第八話 さよなら貴族社会!!!
アンソニー様が「見るなー!!!!」と叫んで居る中、舞踏会のゲスト達はクスクスと笑いながら動画を見ている。
折角なのでアンリエッタの証拠動画も流してしまおう。
その方が私があの子に何をされて来たかを映し出してあげた方が私が嘘つき扱いされなくてすむでしょうし。
私は映写機の付属リモコンを操作し、監視カメラの映像を遡りました。
そこに映し出されたのは幼いアンリエッタの姿。
幼いアンリエッタは私の部屋に勝手に入り、私の部屋を漁り出す。
『なんでお姉様の持ってる物はこんなに綺麗な物ばかりなの!!私の方が可愛いのにこんなのお姉様には似合わないわ!!』と言って私のネックレスを持って部屋に出て行った映像が流れる。
その映像が流れた瞬間アンリエッタは悲鳴を上げた。
いじめられたと言う人物の私物を盗む所が明確に写されているのですからそれはそうでしょうね。
次は私が暴力を振るわれたシーンを流し、映像を見せられてから周りの冷たい目線は私ではなくアンリエッタとアンソニー様に向けられる様になりました。
良し、これで私のいじめ疑惑は晴らせたかしら?
さて、これからどうしましょうか?
アンソニー様はずっと「嘘だ…アンリエッタがコソ泥してたなんて…」とぶつぶつぼやいて、アンリエッタは「あんな映像偽物よ!!私がそんな事するはず無いじゃない!!」と叫んで居る。
今までどちらもキャラクターをしっかり守っていたのにキャラ崩壊していますね。
まあ、どうでもよいのですが。
婚約破棄されたのならさっさと書類を書いて自由の身になりたくてアダルマン家の使用人にアンソニー様が持ってた婚約破棄の書類を出して貰える様にお願いしたら、使用人は拒否されました。
何故?
婚約破棄を申し込んだのはあちらでしょうに…用意していた筈なのに何故渡してくれないの?
何でも当主の許可無く勝手にアンソニー様がした事なので許可出来ないとか…
ノートン家の使用人にも同じ事を言われました…
困りましたね…
今婚約破棄の書類出さなかったら私は自由にはなれない…
形上婚約者のままでずっと生きなきゃいけなくなる…
また閉じ込められるのは嫌だ…
どうしたら良いのか分からずに頭を抱えて悩んで居ると外から巨大な竜の鳴き声が聞こえて来た。
『迎えに来たよーミザリー』
私の大好きでいつもダラダラ部屋で過ごすスノードラゴンのこゆきです。
私の荷物を全部まとめて迎えに来てくれたそうです。
周りは圧倒的な力を持つスノードラゴンを目の当たりにして腰を抜かす人が多数出た。
勿論アンソニー様とアンリエッタも尻餅付いて怯えている。
普段は屋敷に収まる小さなサイズで暮らしているから大きくなった時の迫力は高い。
強力な味方が来てくれたものの、私には婚約破棄の書類が無いから婚約破棄出来ない…
「こゆきー私追放されなきゃ行けないんだけどこの人達が婚約破棄書類渡してくれないからまだ出れないの。少し待っててくれる?」
『書類くれないの?どの人?』
「この人」
私はアダルマン家の使用人を待っていた扇子で刺した。
その瞬間アダルマン家の使用人は顔が真っ青になり慌てて書類を渡してくれてそのまま逃げてしまった。
なんだ、待ってるならちゃんと渡してくれたら良かったのに。
こゆきちゃんが怖かったのかな?
書類には既に向こうのサインは書いてあったし、後は私のサインさえ書けば問題無い。
さあ、籠の中の鳥は今から自由な空に羽ばたきます!!!
さようなら家族の皆様!!!
さようなら貴族社会!!!
「ま、待ってくれ!!!」
と羽ばたこうとする時にいつも誰かが邪魔をしてくるのよね…本当に嫌になるわ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます