第2話 往日〈おうじつ〉(2)
人目を憚らず実行したある意味情熱的な告白から翌日、当然ではあるが少年は校内では誰もが知る存在となっていた。
登校時、少年の存在に気付いた生徒達が噂話をしているのに気付いた。
学校へと近づけば近づくほどその数も多くなっていた。
とても不愉快だったが少年はそれをあえて無視していた。
自分にこれだけの好奇の目を向けられているのだから、当然告白した
少年は自身の行った行動によって、一目惚れとはいえ最愛といえる少女を今自身が受けている境遇に陥れてしまっていた事が想像できた。
(カオリちゃん大丈夫だろうか・・・?)
少年は
彼女の姿を想像する。
いかにも儚げでおとなしそうな彼女の姿。
今自身に向けられている好奇の目が彼女に向けられたら彼女には耐えきれるだろうか。
少年は改めて自身の軽はずみな行動に対して後悔していた。
校門を抜け下駄箱に差し掛かると好奇な目はピークに達していた。
軽く怒りを覚えたがあえてそれを無視し自身の教室へと足早に向かった。
3年1組教室、少年のクラス。
教室に入るとやはり少年は学友達に好奇の目で晒されていた。
自業自得と自身の机に座った。
少年に話かけつらかったのか、クラスメイトに誰一人話しかけられなかった少年に対して沈黙を破る様に一人の少年が話しかけてきた。
「おはよ、
「おはよう、
背が高く
「なんだ元気ないな!」
「まあな、色々あってさ・・・。」
「まあ、想像つくけどなっ!」
「だろうな・・・。」
「今や校内の誰もが知る有名人
「一年生にちょっかいかけて泣かれた三枚目!」
「いやぁー、俺ならこっ恥ずかしくて不登校になるわ!」
「なのにおまえときたら、学校休まず感心!関心!」
「おまえなあ・・・。」
名で呼び合う友人である
毒気のある内容にも嫌味すら感じられない。
むしろ真司なりの気遣いが感じられ、登校時に感じていた不愉快さもすこし和らいだ感じがした。
「で、どうよ?」
「何がだよ?」
「とぼけんな! おまえと噂になっている一年の子の事だよ!」
「ああ、それね・・・。」
「下校時、人目がピークに差し掛かった下駄箱前、情熱的にも人目を憚らず行った愛の告白!」
「そして当の女子に泣かれ、蒼白する
「更には告白した女子の友達に張り倒される始末!」
「いやぁ、俺なら自宅に引きこもるな!」
おかまいなしに痛いとこをついてくる
「いやさ、それなんだよ・・・。」
「俺が告った子、俺のせいで俺と同じ目に合ってないか心配でさ。」
「で、大丈夫だったのかよ?」
「いや、思った以上に噂広まってて、俺注目の的でさ確認すらできてない・・・。」
いつもならふざけた口調で行われる会話のキャッチボールが相方の暴投により止まりがちである。
(これは相当落ち込んでるな。)
「
「まあ、その件は俺に任せな! しっかり確認してきてやるよ!」
「
「てめぇ・・・。ただ単に俺が告った相手知りたいだけだろ?」
「バレバレか!」
(謝ろう。とにかく謝ろう。まずはそこからだ。)
「しかし
「何だよ。」
ニヤけ顔をする
先程のふざけながらも
「おめぇ、浮いた話殆ど無かったからな。」
「春に卒業した
「いやいや、
「『
「体操着姿見かけた時なんて『あたしの脚見やがって』って当分からかい続けられたしな。」
「いやいや、羨ましい、まさにモテ期でしたな!」
「単にさらし者になっただけだろよ!」
「大体、男に対してちゃん付けはないだろ?」
「人目も憚らず取り囲まれてだぞ?」
「あの時どれだけこっ恥ずかしかったか・・・。」
「まあそういう事だな。」
「おめぇの恥ずかしい思いをお姫様に対して、おめぇはやっちまったって事だ。」
「解ってるよ、今は後悔してる。」
「まあ、何にせよ今の状態では、お姫様の心を射止めるのは難しいって事だな!」
「しかし
学区は違ったが
剣道は好きであった為、この地でも続ける事に決めていた。
しかし、見知らぬ土地で友人すら居ない不安な状況。
その際、知り合ったのが
しかしながら、
時が経てば単に、お気に入りのかわいい後輩をからかうだけの行動にすぎないのだが、つい最近まで小学生だった
その様な行動を
「俺も
話の腰を折られた
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