僕達も一緒に遊んでいい?


「いや、それは別に要らない。なんか、テッドが珍しくまともな理由で怒ってるなぁって思って」


 いつも大体アホなことを言っているか、へらへら笑っているし。女の子が絡むことでわーわー煩く騒いでいるくらいでしか、テッドが怒ってる姿を見たことなかったし。


「もー、ノリ悪いなー。ハウウェルは。つか、なにそれ? そんな驚くことか?」

「うむ。俺も少し驚いたぞ」

「俺も。だが珍しく、本当に真っ当な理由だった」

「お前らな、俺のこと一体なんだと思ってんだよ?」

「……お調子者」


 不満そうなテッドに、ぼそりとした呟きが答えた。まぁ、確かに。テッドは、お調子者な感じはあるかもしれない。


「ふっ、ムードメーカーということだな!」

「……ポジティブな奴だ」


 それからなんとなく、会話が途切れたときだった。コンコンとドアがノックされて、


「こんばんは。入ってもいい?」


 とセディーの声。


「うむ。どうぞ、お入りくださいセディック様」


 レザンが応えて、


「あ、やっぱりこっちにいた」


 わたしを見て、にこにこと上機嫌なセディー。その後ろから、荷物を抱えたライアンさんまで部屋に入って来た。


「どうしたの? セディー」

「ネイトのお友達が折角せっかく来たんだから、ゲームでもどうかと思って」


 と、ライアンさんが持っていたトランプやチェス、ボードゲームが広げられた。


「えっと、僕達も一緒に遊んでいい?」

「もちろんです、おにーさん!」

「ライアン先輩も、どうぞ」

「なにからしますか?」


 わたしが答える前に、アホ共がゲームを手に取る。


「ハンデあげた方がいいと思うけど」

「なにを言うハウウェル、男なら正々堂々勝負に決まってんだろ!」

「ふ~ん……それじゃ、がんばりなよ」

「え? ちょっ、全部取る気ですかおにーさん!」

「ふっ、速攻で全滅だな!」

「ま、負けた~っ!?」

「……惨敗だな」

「もう一回っ、そして容赦を! ハンデをください!」

「さっき、男なら正々堂々って言ってなかった?」

「ふっ、そんな昔のことは忘れたぜ」

「ふふっ、いいよ」

「……なあ、もうゲームを変えた方がよくないか? 戦略は無理だろ。運要素くらいしか、勝てる気がしないぞ」

「カードゲームにでもする?」

「フハハハハハ、俺が大富豪だぜ!」

「スピードはやっぱり、レザン君とネイサン様の一騎打ちですか」

「・・・」

「どうかした? レザン」

「うむ。少々腹が減った」

「ふふっ、お菓子頼んで来ようか」


 と、お菓子や飲み物があれこれ用意されて、みんなでわーわーとゲームをして夜が更けて行った。


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