巻き込まれ教師(仮)

@toppo0079

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 パソコンの電源を落としてデスクの上を軽く整理して、さて今夜は綾香とのデートをたっぷり楽しもう、と席を立とうとした瞬間、英語の美和子先生がやってきて

「ねえお願いできる? 前半の択問だけ」と用紙の束を差し出された。

「え、でも、僕、今日は…」

「手伝ってくれたら、してあげるから、いいこと」

 美和子先生は僕の耳元に囁いてタイトスカートの裾を少しまくりあげて美脚を見せつけて来る。その奥にある美和子先生の女性の部分の記憶が蘇る。

 美和子先生の(いいこと)の一言が脳内を駆け巡って思考が停止する。

「お願い、幕の内先生」

 気がつくと美和子先生から用紙の束を受け取ってしまっていた。


 結局断りきれなくて昨日の中間テストの英語の採点を手伝う事になってしまった。

 頼まれると断れない、特に美人に頼まれると断れないのは悪い癖だ。


 ガールフレンドの綾香との待ち合わせは18:30に渋谷。

 いつものように居酒屋、バー、カラオケの順番ではなく、今夜は先にホテルに行こうって誘ってみたら、綾香はなんて言うだろうか、お腹が空いているならコンビニで何か買って持ちこもうよ、えーでもー、たまにはかわった事をしてみようよ、うーんユタカがそこまで言うんだったら〜と、妄想で股間を膨らませつつ、一方で正確な採点を心がけて続けていると「……幕の内先生」と端の方から声をかけられた。

 この声は多分数学の五木先生の声だ。

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