第8話 制裁
菊池たちは無事に帰還。
そのまま車ごと隊員の訓練場へと移動。
訓練場は小学校の校庭くらいの広さがある。
ドームになっており、外からは見ることができない。
それに防音にもなっていた。
車から、社長、中村、佐山が引きずり出される。
乱暴にその広場に放り出された。
既に3人の意識は回復。
3人の前に、1人の精悍な顔つきの男が立つ。
「初めまして。 私は特区の菊池と申します。 短い間ですが、お見知りおきを」
菊池が無表情で挨拶をする。
3人の口のマスキングテープが外された。
すると、社長がいきなりしゃべり出す。
「お、お前ら・・こんな、こんなことをして、ただで済むと思っているのか!!」
広場中央には菊池と、村上しかいない。
少し離れたところにはギャラリーがいるようだが、はっきりとはわからない。
社長の言葉がドーム内に響いていたが、遠くでクスクスと笑うような声がかすかに聞こえてくる。
菊池が社長を見ながら話す。
「木村さん、右横にいる男が佐山ですな」
その言葉に社長が右を向く。
直後、菊池が発砲する。
ドン、ドン、ドン、ドン!
佐山の両腕、両足が撃ち抜かれていた。
佐山はその場で転がり、声を出そうとする。
バゴン!!
菊池の靴が佐山の口に刺さっていた。
そのまま佐山の顎が上に跳ね上がる。
佐山は声を出すこともなく、その場でゴロンと倒れた。
ドン、ドン!
その倒れた佐山に向かって菊池がさらに発砲。
心臓付近に命中する。
「あわわわ・・・」
社長が声にならない声を出しながら震えていた。
中村も何が起こっているのか理解できない感じだ。
菊池はゆっくりと歩いて佐山のところへ近づく。
そしてそっと布をかけていた。
その布の上から何か液体をかける。
ボッ!
直後、激しい炎が佐山を包む。
中村は佐山から5mは離れているだろうが、目の前で焚火をしているような熱さだ。
・・・
1分ほど経過しただろうか。
佐山のいた場所に佐山はいなかった。
白い骨のようなものが少しだけ見えていた。
グシャ!
菊池がその白い塊を踏みつぶす。
菊池が社長と中村の方を見る。
ビク!
中村は本能的に怯えていた。
頭で思うよりも先に身体が反応したようだ。
「・・・さ、佐山・・あわわ・・」
社長は混乱しているのだろうか。
何を言っているのかわからない。
菊池が社長の前に来た。
「木村さん・・特区の隊員に罪があるのならば受け入れます。 ですが、松本は休暇中でした。 聞けばお年寄りを誘導しているところを拉致されたとか・・残念です」
菊池はそこまで言葉を出すと社長に発砲する。
ドン、ドン、ドン!
心臓部分に2発、頭部に1発。
社長はその場にガクッと倒れた。
菊池がゆっくりと中村の方に歩いてくる。
中村は既に死を覚悟していた。
言葉を出すことなく菊池を見上げる。
菊池がナイフを取り出した。
スパッ!
中村の手の結束バンドが外れる。
足も外れた。
??
中村には何が起こっているのかわからない。
目を白黒させながら菊池を見る。
「中村さん、お帰りいただいて結構です。 こちらの用は済みました。 そして願わくば、我々に2度と関わらないでいただきたい。 その車でお帰りください」
菊池は中村にそう声をかけると、周りにいるであろう隊員たちに言葉を飛ばす。
「お前たち、お見送りしろ」
その言葉で音もなく隊員たちが動き出す。
中村を丁寧に立たせて、車まで誘導。
中村が運転席に座らされる。
1台の車が中村の前に現れた。
運転席の窓から手が出て、ついて来いと合図を送っている。
中村は何も言葉を発することができない。
とにかく言われるがままに行動するしかない。
それだけはわかる。
中村は先導する車について行き、特区の境界で見送られた。
すんなりと通過でき、そのまま帰路につく。
◇
<菊池たち>
中村を送り出した後、隊員たちが近寄って来ていろいろと勝手に話していた。
「隊長、あのまま返して良かったのですか?」
「あの野郎も殺っておけば良かったのでは?」
「関西連合の連中がうるさくならないですかね?」
・・・
・・
などなど、勝手な言葉が飛び交う。
菊池が軽く微笑むと言葉を出す。
「整列!」
隊員たちは、一斉に並び直した。
「まずは、お礼を言いたい。 みんな、ありがとう」
菊池はそう言うと深々と頭を下げていた。
村上と山下も一緒に頭を下げる。
「た、隊長・・」
「やめてくださいよ」
「松本の仇を打ってくれたのですから・・」
・・・
・・
「みんなには迷惑をかけた。 そしてこれからもかけるかもしれない。 だが、よろしく頼む」
「「「はい!!」」」
「さて、やつをそのまま帰した件だが・・」
菊池はそう話し始めると説明をする。
何故中村をそのまま帰したのか。
やつは俺たちが木村邸本宅まで、気づかずに侵入したことを知っている。
そして、やつは組のナンバー2。
その影響力は大きい。
それに今回の成り行きを肌で理解している。
その恐怖は焼き付いているだろう。
また、そのまま作業車で帰している。
こちらの情報が漏れるものは何もない。
関西連合は大きな組織だ。
その横の繋がりで影響力を出す。
余程バカでない限り、2度と特区に関わろうとはしないだろう。
などなど、いろんな思惑を話して聞かせた。
・・・
・・
結果的に菊池たちの思う方向で進むこととなる。
◇
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