第6話 邸宅内
中村はチラっと社長を見てから、先程チェックに行ってくれた組員を見る。
「お前たち、外の連中と無線がつながらない。 ちょっと様子を見て来てくれんか?」
「「はい」」
組員たちは二つ返事で答える。
その背中を見送りながら中村はつぶやく。
「あいつら・・後で説教だな」
「おい、中村・・やっぱ停電か?」
「はい社長・・原因はわかりませんが、停電のようです」
「さよか・・ほんまに・・クーラーまで止まってしまうとは・・後で電力会社の連中に文句言うてやるわ」
社長は不貞腐れるように言うと、ソファに深く座り直す。
中村はお辞儀をし、組員が出ていった入り口を見つめる。
◇
<菊池たち>
木村邸の家の中から組員が4名出てきた。
直後、全員が特殊銃で撃たれる。
プシュ、プシュ・・プシュ、プシュ。
静かに入り口が閉まろうとする。
菊池が玄関に近寄ろうとすると、村上がうなずきながら近づいてくる。
玄関が完全に閉まらないように組員の靴をドアに挟んでいた。
山下も到着。
菊池に手で合図を送る。
村上の方で組員5名を排除。
山下の方でも4名排除。
菊池は3名と今の4名で7名の排除。
合計16名が1分15秒の間に沈黙。
木村邸の組員、残り11名となる。
倒された組員はその場で拘束されている。
口にはマスキングテープを巻かれているようだ。
菊池は村上たちと目を合わせ、うなずくと静かにドアを開ける。
村上と山下は静かに2階へ向かう。
菊池はそのまま1階を移動。
先程モニターで確認した情報では、2階には6名が待機していた。
玄関から入るとすぐに2階へ向かう階段が見える。
人はいなかった。
玄関付近に部屋が一つある。
小さな会議が出来そうな大広間だ。
その部屋に3名の組員がいた。
椅子に座って飲み物を飲んでいるようだ。
玄関の方に背を向けて話していた。
「ほんまに社長は難しいわ」
「あぁ、俺もそう思うが、いろいろと俺らの面倒をよくみてくれてるしな」
「それは俺もわかる。 この間、俺の母親の誕生日に花を送ってくれたぜ」
「「ほんまか?」」
「あ、あぁ、俺も驚いたわ」
「あの社長・・さすがやな」
「あぁ・・それにしても、この停電・・クーラーが効かんのがしんどいな。 今はまだ大丈夫みたいやがな・・」
「それよりも外の様子を見に行った連中は何してんのやろ?」
組員たちがそう言って頭を動かそうとした瞬間、麻痺させられる。
プシュ、プシュ!
ドン!
プシュ!
1人は当て身を入れられた後、パラライズガンで麻痺させられた。
菊池は無言で組員を結束バンドで拘束していく。
そして口にマスキングテープを貼る。
2階から村上と山下がゆっくりと階段を降りて来ていた。
村上が手で3本の指を立てる。
どうやら2階には3名の隊員がいたようだ。
残りの組員5名。
突入して2分が経過しようとしていた。
木村邸の住人たちは菊池たちの侵入には気づいていない。
◇
<中村>
中村は社長の傍を離れることができない。
自分の仕事だ。
社長を直視しないようにして立っている。
先程、停電の様子を見に行った組員たちがまだ帰ってこない。
まぁ2分ほどしか経過していないが、やけに長く感じる。
部屋の入り口をチラッと見ては社長をみる。
その繰り返しだ。
すると、太腿の部分に何か強烈な熱を感じると同時に痺れた。
声すら出ない。
意識はかろうじてあるようだ。
だが、どうすることもできない。
立っていられない。
そのまま力が抜けるように床に倒れた。
社長の顔が見える。
社長の目が大きく見開かれていた。
「な、中村ぁ・・」
その声が聞こえた直後、女の顔が不自然に視界から消える。
そのまま床に倒れていた。
中村の視界に作業服を着た人物が写る。
中村はそのまま手足を縛られる。
口にはマスキングテープを貼られた。
女も同じように拘束されている。
木村邸の住人で、意識があるのは残りは2名となった。
中村と社長だけだ。
キッチンに2人いたが、既に沈黙。
中村の視界に3人の作業服を着た男が写る。
その一人が中村に近づいてくる。
何やら携帯の画面を見せる。
『叫べば殺す』
中村は首を縦に振り、思う。
ここまでその気配すらわからせずに侵入してきた連中だ。
抵抗は無意味だろう。
その後ゆっくりとマスキングテープがはがされた。
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