じりで言ってたから・・・。」
「だって想いを口に出すのって結構恥ずかしいんだよ? だからそれをごまかす為冗談交じりで話しちゃってたのかな?・・・」
いつも冗談だと思っていた。
からかわれているものだと思っていた。
だが真直ぐに向けられてくる好意は正直心地良くあり、不安でもあった。
「おじさんさー、でも今のって、プロボースとしては落第点だね・・・。」
「私としてはもっと情熱的な言葉でプロポーズしてほしいかな?」
「それにおじさんは、わたしの事まだ一番ではない様だし・・・。」
更に寂しそうな表情になった、
「でもきっと、おじさんにわたしが一番だって言わせて見せる。」
「だからおじさん覚悟しててね・・・。」
お互いに気持ちが通じ合ったあの笑顔だった。
何故かあの時の
瓜二つとはいえ
心境は違うがそっくりな笑顔がそれを証明していた。
だが自分にそんな資格があるのだろうか?
そんな思いが
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