第一話 私みたいな醜女誰も見たくないだろうから
私は初めて出席した舞踏会に参加していた。
マナーやダンスは家庭教師から一通り教わっている為、なんら問題は無い。
ただ十六年生きてきて一度も舞踏会やお茶会の類には出させて貰えなかったので少し緊張している。
正直生きた心地がしない…
こんな時に婚約者であるアンソニー様がいらっしゃったらマシなのかしら?
いや、あの人ともそんなに会った事も無いし会う度にため息つかれて冷たい扱いされるだけだから居なくても問題無い。
貴族に生まれたのならこれくらい慣れなさいよと義母に耳元で囁き、人には見えない様に腕をつねられる。
慣れるも何も貴方が再婚してから私は社交の場に一切出させて貰えなかったのですけどね。
私が籠の中の鳥生活になったのもこの義母がノートン伯爵家にやってきてからであり、全てがおかしくなった。
私の実のお母様は私が産まれてすぐに亡くなった。
名前はルージェ・ノートン。
どの様な人物なのか正直分かりません。
お母様が亡くなった次の日にこの女が屋敷に上がり込んで来た…と乳母のマリーナが教えてくれました。
お母様とお父様は元々政略結婚で影で愛人を囲い込んでいたらしい。
義母はお父様な愛人で亡くなったと聞きつけ直ぐ様この家に住み込み、好き勝手する様になった。
その過程で私は部屋から出れなくされました。
義母はお母様が憎いらしく、お母様にそっくりな私は更に憎いらしい。
そんな顔は見たくないと言われ私は離れの屋敷から出る事を一切許されなくなりました。
酷い話だと思いますが、外には出して貰えませんでしたが、決して生活が苦しいと思った事はありません。
食事は今まで通り美味しいお食事を食べれますし、学校には行けませんでしたがいろんな分野の家庭教師を付けてもらい学ばせて頂けましたし、欲しい本があれば直ぐに取り寄せて貰えます。
これはお父様の配慮だと思われます。
お父様はこの生活を反対しているが義母が今までの鬱憤を晴らすかの様に私に暴力で当たって怪我の毎日よりマシだと判断して承諾した。
来た当初は毎日叩かれるは、つねられるは、蹴られるはの連続で何度死ぬかと思った事か。
だから、義母と関わらない為にも家を分ける事になった。
離れに来てから義母と顔を合わす事は無かった。
この舞踏会が久し振りの再会である。
まぁ、そんな事はどうでも良いかも知れませんね。
因みに運動がしたくなれば、私が作った魔法道具「ランニングマシン」や「クロストレーナー」を使えば室内でも簡単な運動が出来ます。
最近はその魔道具をメイドにも貸してみんなで体を鍛えてたり、走ったりする事もあります。
私は離れの中で何不自由なく生きていけます。
そう…外に出れないだけなのです…
窓から本家の庭を見ると義妹のアンリエッタが誰かと楽しそうにお茶会している。
羨ましい…外で楽しくお話し出来るなんて…
アンリエッタくらい可愛い見た目だったら私は外に出して貰えるのでしょうか?
もし外に出れない理由がそれならきっと私は一生外には出れない…
–私みたいな醜女誰も見たくないだろうから–
今日も私は部屋で本を読む事にした。
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