第七話 うーん、どんまいです
「私は婚約破棄を受け入れます」
その一言は当たりを一気に静かにした。
え?
なんで?
だって私はアンソニー様が婚約破棄を言い渡されたからそれを受け入れただけよね?
アンソニー様の顔が驚きを隠せない顔をして少し笑いそうになった。
「えっと…だから、私は婚約破棄を受け入れます。そして、婚約破棄をされた愚かな私はこの家を今すぐ出て行きたいと思います。今までお世話になりました。」
最後は貴族令嬢らしく綺麗にカーテシーをして会場を去ろうするとアンソニー様が「ふざけるな!!!!」と叫んできた。
婚約破棄されたからそういう行動したのだけど何が不満なのかしら?
「婚約破棄が御所望との事で受け入れましたが何がご不満なのでしょうか?」
「だから、婚約破棄して、アンリエッタを新しい婚約者にする!!」
「はい、わかりました。」
「アンリエッタを虐めたお前とは一緒に入れない!!」
「はい、だからこの屋敷から追放されたいと思います。」
「お前はアンリエッタを傷付けた癖に謝罪もないのか!?」
あ、そこに不満があったのか。
だから、ネチネチ文句言ってたのですね。
「嫌がらせはされて来ましたが私がアンリエッタをいじめた事はありませんので謝罪しません。」
「いじめを認めないのか!!!」
「認めるも何もいじめしていないのに認めるはずもありませんわ。」
「お姉様ひどいっ!!私が屋敷に入ろうとすると電撃が走る様にした癖に!!あれをいじめ以外の何だと仰るのですか!?それに私だけでなくアンソニー様も喰らったのですわよ!!!」
んん?
あ、そう言えばアンリエッタが入って来ては泥棒ばかりするので嫌気がさして、『私に悪意がある人物』が屋敷に近付くと電撃を落とす防犯バリアと言う魔道具を作って起動させ続けていた事を思い出した。
通りでアンリエッタやアンソニー様が来なくなったのは。
少し謎が解けてスッキリしていると無視されたと思ってアンリエッタがまた何か怒っている。
いけないいけない、ちゃんと説明しなくては。
「私が暮らす離れは私に対して悪意のある人物が近づけば電撃が落ちる防犯バリアと言う魔道具が設置されています。つまり、貴女方が私に悪意ある行動を取ると魔道具に認識された為、落ちてしまったのであって私の意思ではありませんので謝りません。」
「ちょっと待て!!!では何故僕が電撃を受けなければならないのだ!!!僕は危害を加えていないし、悪意など無い!!!」
「それはきっと最後に会った日に私の屋敷を何度も蹴って、私の悪口を散々言っていたのでそう認識されたのでは無いでしょうか?それまでは悪意が無かったから屋敷に入れたのでしょうが自業自得ですね。」
「なっ!!私は屋敷を蹴ったり、殴ったりしていない!!」
そう来ましたか。
嘘はいけないなぁーそんな人には天罰を与えちゃうぞ?
「嘘はいけませんよアンソニー様。あの屋敷には監視カメラが多数稼働していますので何処に居ても映っています。証拠の映像を映しましょうか?ほら」
私はインベントリの中から魔道具の映写機を取り出し、監視カメラの恥ずかしい動画を流して始めました。
映写機から映し出された映像には壁を何度も蹴って痛くて半泣きのアンソニー様が写されて、『不細工の癖に僕が折角会いに来てやったのになんで僕がこんな痛い思いをしなきゃ、いけないんだ!!ちきしょーグズでノロマのでくの棒の癖に』と叫んでいました。
私より身長小さいの気にしてたのですね。
お顔は大変麗しいアンソニー様ですが身長と心が残念な人なのでずっとジェラシーを感じていたのですね。
うーん、どんまいです。
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