れ、レザン先輩よりも無神経っ……
「そうだね」
エリオットは女性が苦手だし、おばあ様世代のお茶会に参加することもあまり無さそうだから知らなかったみたいだけど。
実はわたし、エリオットと知り合う大分前……もしかしたら物心付く前とか? くらいから、フィールズ公爵夫人とは顔見知りなんだよね。
ま、わたしも、エリオットがフィールズ公爵夫人のお孫さんだと知ったのはここ最近(騎士学校を卒業してから)で、フィールズ公爵夫人に「孫のエリオットがお世話になりました」って言われてからなんだけど。
まさか、おばあ様のお友達だと思っていたご婦人が後輩のおばあ様だったなんて、思ってもみなかったよ。
「な、な、フィールズ」
「はい、なんですか? メルン先輩」
「お前、女の子苦手なんだよな?」
「はい」
「ばーちゃんは平気なん?」
テッドの不思議そうな疑問に、
「あ、はい。僕が苦手なのは僕と同年代か姉様達くらいの年上の女の子達ですからねっ。お母様とおばあ様には、姉様達みたいに酷いことはされなかったから平気です。それに、お母様とおばあ様はもう女の子って歳じゃないですし」
にこにこと、それはもう、女性にすっごく失礼なことを、笑いながら言ってのけるエリオット。
コイツ、なにげにこういう無神経なとこがあるよなぁ。実は案外、エリオットのこういう部分が姉君達を怒らせていた原因ではなかろうか?
「うっわ、お前それ、お母さんとばーちゃんにめっちゃ失礼じゃね? 聞かれたらきっと、むちゃくちゃ怒られんぞー」
「え? お、怒られちゃうんですかっ?」
「……俺でも、フィールズが今かなり失礼なことを言ったのは判るぞ」
「うむ。女性に年齢のことは禁句と聞く」
テッド、リール、レザンがエリオットを窘める。
「そ、そんなにダメなんですかっ!?」
「ま、エリオットが女性に対して失礼で無神経なことは
「し、失礼で無神経っ……」
「だよなー。レザンに言われるなんて相当だぞー?」
「れ、レザン先輩よりも無神経っ……」
ガーン! と、わかり易くショックを受けたような顔をするエリオット。ま、無神経な人って、自分が無神経であるということに対して自覚が無いことの方が多いよね。更にそれを、鈍感なレザンにまで指摘されるとねぇ?
「とりあえず、お茶会はテストが終わってからだね。そうじゃないと、参加できるかもわからないし・・・」
「うむ。そうだな」
「そ、その、もしかして、実はハウウェル先輩もテストが心配だったりするんですかっ!?」
赤点の心配は特にしていない。けど……
「ん~、ほら? 未来は確定じゃないし。万が一、わたしが赤点を取る可能性が無くもないでしょ。エリオットの家でのお茶会が、億劫だなぁ……なんて、ちょっとしか思ってないよ?」
「ぼ、僕のうちに来るのが嫌なんですかっ!?」
「いや、新学期早々、色々とあったからね。帰省中はうちでのんびりする予定だったんだよ。耐久レースをしたり、その後でどこぞの泣き虫に体当たりされて怪我したりとか」
もう治ってるけど。
「ぁぅ~・・・」
「ハウウェルがフィールズのこといじめてるー」
「もう、いやですね。メルン先輩ってば。優しいハウウェル先輩が僕にイジワルだなんて、そんなことするワケないじゃないですか~?」
「おおっ、無駄にハウウェルへの信頼が厚いな! お前さ、こんなキラキラした信頼の目で慕われて、なんとも思わねーのかよ? もうちっと優しくしてやれよ? こーんな可愛い顔してんだからさ」
「フィールズはハウウェルに懐いているからな」
「はいっ」
「・・・エリオット」
「はい、なんですか?」
「テッドを見詰めてあげて」
「?? え~っと? はい」
首を傾げながらも、言われたまま素直にテッドを見詰めるエリオット。
「・・・っ!? びっ、美少女な顔が俺のことを見詰めてるっ!!」
じっと目が合うこと数秒。テッドは顔を赤くして、バッとエリオットから目を逸らす。
「もうっ、僕は女の子じゃないですよっ!?」
「で、どんな気分なの? テッド」
「美少女な顔にドキドキするぜっ!! ハッ! まさかハウウェルもっ?」
「そんなワケないでしょ。全く・・・」
結局、エリオットの家でのお茶会は帰省解禁直後の休暇ではなく、その翌週の予定になった。
帰省解禁直後だと色々とバタバタするし、それぞれの家からフィールズ伯爵家まで向かうのか、それとも学園からフィールズ家へ向かうのかと、移動手段の調整も必要となる。
そもそも、中間テストの方が先なんだし。お茶会なんかは後でいいと思う。
うん。エリオットのお礼も、お高い菓子折りを貰ったから十分なんだよね・・・
一応、テッドとリールに考える時間が増えたのは、よかったかな?
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