第47話 病魔〈びょうま〉
まだ
だから
もう急かす必要はないのである。
日々生活して行く上で
確実に
9年も待ったんだ、焦る必要はない。
今急いでこの関係を絶対に壊したくない。
最近の
妙に疲れた様な雰囲気をしている。
体調がどうも優れない様である。
だが、これから
仕事を疎かにする訳にはいかない。
家族を支え切ることの出来る立派な大人になると誓っていたのではないか?
それ程給料は高くはない。
花桜梨と一緒になると
だが家族を養うには金が要る。
下卑たる表現ではあるがそれが現実である。
当然、今以上に仕事を頑張る必要があった。
珍しい事もある・・・。
大事な話があるとの事だった。
いよいよこの時が来たかと期待に胸を膨らませ、
河川敷には既に
以前
「
「以前から保留してました、私の返事をここでしようと思います。」
「あの時の私を支えてくれたのは
「そして今生きる事に絶望せずここに居られるのも全て
「しかし貴方の気持ちに応える事は出来ません・・・。」
全く想定して居なかった言葉であり、一番聞きたくない言葉でもあった。
「何故なんだ!」
だが今日はそれが出来ない・・・。
「ごめんなさい・・・。」
「
多少女々しさの混ざった発言ではあったが
だが、今の
ただ泣いているだけだった。
「
「何かあったんだね?」
それが何かは解らない、だが何の理由もなく
「それは言えません・・・。」
だからそれに遠慮して正直に打ち明けてくれないのだろう。
「
「君の返事をまだもらっていないのに、勝手に先走って、実は指輪まで発注しているんだ・・・。」
「君の指に触れた時サイズはどの位かなって想像したりしてね・・・。」
「どこで過ごせば
「俺の中では君はとっくに俺の家族になっているんだよね・・・。」
「だから正直に話してほしい・・・俺は何があってもそれを受け入れるし助けが必要ならば君を助ける・・・いや助けたいんだ・・・。」
「君と
「もう俺にそんな思いはさせないでくれ!」
こんなにも感情的に泣いている
ずっと触れられなかった
「泣き終わったら、もう泣かないで・・・。」
「君の泣き顔は二度と見たくないよ・・・。」
「君が泣いていいのは嬉し涙だけにしておくれよ・・・。」
暫くすると
「貴方にこうされているととても落ち着きます・・・。」
だが離したくなかった。
「貴方には全てお話します・・・。」
「私は最近体調が悪かったことは気付かれていましたよね?」
よく覚えている、
「病院で検査すると・・。」
「癌だと宣告されました・・・。」
目眩がする・・・。
「肺癌だそうです・・・。」
「助かる可能性は半分にも満たないとの事でした・・・。」
何故だ・・・何故なんだ・・・どうして彼女がこんな事に・・・。
まるで彼女の母の様ではないか・・・。
いや、彼女はもっと若い・・・。
あまりにも若すぎる・・・。
だめだ俺がこんなんでは・・・。
戦おう・・・病気と・・・彼女と二人で!
「
「二人で病気に立ち向かおう!」
「何、助かる可能性が半分に満たないって?」
「半分近く助かるって事だろ?」
「なら諦めてはだめだ!」
「
「でもこれは、嬉し涙ですから・・・。」
泣きながら笑顔を見せる
昔見た泣きながらも無理に笑っていた表情ではない。
先程までの
だが今の表情の中には希望すら見える。
実際に闘病をするのは
癌患者の闘病生活はそれは苦しいものだと聞く。
これからの
だが彼女の心が折れない様にそして決して病気に屈しない様に・・・。
彼女を支えられる他人は
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