第7話 世界一周の旅

7.世界一周の旅



「シュベルツ、お前は、お前の夢のためにも、取っておけ。航海にはカネがかかる。出資者が集まらんこともある。

 お前の夢にカネを払う奴等ばかりではないんだ」


 さて、シュベルツの夢とは、何だろうか?


 すると、ドレイクが、何やら含み笑いをした。

「お嬢さん方、この黒船屋には、やりたい夢があるんだ。

 こいつは、昔から考古学だの、神話だのが好きでな。

 伝説のワークワーク島を探しておる。儂は世界一周をしたが、『そんな島は無かった』と言ってやった。だが、この男は聞く耳すら持たないんだよ。まったく!」


「神話ですか? ワークワーク島?」

「あぁ、メソポタミアの神話を知っているかい。宇宙人が、地球に黄金を探しに来たという」 

「いえ、聞いたことないです」と、答えたが、実のところ、メソポタミア神話とワークワーク島には、直接関係はないようだ。


 が、シュベルツは宇宙人が発掘した黄金うち、残された黄金は、地球のあちこちに隠されているおり、その一部が、世界各地の黄金伝説だと考えているらしい。


 カルフォルニアのゴールドラッシユも、その一部だ。


「マルコポーロもアジアの極東に“ジパング”という黄金の島があると言った。

 ワークワーク島もアジアの東の果てにあるという。

 これって、同じ島ではないのか?

 海賊ならば、行って確かめるしかないんだとよ!」と、ドレイクは嬉しそうに苦笑した。


 その時、シュベルツの胸の中には、自由と冒険という炎が燃えていることがわかった。

 この男も自由と冒険を求めて、大海原に飛び出したのだと。


「オレは時間のかかる東周りでなく、誰も見つけていない西周りで稼ぎたい。

 新ルートでワークワーク島の黄金をヨーロッパに運びたいのだ。

 だから、それだけの黄金を運べる大型船を用意した。黄金郷へ行く、我らの船だ」


 私は思った。

 黄金郷だから、船名が“Ein Golden Paradies”号なのか?


***


 数日後、海軍から呼び出しがあった。

 ダブルスタンダードの件だ!


 しかし、ドレイクが上手くやってくれたらしく、幾ばくかの罰金ですんだ。



「さて、カネもよく払ったことだし、今度は稼ぐとするか」と、クルー達に告げると、これから、スペイン商船を襲うことにした。



 さて、港に着くと、シュベルツの“Ein Golden Paradies”号は、既にいなかった。

『出掛けたのか?』


 我らの白い船、“The key to the future”号も出掛ける。

 スペイン商船を襲いにだ!


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