メラリアはなにも変わらなくていいんだよ。
メラリア(おかん)視点。
めっちゃお花畑です。(笑)
読み飛ばしてもOKです。
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どうして? なんでこうなったの?
セディーとネイトが――――
二人でネイトの除籍を求めに来て、エドガー様がその書類にサインをして――――
その日から、我が家から使用人達が減った。
わたくしが実家から連れて来た侍女やエドガー様付きの執事、料理人など少人数は残っているけれど、他の通いの使用人達や、庭師、御者・・・一気に人がいなくなってしまったわ。
どうして?
いつの間にか、馬車と馬が無くなっていて、これじゃあお出掛けができないわ。お買い物に行くときにはどうすればいいのかしら?
外へ出ちゃいけないの? どうして?
わたくし付きの侍女が支度をしてくれるけれど、人が少なくなったからか、お掃除の行き届かない部屋が増えたような気がする。綺麗に花の植えてあったお庭も、雑草が増えて荒れてしまった。
どうして、こうなったのかしら?
わからないわ。
エドガー様は、わたくしに言ったの。わたくしを幸せにしてくれるって。
それなのに、寂れたお屋敷。
お掃除の行き届かないお部屋。
お食事も、前より質素で品数が減ってしまったわ。
お洋服もアクセサリーも、新しい物は買ってはいけないみたいなの。
エドガー様がお出掛けしないで一緒にいてくれることは嬉しいけれど、エドガー様のお元気がないみたいなの。
どうして? エドガー様は、わたくしを幸せにしてくれると言ってくれたのに――――
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わたくしは、子爵家の末っ子として生まれたの。
上にはお兄様が二人とお姉様が一人。四人兄妹でみんなと年が離れていて、とても可愛がってもらったの。
お父様もお母様もわたくしを可愛いと言ってくれて、ワガママを許してくれたわ。
家族にも、使用人達にもとても大切にされていたの。
「メリーは可愛いなぁ」
「可愛いメリーのおねだりなら叶えてあげるわ」
「お勉強ができない? お兄様が教えてあげよう」
「野菜が嫌い? 僕が食べてあげたのは内緒だよ?」
「刺繍の課題? 手伝ってあげるわ」
「メリーお嬢様はお可愛らしいですね」
「お菓子ですか? 仕方ありませんね。お姉様達には内緒ですよ?」
みんながわたくしに優しくしてくれた。
けれど、お勉強が苦手なわたくしは学園で少し苦労することになったの。
でも、宿題は完璧。お兄様達やお姉様が、いつもわたくしに教えてくれるから。
授業で当てられたり、テストのときには困ったけれど、留年するほどには酷い成績ではなかったから。
お友達はあんまりできなかったけれど――――
その代わり、エドガー様と出逢ったの。
エドガー様は難しいお勉強ができて、将来侯爵様になると一生懸命だったの。
なのに、エドガー様のお姉様ったら、エドガー様に「あなたはもっと努力しなさい」ってイジワルばかり言っていたのよ。
エドガー様はお勉強ができて、わたくしに親切にしてくれて、とっても優しいのに。
わたくしのお姉様やお兄様達は、あんなイジワルなことを言わないわ。わたくしがお勉強が苦手でも、いつも教えてくれるし、「メリーは頑張っているよ」って誉めてくれるもの。
だからわたくしも、
「エドガー様は頑張っていますわ」
そう言ってイジワルされていたエドガー様をお慰めしたの。
お兄様やお姉様、使用人達に言われて嬉しかったことを、エドガー様に言ってあげたの。
そうしたら、エドガー様はわたくしと結婚したいとプロポーズしてくれたの。
「君を幸せにするから、僕と結婚してくれないか?」
と、そう言ってくれたの。
子爵令嬢のわたくしが、侯爵令息であるエドガー様に結婚を申し込まれたことで、我が家は大騒ぎ。
お父様もお母様も、お兄様達もお姉様もびっくりしていたわ。
わたくしは、家族みんなが喜んでくれると思っていたのに――――
なぜかお父様とお兄様達は浮かない顔。
「メリー。メリーが侯爵夫人になるのは難しいと思うんだ」
「メリー、もっとよく考えてごらん?」
「お断りした方がいいと思うよ?」
そう言ったの。なんでかしら?
お母様とお姉様は最初は喜んでくれたのに、お父様とお兄様達の言葉で、おめでとうとは言ってくれなくなってしまったの。
なぜ? エドガー様はわたくしのことが好きで、「僕はメラリアと結婚したい。他の女性とは結婚しない」とまで言ってくれたのよ?
子爵家と侯爵家とでは、確かに少し身分差があるけれど、恋愛小説では身分差を乗り越えた二人は幸せに暮らしました、ってどのお話もハッピーエンドになるのよ?
うちにだって、侯爵様との繋がりができるのに・・・?
疑問に思っているうちに、エドガー様がどうしてもわたくしがいいと言って、婚約を結ぶことになったの。
そしたら――――
お父様とお兄様達が、わたくしには難しいと言っていた意味が少しわかったわ。
エドガー様のお姉様が厳しくて、少しイジワルなことはわかっていたの。でも、エドガー様のお母様まで厳しくてイジワルだなんて思っていなかったの。
侯爵夫人になるためのお勉強と言って、難しいことをわたくしに要求するのよ。
わたくしは、困ってしまって・・・とうとう泣いてしまったの。家族や使用人達、同級生はわたくしが泣いたら許してくれるのに。お義母様は、許してくれなかったわ。
すると、エドガー様がお母様のネヴィラ様からわたくしを庇ってくれたの。そして、
「メラリアはなにも変わらなくていいんだよ。僕が幸せにしてあげるから」
優しくこう言ってくれたの。
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