・・・もしかして、仲間認定?
バタバタとしたような、そうでないような……
週明け。今日からまた授業です。
放課後が楽しみなような、どういう顔をしてセルビア嬢に会えばいいのかわからないような、そわそわしたとした落ち着かない気分で・・・
わたしが婚約したワケでもないのに・・・なんかこう、セルビア嬢と顔を合わせるのが気恥ずかしい!
そんな風に授業を受けて、放課後。
「よう、ハウウェル。今日はどうすんだ?」
「久々に走るか、それとも打ち合うか?」
テッドとレザンの二人と合流。
「え~と、乗馬」
「ふむ。いいだろう」
と、馬場へ向かった。
「な~んか今日、そわそわしてね? ハウウェル」
「アルレ先輩となにかあったのか?」
「え? ああ、違う違う。ちょっと、プライベートでね……」
いやぁ、セディーとセルビア嬢のことで頭が一杯で、アルレ嬢のことをすっかり忘れていたよ。レザンと行動しているお陰か、ここ
こういう気が緩んでいるときが一番危ないんだよね。学園では、もっと気を引き締めなきゃ。
「なんだ? いいことでもあったのか?」
「うん。実は……」
「ネイサン様!」
呼ばれた声の方を向くと、にこやかな顔で手を振るセルビア嬢。
「っ!? なっ、ハウウェルおまっ、いつの間に副部長に名前で呼ばれるような仲になったんだこの野郎っ! ついこないだまではハウウェル呼びだったじゃねーかっ!」
「ちょっ、テッド!」
ぐわっとテッドに詰め寄られる。
「さあ吐けハウウェルっ! 今すぐっ! 一体全体、なにがあって美人さんな副部長に名前で呼ばれる経緯になったのかっ、観念して洗いざらい吐きやがれこの野郎っ!?!?」
「落ち着けテッド、近いから。あと、肩痛い」
「お前が吐くまで問い詰めるからなっ!?」
「あら、どうしたのですか? メルンさん」
「! 副部長っ!?」
「ぁ、セルビア嬢……」
「ふふっ、ケイトでいいですよ? ネイサン様」
セルビア嬢が微笑みながらそう言った瞬間、くわっとテッドの目が見開いた。『どういうことか説明しろこの野郎』と、声に出さずにその口が動く。どうでもいいけど、顔がコワいな。
「先日は、可愛らしいぬいぐるみをありがとうございました。ふわふわで触り心地が良くて、凄く喜んでいて、寝るときには抱っこして寝ているんですよ?」
どうやら、セディーと二人で選んだひよこのぬいぐるみは気に入ってもらえたらしい。よかったと思った瞬間、テッドに掴まれたままの肩に、ぎちぎちと力が入る。なにげに握力強いな。少し痛い。
「それはよかったです。・・・と、失礼。いい加減放せってば!」
ぎちぎちと肩を掴む手を振り払う。
「説明!」
「もしかして、取り込み中でしたか?」
「いえ、なんでもありません! お気になさらず。それより、副部長はハウウェルに用ですか?」
いや、突っ掛かって来てるのはお前の方だろ……と、思うけど、今は言わないでおく。
「この間、リヒャルトがお世話になったことと、ぬいぐるみを頂いたことへのお礼がてら、ネイサン様に……是非ともリヒャルトの可愛さをお伝えしておこうと思いまして!」
「へ?」
きらきらとした笑顔で力強く言い募るセルビア嬢の言葉に、きょとんと瞬くテッド。
「・・・もしかして、仲間認定?」
どういう
「ふふっ、仲間……と言えば、そうなのかもしれませんね」
クスクスと笑い、
「リヒャルトを肩車して、鳥の巣を見せて頂いたのだとか。赤ちゃんの鳥さんが可愛かったです、と。リヒャルトがとても嬉しそうで。更には、もふもふの二羽のひよこを抱っこするリヒャルトは・・・とってもとっても、すっごく可愛かったんですっ!! ありがとうございます、ネイサン様」
うっとりとした表情で力説。
「いえ、リヒャルト君が楽しかったのであればよかったです。ひよこも気に入ってもらえたなら嬉しいです。実はあのひよこ、セディーと二人で一羽ずつ選んだので、セディーも喜んでくれると思います」
「そうだったのですか。どちらも可愛らしかったですよ? では、セディック様にも、後でお礼の手紙を出しておきますね」
「ありがとうございます」
うん。よかったよかった。
「あの~、副部長」
そろりとセルビア嬢へ呼び掛けるテッド。
「はい、なんでしょうか? メルンさん」
「なんだか、ハウウェルとすごく親しくなってるみたいですけど、休みの間になにがあったんですか?」
「休みの間に、ハウウェルと剣でも交えましたか?」
「なんでそうなる!」
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