第2話 仮面の少年
小学校の卒業式は仲のいい友達もできて、楽しく過ごすことができたけれど、中学校になったらわからない。わたしの頭の中はもやもやとしていた。中学校生活は大変だとお母さんが言うけれど、お父さんは楽しいし、楽だよって言っている。4つの小学校が集まってる北中第三中学校はマンモス校であった。「明日の入学式ふあんだよね」そうミサキに言った。「まあでも、明日のクラスがどうなるか楽しみだけどね」
「いいね、ミサキは男子からもモテルからさあ」ミサキはモテた。小学校にしては背が高く手も細長く、小麦色に焼けていて、勉強もスポーツもできた。くっきりした二重でうらやましいっていつも思ってる。
「そんなことないよ」ってミサキは言うが、うらやましく見えた。
入学式は全員が緊張していて、気づいたらあっという間に終わっていた。
三年生たちからの一年生への挨拶が妙に大人っぽくて見入ってしまった。自分もあんなふうになれるんだろうか、不安もあったけど、新しいクラスにワクワクしていた。
午前中で終わって、帰りはミサキと一緒に帰ることになったがけど、お互いのクラスの話で盛り上がって気づいたら、夕日が沈みかけ、月が顔をのぞかせていた。
どういうこと? なんで私なの?
仮面の少年は何を言っているんだろう、頭の中がこんがらがった。
「私を呼んだってどういうこと?みんなでって」
俺も読んだんだ
どこかで聞いたことのある声がした。はっと振り返るとミサキがいた。しかしそのミサキは剣を持ち鎧を着ている。顔は似ているが、少し険しい様子だった。
「ミサキ無事だったのね」
「無事?何がだ?」
「ほら、さっき黒い魔法陣が出てきて、二人で逃げようって言ったじゃない」
「・・・」
ミサキは黙った。そしてしばらくして、重い口を開けた。
「この世界と、ミスズがさっきまでいた世界は違うんだ」
えっ何言ってるかわからなかった。話が分からなさ過ぎてまったくついていけない。
そして仮面の少年が困惑した私に、うなずきつつ話しかけてきた。
「この世界はミスズ様がいらした世界とは違います。ミスズ様の世界と同じ人間がすみ、同じ時間で同じ曜日ですが、違うのです」そう少年が語りかけたが、私はまだドギマギしていた。
「物分かりが悪い奴だな相変わらず。並列世界ってやつだ」ミサキのきつい言葉が飛んできた。普段は物静かなミサキとは大違いだった。ミサキの言葉でやっと少し理解できた。私は知っていた。並列世界を。
「それで、私に何をしろっていうの?」
「こちらをご覧ください」仮面の少年は扉をあけた、
そして驚愕することになった。
えっ・・絶句してしまった。
そこは見たことがあったが、変わり果てた私たちの町だった。
「これはどういうことなの?何がおこっているの?」
「この世界はもう終わりが近いのです」少年は肩を落としそうつぶやいた。
私はまだ現実を受け入れられずにいる受け入れたくもなかった。
「それじゃあ、わからない」声を荒げた。
「この世界はユウナ様の手にかかり、戦争がはじまりもうすぐ、滅びようとしています。」
「ユウナ?いもうと?」私は一瞬戸惑ったが、思い当たるのは妹しかいなかった。
「はい」少年ははっきりとそう返事をしたのだ。あの優しいユウナが、この世界では暗躍しているというのか。
「こ、この世界の私は何をしていたの?」この世界にも自分がいるはずだ、なら、止められたはず。
「この世界のミスズ様は亡くなられました」仮面の少年は下を向いたまま。強い口調で言った。表情は見えないが、怒りで震えた声だった。
私は愕然としてしまった。この世界では自分は死んだんだと。自分とは関係のない世界かもしれないが、自分が死んだと聞くと心がすごく重く感じたきがした。そして、この仮面の少年が怒りで泣いている姿は、どこかで見たことがある気がした。
「どうして?」私は率直に知りたかった。
「ユウナ様に殺されました」仮面の少年が言いたくなさそうだった。
「やっぱり」思い当たるところは多々あった。
「それで私にどうしろと」
「ユウナ様をころしてもらいたいのです」
「・・・」そう、やはりそういうことかと。
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