さっさと食べて教科書でも読み返したらどうだ?
アルレ嬢がまた来て・・・なんだかよくわからないけど、なぜか無駄に話し込んでしまった。
まぁ、いつものアレな感じよりは、素のはすっぱな雰囲気のアルレ嬢の方が話せはするけど。
アルレ嬢の相手をする気が無くて、話す気も全く無かったというのになぁ。
ああでも、そういう相手に話を聞かせるというのも、ある意味才能なんだと思います。なんだかんだ、難あり子息達にハニートラップを仕掛けて成功させているのは伊達じゃないということでしょうか?
とは言え、かなり迷惑なことに変わりはないんだけどねっ!
そんな風に寝不足を感じつつも、授業を受け・・・時間は、無情にも刻一刻と過ぎ去り――――
「・・・やれるだけのことはした。これで駄目なら、俺はもう・・・」
「諦めんじゃねぇっ!? あんなに苦しい思いをしてがんばったじゃねぇかよ!! 俺だって不安なんだ。ライアン先輩やリールに教わったことを思い出せ! 勉強に飽きてリールにどやされて、機嫌取りに買ったお菓子の数々を無駄にする気か!」
いつもは無駄に堂々とした態度のレザンが沈痛な面持ちで俯き、テッドがそんなレザンへと真剣な顔で、なんかちょっと的外れなことを言っている。
朝っぱらから元気だな。わたしはまだちょっと眠いというのに。
「……なにが機嫌取りだ。一番菓子を食ってたのはお前らだろうが」
そして、ムッとした顔でぼそりとツッコミを入れるリール。
「違いますー、一番お菓子食ってたのはレザンだし」
「だから、お前らだと言ってるだろ。アホなこと言ってないで、さっさと食べて教科書でも読み返したらどうだ? 全く……」
言い返したテッドに、リールは呆れ顔。
「・・・もう教科書とか見たくねー」
「成績が怪しいのはお前らだろうが」
「リールが冷たい!」
「騒いでも、後で困るのは自分の方だぞ。留年回避が目標なんだろう?」
「うむ」
「そうなんだけどよー」
――――そう。とうとう、来た。
一年間で学んだことの集大成を試す・・・学年末テストの開始日がっ!?!?
「わかってるわかってる。つか、ハウウェルはまたいつもより静かだな? 遅くまで勉強してたん? ちゃんと起きてっか? テスト中寝たりしねぇ?」
「……寝ないから」
「わー低い声ー。機嫌悪そー」
「別に。普通だし」
ちょっと眠いけど。
「お前らが下位クラスに落ちたら笑ってやる。せいぜい頑張ることだな」
「おう。リールもがんばれよー」
と、わちゃわちゃと朝食を食べて、学年末テストの初日に
✐~✐~✐~✐~✐~✐~✐~✐
一応、そこそこ書けたと思う初日のテストが終わり、今日の……というか、このテスト期間中は午後からの授業が無い。
晴れやかな顔で教室を出る生徒。それとは対照的に、酷く顔色の悪い生徒。怒ったような顔の生徒。悔しげな生徒。
口々にテストのできや愚痴、これからの予定などを話すガヤガヤとした声が溢れる。
これから明日のテストの教科の勉強をするもよし。ゆっくりと休んで明日に備えるのもよし。みんなそれぞれ、思い思いに過ごす。
わたしの目算だと、七割くらいは間違ってない筈……だと、いいなぁ。
とりあえず、わたしは……昼食かな?
そして、いつもの面子が食堂のテーブルを囲む。
「で、どうだったよ? 解けたか? レザン」
昼食を前にしているというのに手を付けず、深刻な表情のテッド。
「うむ。感触としてはそう悪くない……と、思うぞ」
一応頷いてはいるものの、どことなく自信の無さそうなレザン。
「むずかったよなー。一応多分、半分くらいは正解してっといいんだけどなー」
「うむ。さすがは学年末テストと言ったところか……」
正当率五割以上が、普通クラスのボーダーライン。五割未満が下位クラス。そして、四割未満だと、留年となってしまう。
「ハウウェルはどうよ? 余裕だった?」
「そんなワケないでしょ。普通に難しかったよ」
「……お前らな、習ったことを
と、わたし達に呆れたような視線を寄越すリール。
「え~、だって範囲広かったじゃんよー。普通のテストは、もっと範囲狭いしー。せんせー達も、どこがテストに出るって教えてくれなかったじゃんか」
「進級テストも兼ねているんだから当然だ」
「中間テストくらいなら、一夜漬けでもどうにかなるのによー」
「徹夜はあまり身体によくないぞ?」
「そういう問題じゃないだろ。そもそも、ギリギリになって慌てるような勉強の仕方を改善しろと言っているんだ」
「ふっ、わかってねぇな? リールはよ」
「? なにがだ?」
「この学校は、結構できる人ばっかいるからあんま実感ねぇかもしれないけどな? それに、人間ってのは忘却する生き物なんだ。だから……世の中の大多数はな、俺みたいにテスト前になって慌てるような奴なんだぜ!」
どうだ! とばかりに胸を張るテッド。
まぁ、テッドの言う通り。実際はそういう人達の方が多いとは思うけど・・・
「概ねその通りだとは思いますが、胸を張って言うことじゃないですよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます