テイクアウトに
みなさんは焼く前のケーキです。切り分けたあとそれぞれのショートケーキがどんなケーキになるかはわかりません。チョコケーキになるかもしれないしチーズタルトになるかもしれない。それだけの心持ちを持ってこれからも学業に励んでください。
今春、卒業式で先生から頂戴した有難いお言葉、それは焼く前のケーキ生地のように不定形だった。一貫したところが何処にも見当たらない。焼く前のケーキはまだ切り分けないだろう、またケーキとは切り分けたあと分化するものだったか、加えてショートケーキはホールケーキに対する語ではないのではないか、そしてタルトはケーキに含まれるのか、それだけの心持ちとはどれだけの心持ちなのか、社会人に学業に励む時間がどれだけ残されているのか。投げやりな祝辞は空を舞い、幻嗅か、甘い風が鼻をくすぐった気がした。
私はくるくると舞う花弁を尻目に、焼かれる前のホールケーキが切り分けられ、一切れずつが焼かれるたび、それぞれ別のケーキへと変化するさまを空想した。それはコマ撮りアニメのように愛らしく、まぁ、そんなもんか。
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