第3話 遅刻してものんびり



 今日は社交会に顔を出す日よ。


 お友達と会って、お喋りしたり、美味しい食べ物を食べたりしてのんびり過ごすのがいつもの光景。


 皆良い人ばかりだから、楽しみにしてるんの。


 でも今日は、ちょっと予定の時間におくれそう。


 もぐらの被害にあったでこぼこ道を、馬車がおそるおそる進むものだからスピードが出ないのよ。


「まあまあ、これじゃあ間に合わないわ~。とっても困っちゃう~」


 え?

 困ってるようには見えない?


 そんな事はないわ。

 約束の時間に遅れる事はとっても心苦しい事。


 社交会の場にいったら、一番にお友達とお話するという約束があったのに。

 これでは、怒られてしまうかもしれないわね。


 あらら、馬車が止まってしまったわ。

 どうしたのかしら?


 すると御者さんの声。


「ナナリーお嬢様、前方にモグラの親子が横切ってます。今どかしてきますので、少々お待ちください」

「大丈夫よ~。無理に退けてしまったら、かわいそうだわ~。のんびり横断するのを待つ事にしましょう~」

「えっ、いえ。それだと約束の時間に遅れて」

「どうせ遅れちゃうんだし、私達の都合でモグラさんを急かすのは可哀そうだもの~。のんびり通行してもらいましょう~」

「はぁ、お嬢様がそれでよろしいのなら」


 大丈夫。

 遅れた事は、御者さんのせいにしないわ。


 のんびりゆったり生きている私だけれど、自分のすることに責任はしっかり持ちなさいって言われてきたもの。


 招待してくれた子には後で謝っておかなくちゃいけないわね。


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