4-2・想像していなかった未来
ルイーズが目を覚ましたのは夕方。ノランとマノンの家の、自分の部屋のベッドで目を覚ました。
「目が覚めたか?」
ルイーズは声のする方を見ると、ティメオが心配そうにルイーズの手を握り締めていた。
「ティメオ」
「大丈夫か? どこか痛いとことかないか?」
「大丈夫」
「ごめん、もっと早く俺がカフェに行っていれば……」
ティメオは悔しそうに唇を噛んだ。
そんなティメオを見て、ルイーズは記憶がなくなる前に、ティメオがカフェに入ってきたのを思い出した。
「そんなことないよ。ティメオ助けに来てくれたじゃない」
「覚えてたのか?」
「そこまでだけどね。ティメオは怪我してない?」
ルイーズはゆっくりと体を起こした。
「俺は大丈夫だよ。モナリコも大丈夫。ルイーズと同じで気を失っただけで、今は自分の家で休んでるよ」
「よかった」
ルイーズはティメオの手をギュッと握り返した。
「そういえばあの男は?」
「ルイーズが気絶したあと、レオさんがカフェに来てくれたんだ」
「叔父さんが?」
「うん、そうだよ。男は少し戦闘になった後どこかへ消えていった。レオさんはモナリコを部屋へと連れて行った後に、ルイーズの様子を見に来たらすぐにどこかに出かけて――」
ティメオが話していると、家の中にドンという大きな音がした。
「わっ何?」
二人が驚いていると、家の下からエマの大きな声が聞こえた。
「ちょっと! もっと丁寧に扱ってちょうだい!」
「はっ? わざわざ運んでやったのになんだよその言い方!」
今度はレオの声だった。
「お母さんに叔父さん? 行ってみよう」
「うん」
ルイーズとティメオは下の階へと降りて行った。すると玄関ホールに、ルイーズの家にあった大量の家財道具と、言い争いをしているエマとレオ、それに普通の人間で裏の世界へ入れないはずのトムまでいた。
トムが二人に気付きルイーズの名前を呼ぶと、言い争いをしていたエマとレオも二人に気が付いた。
「ルイーズ!」
エマはすぐにルイーズの元へ駆け寄ると、ギュッと抱きしめた。
「大丈夫?」
「うん。もう大丈夫。叔父さん、助けに来てくれてありがとう」
ルイーズはエマと体を離すと、レオにお礼を言った。
「ルイーズ達が無事でよかったよ。でもティメオは凄くかっこよかったんだぞ」
「そうなの⁉」
ルイーズ達が一斉にティメオを見ると、ティメオは首を横に振った。
「いや、俺は何もしてないですよ」
「そんなことないよ。強いあの男が、ティメオは出来る奴だって言ってたじゃないか。君があの場に助けに入ったお陰で、被害が最小限に済んだんだから」
「凄いわ、ティメオ。本当にありがとう」
ルイーズは改めてティメオにお礼を言うと、玄関ホールに置かれている大量の家財道具をチラリと見た。
すると、使い慣れた家具にみんなの服など、家にあった家財道具などほとんどが玄関ホールにあるようで、ルイーズは何事かと皆を見回した。
「この家財道具はどうしたの?」
「その説明も含めて今から話をしましょう。トムもエマもお帰りなさい。大変だったわね」
廊下の騒ぎを聞きつけて、ダイニングルームからマノンが出てきた。
「さぁ、皆ダイニングへいらっしゃい。ティメオもよ」
「俺もいいんですか?」
「もちろんよ」
ルイーズ達がダイニングルームへ入ると、ダイニングではすでにノランが座って待っていた。
全員が席に座ると、マノンが紅茶を入れてくれ、今回の事とこれからの事を話し合うことになった。
ノランはみんなを見回すと、口を開いた。
「まず初めにレオ、ルイーズとティメオに今何をしているのか説明してあげたらどうじゃ。それを話さないと、話が進みにくいからの」
「あぁそうだった。俺の職業はマジシャンじゃなくて、上級
その話を聞き、ルイーズはそう言えばと言わんばかりの顔でレオを見た。
「ちょっと待って。昔、マジシャンかと聞いたら、叔父さんがうんって返事をしたから、私信じてたんだよ!」
「そうだったかな?」
「そうよ。まぁ、理由が分かったからもういいけどね。ところで、モナリコも
「あぁ、まだ知らなかったんだな」
レオはもたれかかっていた椅子に座り直した。
「要するに
「へぇ~そうなのね。それで上級って事は、叔父さんは上の方の役職?」
「
ルイーズの隣で聞いていたティメオは、目をキラキラさせていた。
「ルイーズ、上級はとっても凄くて、なるのは難しいって有名なんだ!」
「そうなの?」
ルイーズがレオを見ると、レオはケラケラと笑った。
「あぁ難しいとも。でもまぁ親父も上級
レオがサラっと言うと、ルイーズはとっても驚いた。
「えぇ! そうなの?」
「あぁ、親父は長にもなれたみたいだし。でもその席蹴ったって聞いた、仲間の間では有名な話だよ。な、親父」
レオに話を振られ、ノランは過去を思い出すように笑った。
「はっはっはっ。わしは自由でいたかったからのう。それでは、ルイーズがわしとレオの職業も知ったことを踏まえ、改めて今回の事について話をしよう。ルイーズ、コンステレーション・パッサージュに着いた時、何か異変は感じなかったか?」
ルイーズは気を取り直し、思い出しながら答えた。
「異変と言っていいのか分からないんだけど、ティメオとボラックへ行ったときに出会った魔女のおば様が前を歩いていたの。伝言もあったし、魔女のおば様に声をかけたんだけど、おば様、私の事何も覚えてないとか言って、去って行ってしまったの。確かにおば様のはずなんだけど、もしかしたら人違いかもしれないしと思って、木のカフェに向かってのんびりとパッサージュを歩いていたら、突然東口の方から爆発音がして、慌てて身を縮めたの」
ルイーズはあの時のように、身を縮めるしぐさをした。
「ルイーズはどっちから来てたんじゃ?」
「私は木のカフェに近い西口からよ」
「そうか。それでどうなったんじゃ?」
「爆発音がしたあと、人々が悲鳴を上げながら西口へ向かって走って来ていて、木のカフェからモナリコが様子を見に出てきたの。私はボラックの魔女のおば様が気になって慌てて探しに行こうとしたんだけど、すぐに今度は噴水広場の辺りが爆発してしまって、モナリコと一緒に急いで表にあるモナリコの店に入ったの」
「パッサージュの残りに結界の魔法をかけたのはモナリコか?」
レオが聞いた。
「そうよ。店に逃げ込んだ後、モナリコが残りのコンステレーション・パッサージュに結界の魔法をかけてくれた」
「それで西口当たりは無事だったんだな」
「うん。でも表の店も危ないかもしれないってモナリコが言って、モナリコとラルとルラと一緒に急いで下のカフェに逃げ込んだの。すぐにその後、モナリコは木のカフェに結界の魔法と、表の世界から誰も通れないように魔法をかけていた。悪の魔法の気配がするって言って」
ルイーズはあの時、自分が魔女の異変に気づいていてあげたなら、あんな事にはならなかったのではと、少し悔やんだ。
エマは悔しそうなルイーズを見て肩に手を添えた。
レオはその様子を見ながら話を進めた。
「あの魔女がカフェに来たのはいつごろ?」
「モナリコがカフェに魔法をかけた後よ。おば様は顔も服も真っ黒になっていて、パッサージュで会ったときよりも様子がおかしくなってた。それでモナリコがすぐにおば様を檻に捉えたの」
「それでその後、
「
ルイーズが少し怒り口調で話すと、エマが心配そうにルイーズの背中を摩った。
「まだ痛む?」
「ううん、今は大丈夫」
「お母さん、ゾエの痛み止めとかあるかしら?」
エマはマノンに聞くと、マノンはうなずいた。
「あるわ。ルイーズが家に運ばれてきた後、ノランが連絡を入れてくれて、急いで医者の息子さんと一緒に家まで駆けつけてくれたの。ルイーズもモナリコも診てくれたわ。その時に痛み止めを置いて行ってくれたから、もし痛くなったらいつでも言って、すぐに薬を出してあげるわ」
マノンも心配そうにルイーズを見た。
「わかった。また今度ゾエさんにもお礼を言いに行かなくちゃ」
「そうね」
エマは今にも泣きそうな顔をして、まだルイーズの背中をさすっていた。
「わしからもゾエにはまた、礼を言っておこう。ルイーズ、あの男は何か言ってたか?」
「魔女のおば様は話し相手だったみたい。当日も話をしていて、何かお礼がしたいと言ったらしいんだけど、おば様は何もいらないって返事をしたそうよ。なのに、あの男は変な魔法をかけておば様をおかしくさせた。それからおば様を操り人形にして遊んでいたの。最低だわ。ねぇ、魔女のおば様はどうなるの?」
「そうじゃな……操られていたとはいえ、あのパッサージュを一瞬で破壊するのはかなりの力じゃ。けれど、操られていた女性の中に残っていた、微かな良心が、人々への被害を減らした。その事も踏まえ、洗脳が抜けたのち、話を聞いてからでないと、これからどうなるかは分からんじゃろうな」
「そうよね……」
ルイーズがショックを受けていると、ティメオが代わりに、ボラックの魔女と、ボラックで会ったときの様子を話した。
「俺たちがボラックで会ったとき、おば様はとても優しい方でした。見えないのに、ボラックの祈りの場をぶつからないように守っているフワリに時々、お礼にと言って果物を差し入れていたくらい」
ルイーズもティメオの言葉に頷くと、レオはノランを見た。
「ということは、あいつは優しさに付け込んだってことかも」
「そうじゃな。そこもまた集まりの時に話してみよう」
「あぁ。ルイーズ、他にティメオが来るまでに何かあったりしたか?」
レオに聞かれ、ルイーズはよく思い出してから答えた。
「戦闘があったの。でも私はモナリコがカウンターの中に押し込んでくれたから巻き込まれはしなかったんだけど、あの男強くて、モナリコもほかの命美使い達も倒れてしまって、起きているのは私とあの男の二人だけになった。あいつは先に攻撃を仕掛けたモナリコを許さないって殺そうとしたから、私はモナリコを守らなくちゃって、モナリコに覆いかぶさって――」
説明の途中で、ルイーズはモナリコを守るときに感じた、何か自分の中で目覚める感覚を思い出した。
すると、急に自分の中で何か強い力を感じ、そっと手を出してみると、手のひらに小さなキラキラした膜が出来たが、一瞬で消えてしまった。
その膜を見て、すでにルイーズが膜を出したことを聞いていたマノンとエマは、考えていたことに確信を持った。
「ルイーズ、これは結界よ。あなたが持つ保護の力で作っているものよ」
エマは優しくルイーズの手を握った。
「どういう事?」
ルイーズが聞くと、今度はマノンが答えた。
「私たち天女は本来、それぞれに特化した力を持っているの。私だったら、植物や野菜などを育てる農業の力を持っていて、エマは編み物など裁縫の力。大昔はこの力を使って、まだ進化していない表の世界の人々へ色々教えたりしていた。でも大昔から、なかなか保護の力を持つ天女は少なくて、尚且つ保護の力は強大なの」
「そういえばあの男、私が作った膜を見て、そんなこと言ってたような気がする。君が欲しくなったとも……。あの男は私の力に目を付けたってこと? あの男って一体どういう奴なの?」
レオは首を横に振った。
「俺も初めて見た顔だ。名前は分からないが、ただ表の世界に住んでいると言っていた。親父はどう?」
「顔を見ておらんからの、何ともいえんが、表の世界に住んでいるそのような奴の噂は聞いたことがない」
レオはため息をつくと、紅茶を一口飲んだ。
「じゃあ謎の男ってこと?」
「そう言うこと」
名前すらわからない謎の男。保護の力を持っているが故にそんな奴から狙われることになるなんて。裏の世界に気づく前の自分なら、想像すらしてなかっただろうなとルイーズは思ったし、どうしてこんなことになったんだろうと、少し自分の力を恨んだ。
「ルイーズ」
レオが声をかけると、ルイーズはふっと我に返ってレオを見た。
「あいつはルイーズが表の世界に住んでいることを知っていた。そしてまたすぐに会おうとも言った。あいつに目をつけられた以上、ルイーズや一つ屋根の下に住む姉さんや義兄さんも表の世界へいるのは危ない。そこでルイーズ達には悪いけど、身の安全の為、裏の世界へ引っ越してもらうことになった」
「引っ越し⁉」
「あぁ、悪いな。仕事の方はこちらで手続きをさせてもらって、昨日付けで退職だ」
「そっか……それで家財道具やお母さんたちが裏の世界にいたんだ。家も引き払ってきたの?」
「さっき引き払ってきた。仕事の方も他も色々魔法使ったけどな」
「家にお別れ……言えなかったな……」
寂しそうに必死に涙をこらえるルイーズを見て、ティメオはそっとルイーズの肩を撫でた。
「家族の思い出が詰まった家、だもんな」
「……うん」
寂しさはまだ胸にありつつも、あの男が捕まっていない以上、メソメソばかりしていられない。ルイーズはグッと涙をこらえると、前を向いた。
「事情は分かった。お父さんも普通の人間なのに裏に入れたこともすごく嬉しい。でも裏の世界にどうやって入ったの?」
「俺が
レオによると、
けれど、レオの必死の説得により、離れていても自分にとって大事な天女に変わりはなく、その天女達が選んだ相手なら、特別に裏の世界へ入れても構わないと、最後は条件付きで許可を出してくれた。一度裏の世界へ足を踏み入れる代わりに、二度と表の世界へは戻れないという条件を。
「お父さんが今ここにいるということは、その条件をのんだということ? ごめん、巻き込んじゃって」
ルイーズは自分の事に巻き込んでしまったことが本当に申し訳なくてトムに謝った。すると、トムはニッコリとルイーズに笑って見せた。
「ルイーズは何も悪くないんだよ。いつか、エマの生まれ育った場所を見てみたいと思っていたし、自分が来たくて来ただけだから」
「でもお仕事とか、表の世界のおじいちゃんたちはどうするの?」
「レオにも手伝ってもらって、仕事はやめてきた。退職金もしばらくしたら入るし、何とかこっちで自分に出来る事を、エマと二人でやっていくよ。なぁ、エマ」
トムがエマを見つめると、エマは笑顔で頷いた。
「えぇ。二人で何とかするわ。それにトムのご両親には、急な転勤で遠くへ行くって言ってきたの。安全になるまでは、トムのご両親へ会いに行くことも危ないから」
「そっか。おじいちゃんたちの事を考えたら、離れている方が安全なんだね。でも二度と表の世界へ戻らないって条件をのんだんでしょ? 今後もう会うことは出来ないの?」
「お父さんとレオがこれから
「おじいちゃん、叔父さん、私からもよろしくお願いします」
ノランとレオは深く頷いた。ルイーズは表の世界の祖父母にしばらく会えない寂しさを感じつつ、気になっていたパッサージュの事を聞いた。
「そういえば、パッサージュはどうなったの?」
ノランが紅茶を一口飲むと、教えてくれた。
「
「よかった。あのパッサージュはパアス国にはなくてはならない場所だもの」
大好きなコンステレーション・パッサージュがもとに戻ったとき聞き、ルイーズは凄く嬉しかった。
ティメオもルイーズに同意した。
「俺もあのパッサージュはパアス国の大事な場所だと思う。けど入口の規制、厳しくするんですよね?」
レオは頷いた。
「今回はなんとか最小限に済んだとはいえ、念のため、表と裏の入口の規制をかなり厳しくすることになった。あと、木のカフェの入口は、しばらくの間閉じる」
「あんな事があった後だし、仕方ないよね……でもカフェは?」
ルイーズが心配そうに聞くと、エマが教えてくれた。
「カフェは今まで通り開くそうよ。しばらくはエンゾ叔父さんもカフェに復帰するって」
「そうなの」
「えぇ。自分が出かけている間にあんな事があったんですもの。とてもお怒りになっていた。でもルイーズに、自分のブレンドした美味しい紅茶を飲みに来てくれって言っていたわ」
「それは楽しみ。じゃあ今度、飲みに行ってくる」
話がひと段落つくと、レオが席を立った。
「ルイーズ、謎の男の似顔絵を描いてくれ。これを使って」
「えっ?」
レオにペンと紙を渡されると、ルイーズの手が勝手に紙へ謎の男の似顔絵を描き始めた。
「何これ⁉ 手が勝手に!」
ペンに魔法がかかっているのか、自分が描くよりもずっと上手な絵が完成した。
「よし出来たな。これはペンに魔法がかかっていて、犯人の似顔絵を記憶を頼りに、勝手に描いてくれるようになっている、
レオは紙とペンを取り、皆に手を振ると、どこかへと瞬間移動してしまった。
「き、消えた!」
ルイーズは目を丸くしてティメオを見た。
「瞬間移動だよ」
「瞬間移動?」
「あぁ、
「じゃあ、おじいちゃんも使えるの?」
ルイーズが尊敬の眼差しでノランを見た。
「あぁ。あれくらい簡単じゃ」
「凄い!」
ルイーズが拍手すると、嬉しそうにニッコリとノランは笑った。けれどふと何か思い出し、悲しい顔になった。
「こないだも頼まれて
ノランは悲しそうに自分のあごを摩った。
「今度皆で行きましょう。温泉」
マノンがノランの背中を摩ると、ノランの顔はすぐにパァっと明るくなった。
「あぁ皆で行こう。ティメオもどうじゃ」
凄く嬉しそうに聞くノランを見て。ティメオも自然と笑顔になった。
「俺もいいんですか?」
「もちろんじゃ」
「じゃあ是非。一緒に行かせてください」
嬉しそうにティメオが返事を返した。
「皆で温泉なんてすごく楽しみね。どんなところか本見てみようかな」
ルイーズも話をしているうちに、落ち込んでいた気分も少しずつ戻ってきて、楽しいことを考えられるようになってきた。
話が終わり、ルイーズはティメオを散歩に誘うと庭へと出た。
最初は美味しい空気や美しい自然を感じながら、のんびりと散歩をしていたルイーズだったが、謎の男の事をふと思い出し、だんだんと怒りが湧いてきた。
「人をまるで自分のおもちゃのように扱って、気に入らなかったら殺そうとした、あの謎の男。私、最初は怖いと思った。でも話しているうちに、だんだん腹が立ってきたの。なんであんな奴に人生めちゃくちゃにされないといけないの? あいつはそんなに偉いの? 私たちと何も変わらない、ただの人間にすぎないのに、あいつが人の人生をめちゃくちゃにしていいはずがないじゃない」
怒っているルイーズの肩を、ティメオは優しく抱きしめた。
「じゃあ俺たちで止めなくちゃ。他の誰かの人生がめちゃくちゃにされないように」
優しいティメオの言葉や温かい温もりに、ルイーズは少しずつ、怒りを鎮めた。
「うん。これからどうなるのかまだ不安だし、少し自分の力を恨んだりもした。けど今決めた。みんなを守るために、私は自分の力を信じて、あいつに立ち向かうって。ティメオも皆もいてくれるし、私、負けないよ、あんな奴なんかに」
「もちろん」
「うん」
ルイーズとティメオは真剣な眼差しで見つめ合い、お互いの意思を確認し合った。
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