サッカー部品

 高々サッカーだから、と新たな部員が言った。部品とも言える、サッカーはチームワーク!一つでも欠けていたりべにゃってなってたりしちゃいけないのだ。そうなっていたら全体的にぐちゃぐちゃってなってよくない。サッカーとはそういうものだ。


 そこのところに新入部品はこんなこと言ってくるから頭きてしまった。アッタマきてしまった。


 こんな言い伝えがある。曰く、「和を乱す奴はダメ」。即ち、和を乱すような奴はダメ。ダメってことだ。そうなるとどうなるかっていうとダメなもんはダメなんでしっかり言い聞かせなければならず、それでもダメなら殴るしかなく、それでもダメならまぁ退部とかである。でその殴ったりとか言ったりとかするのはサッカー部の部長である。


 僕は心配した。僕は部長なのだけど言ったりとか殴ったりとかが苦手なのだ。でも言い伝えの通りにやらなきゃ伝統とかが廃れちゃったりして良くないよ。うーん。てかこんな伝統いるかなぁ?良くないよ暴力は。


 「話し合いができれば一番いいんだけど、」

 と僕は言った。アッタマきてたけど冷静に言った。

 「では話しましょうよ」

 と新入り部品くんは言った。真っ直ぐ見つめてしっかりしたネジのようだ。あれ?いい子じゃん。

 「まずさ高々とは言うのは良くないよ。みんなサッカー大好きでここいるわけだし、なんかその高々とかは、そういった言い回しがあるとしても褒め言葉じゃないよ。いやそういった言い回しがあるなら褒め言葉かもしれないけど、多分ないから褒め言葉じゃないよ。第一……」

 「え、褒め言葉じゃないんですか」

 びっくりした。部品たちもびっくりしている。僕も部品であるので即ちびっくりしている。

 「高々って、なんか、少なくとも低々とかよりは褒め言葉っぽいし、そうなのかと」

 「あ、そなの、じゃ褒めてたの」

 「はい」

 「サッカー好きなの」

 「はい!」

 仲良くなった。

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