第六話 私は婚約破棄を受け入れます
「ミザリー・ノートン伯爵令嬢。今日この日を持って君と婚約破棄をする!!!」
え、嘘でしょ?
これは世で言う婚約破棄をされてしまいました。
私は何を言われたのか直ぐには理解出来ず、呆然としていたらアンソニー様が再び話し出す。
「彼女は実の妹でありながら家族にバレない様に陰で虐めていた。そんな女と今後一生を共にする事等出来ない!!私は可哀想なこのアンリエッタと婚約する!!」
いじめ?
えーと、寧ろ屋敷に閉じ込められて外出してくれないわ、私の物を勝手に奪われるわ(こっそり取り返したけど)、私の作ったお菓子を勝手に食べられるわ、あの子の納得のいかない事を言うと暴力を振るわれるわ、寧ろ虐められてるの私なんですけど?
きっとあの子は自分に都合の良い様にアンソニー様に話して私可哀想でしょ的な悲劇のヒロインっぽい事言って婚約者であるアンソニー様の同情を引いて奪ったのでしょう…
なんと性格が悪い子に育ったのでしょうか…まぁ、あの母親から産まれたから仕方ないか。
しかし、婚約破棄か…お父様が決めてくれた婚約を潰してしまうのは申し訳ない気がする…
あれ?
でも、これってチャンスなのでは?
だって婚約破棄すればアンソニー様と結婚しなくて済むし、アンリエッタが婚約すればお家的には問題無いし、恐らく今回の婚約破棄された事で馬鹿な義母の事だから私を出来損ないと馬鹿にしてそのまま家から追放するのではないでしょうか?
ずっと籠の中の鳥として生きてきた私に一筋の光が舞い降りてきた。
このチャンスを逃したら二度とこの屋敷から出れなくなる。
このチャンスを逃してなるものか!!!
確かに私が虐めたという嘘のせいで評価はだだ下がっているがあくまでこの国の評価であれ、他国の市井に入って名前さえ変えてしまえばそんなもの関係無い。
平民になった所で私には今まで培った魔法開発の技術もあるし何故かお菓子作りがプロ並みに上手いので何かしら職はありつける自信がある。
なんなら屋敷に引きこもって勉強や本ばかり読んでいたので知識は豊富なので平民だからと遅れを取る事はまず無い。
そうと決まれば今すぐ私の部屋にある大切なものを持って来て出ていかないと…
多分一度屋敷に戻るとお父様が反対して屋敷から出て行けなくなるでしょうからこの婚約破棄のタイミングで私から出ていかないと二度と外に出れないわ。
良し、お友達に持ってきて貰おう!!!
私はこっそり屋敷でダラダラしているであろう友達に念話し、すぐ様行動を起こして貰った。
さて、私が黙っている間もアンソニー様はダラダラと何かを話していたが私は婚約破棄後の事しか考えて居なかったので全く何を話しているか分かりませんでしたがとりあえず私が今言える事は一つだけ。
「私は婚約破棄を受け入れます。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます