公爵家子息にして騎士団長、おまけにイケメンと三拍子揃ったジェド・クランバルは、悪役令嬢を呼び寄せてしまう特異体質だった。
彼の元には婚約破棄されたり、断罪されたり、追放されたりと将来的に悲劇が待ち受ける悪役令嬢たちが助けを求めてくる。
パーティに参加すれば婚約破棄の現場に居合わせ、非番に街を歩けば剣を持った悪役令嬢に追いかけられ(?)、寝ていれば夢の中に悪役令嬢が現れ(?)……etc,etc。
王道から変化球まで悪役令嬢ものパターンをコンプリートする勢いで、ジェドの周囲にだけ悪役令嬢絡みの事件が絶えないのが愉快です。
悪役令嬢たちは自分の人生がかかっているので鬼気迫るぼどに真剣なのですが、ジェドにとっては厄介事にすぎないので塩対応なギャップも面白く、仕事のできる完璧超人の皇帝のおかげで、すぐに新しい婚約者を紹介したり、田舎でのスローライフを案内したりと1エピソードでサクサク解決していくのが小気味良い。
定番ネタのパロディが秀逸な新感覚の悪役令嬢ものです。
(「お嬢様と僕」4選/文=愛咲 優詩)