第3話 暴力と口論
未来は天理と朱音が繋がっていることを暴き出した。そして明かされる朱音からの真実。
「天理ちゃんと私はお互いに意見が一致した、だからあたしは天理ちゃんに協力してる」
「どういうこと?」
朱音は共犯者、天理ちゃんは主犯者と見て取れる。
「世間世の中では障害者は見下されるよねー、でもあたしは逆、羨ましい、その独特的な思考が欲しい。あたしのものにしたいかなー。アリスちゃんのように弱い人間をいじめる人間を天理ちゃんは罰す、でもあたしには罰すほどの力はない、だからこそ天理ちゃんの手と足になって天理ちゃんたちのような存在に貢献してるってことかなー、いじめっ子の名前特定したり、どうしていじめたか天理ちゃんが罰した後に聞いたり、でもそうだねー、理由が下らなすぎる」
「そんな行動間違ってるよ、天理ちゃんが暴力を振るってるのをわかってるのにもかかわらず協力しているの?なんで止めようとしないの?確かにいじめはよくない」
「未来は今日歳を取るんだから生まれ変わらないと、この世には裁かれていい人間もいるんだよー、そういう人間に情けをかけてたら何もその人のためにならないんだからー」
「暴力以外の方法はないの?」
「暴力という言葉が存在する限りないかな、暴力こそ絶対たる支配権、黒龍さんにしてもそうでしょ?」
「何人にも暴力を振るうなんて取り返しのつかないことになる…もうなってるのかもしれない」
「仕方ないよー、それが天理ちゃんだからねー、もう彼女は止まらないよ、あたしも天理ちゃんが止まらない限り止まらない。今回は未来が天理ちゃんをいくら説得しても無理かなー、時には諦めることも大事だよー、これはアリスちゃんをいじめたものに対する復讐なんだから」
未来はこの日、新たなことを身に着けた。未来は天理のことをほとんど知らない。だからこそ無責任かもしれないけれど天理に近しいものに託す。それが今の未来にできる最善の一手。
「やぁやぁ赤いフードのお嬢さん」
「さくらか…まだ夕方だ、部活は…?」
「お腹痛いから休んじゃったよ誰かさんのせいでねー」
「そうか…それでまだ邪魔をするのか…また痛い目に遭う羽目になるぞ…」
「もちろん、これ以上乱暴はさせないよ、見てられないもんねー」
「はぁ…じゃあなさくら…」
天理の一撃がさくらの腹に直撃する。
「ぁっ…ぐぅぁ…」
さくらに勝ち目はない。天理はさくらさえにも容赦ない。
「はぁ…それで終わりかなー天理ちゃん」
それでもまだ挑発するさくら。
「まだ立てたのか…」
天理の容赦ない二発目。これによりさくらは撃沈した。
「さて、潰しに行くか…」
天理の夜が始まる。復讐の夜が。
止められるものは現れるのだろうか?
アリスは逃げ隠れしながら昨日とは別のところでさくらと遭遇。何やら痛そうにしている。
「さくら、また天理かい?」
「そんなところだねー、二度も敗北しちゃったよー」
「ゲームの開催どころではないな」
「大丈夫だよ、明日解決して見せるから」
「さくらは天理に勝ち目があるというのかい?」
「まあね、私も天理ちゃんなりにわからせないとね、そのためにはアリスちゃんの協力も必要だよ」
「もちろん協力するさ、天理を止めるためにね」
さくらとアリスは明日動き出すだろう。天理を止めるために。
翌日
天理とさくらは何事もなかったかのように挨拶をし、それを不思議そうに見つめるアリス。
「おはよー天理ちゃん」
「ん…おはよう…」
「昼休みが楽しみだね」
「昼休みか…」
天理はさくらから何かを感じ取ったようだ。さくらは昼休みに何かを仕掛けてくると。アリスにもなんとなくそれが伝わった。またしてもさくらからの挑戦状。
「はぁ…懲りないやつだ…」
朝礼が始まりその時が徐々に迫るのであった。
昼食が終わりアリスは一人自分の席に着き天理とさくら、二人だけの空間がやってきた。その時がやってきた。初めに仕掛けてきたのはさくら。
「そういえば最近赤の7にやられちゃってさー、一体何が目的なんだろうねー」
「さぁ…」
「無差別に攻撃してくるから気を付けないとねー」
「いや、無差別ではないかもしれない」
「ふぅん、じゃあどんな人に攻撃してくるのー?」
「悪事を働く人間…例えばアリスをいじめる人間とかな…」
「でも私はアリスちゃんいじめたことないけど攻撃されたよ?」
「またはそれを邪魔する人間…」
「でも邪魔するだけで攻撃してくるなんていじめだよね、アリスちゃんの気持ちがわかった気がするよー、赤の7もいじめっ子と同じようなことをしてるわけだね」
さくらの狙い、それは天理に自分がいじめっ子と同じことをしているということを備え付けること。さらにさくらはそのために天理を阻害し自ら天理に暴力を振るわれに行くことで罪の意識を大きくした。
「いじめっ子を制裁する者だ、それはないな…」
天理は諦めたかのように
「回りくどいのはやめだ…私はいじめっ子を潰す、それを邪魔するようならさくらであっても何度でも返り討ちにする…なぜいじめっこ側につく…?」
「違うよ、私はそのいじめっこ側と同じ立場になってほしくないんだよ」
さくらから口撃が始まる。
「アリスちゃんがその光景をずっと見せられたらどうなるかなー?アリスちゃんでさえも天理ちゃんを怖がるだろうねー」
その気になれば教室でも天理はさくらを仕留められたが先生や生徒ならどうでもいい、アリスの監視下にいるこの状況。アリスの友達がアリスの友達に手を出しているところを見ればアリスは怖がるだろう。完全にさくらのフィールド。天理に暴力で黙らせるという手はない。
「無抵抗に反撃もしてこない私をやるのはどうだったかなー?いじめっ子の気持ちになれたかな?」
さくらは親友にさえも容赦はしない。天理は暴力では容赦はしないがさくらは口論という武器で対抗する。
「邪魔をするからだろう…」
「でも暴力じゃなくて言葉で打ち負かしてほしかったけどね」
天理にはそれができない。なぜなら天理とさくらは長い付き合いだ。だから知っている。さくらに口論で敵に回して勝てる人間はほぼいないと。口で言ってもさくらに口論で負けるのがわかっていたからこそ天理は暴力という最終手段を使って逃げていたのだ。天理には暴力という武器があるがさくらには口論という武器がある、だからこそ天理は
「仕方ない…これからはやめるとするか…」
さらに追い打ちをかけるさくら。
「言葉だけでは何とも言えるもんねー、証明できるの?」
「……」
天理のその場しのぎは通じない。
さくらは天理にとって異端だ。明智、天理をはじめとする思考の持ち主。友達知り合い、アニメキャラ全ての思考すら持った存在。これがさくらの本性なのかどうか、それすらも天理にはわからないくらいだ。
「証明のしようがない…」
「なら私と暴力以外の方法を考えていこうよ」
「暴力以外の方法か…確かにさくらなら言葉で言い負かすことができるな…」
「言葉なら悪事ではないよー、天理ちゃんもつらいでしょ?暴力を振るって自分の罪の意識が大きくなるのは、それに今の天理ちゃんなら言葉だけでかなりの威圧力あると思うけどねー」
「それならいいんだがな…」
天理は何かを諦めたかのように
「まあいい…プラン変更だ…私が威圧をかける、言葉で…それでもわからないなら私は容赦なく振るうけど…」
「むやみに振るわないんだね?」
「言葉で言っても聞かない限りは…」
天理はさくらの説得により少しは暴力から身を置くことにした。
「力だけが全てではない…言葉でわからせるか…私もアリスをいじめていないさくらに手を出してしまった…もういじめっ子側なのかもしれないな…」
改めて天理は自分のやり方の間違いを悟る。
天理は自分のグループに伝えるのであった。新たなプランを。
しかし、天野天理は何を考えているのかわからない人物。さくらによって変わったのかどうか、それは天理にしかわからない。
アリスの家ではアリスがゲームを考案していた。
「さて、天理の暴走はひと段落着いたようだね。ようやく安心して次のゲームが開催できそうだ、まだ不確定な部分はあるけれど僕の目的のためにゲームは何としても開催するよ。天理、忘れていないね?君の興味を抱かせるゲームを必ず作りそして勝利する。数々の宿敵がいる中、僕は全力で戦わなければならない。そしてゲームが終わり僕たちはまた得るだろう」
アリスはひとまず事態が収束して安心した様子でアリスの目的のためにゲームを創り上げる。
アリスの目的は天理に興味を抱かせる、勝利する以外にもあるように思われる。
アリスの真の目的とは。
完
悟りゲーム 復讐編(パート8) @sorano_alice
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