Futatu no SEKAI

YUTAKA

第1話 はじまり

自分が困ってるときに助けてくれる


いつも隣で笑ってくれる


自分のことを犠牲にしてでも戦ってくれる


そんな人は


そんな人はいないとそう思っている


私は知っている。



北第二東京市 若者たちの声が飛び交う 三年の春。新学期が始まる。桜も満開

新学期が始まったばかりでの学校帰りのことだった。

空に丸いそこだけ夜空なようなものが広がる

雲でもない。そうなにかなのだ。不安が襲う。

初日の授業も終わり下校の途中

「空が、穴が開いているみたい」そういったのは小学校からの同級生のミサキだ。ミサキは真っ暗の空を見上げてそういう。

「やばそうだね」私はそう言った。

遠くの空にもやのようなものが現れ、だんだんと大きくなって見える。はっきりわかった。人の形をしたなにかがこっちに近づいてきた。「逃げよう」ミサキがそういったが、ミスズは怖さ半分興味半分で泥沼に足が沈んだかのように動けなくなってきた。みさきが何か言っているが、だんだん言葉が遠くなっていった。あれはみたっことがある。魔法陣っていうやつだ。「・・・ミス・・ズ・・・」、そうはっきり聞こえたのだ。「だれ?あなたは」思わず声が出たと同時に周りの景色がぐらりぐらりとして、地面が波うっている。ビルや建物は踊るような風にも見えたが、崩れていくそして、ミスズも崩れていった。意識が遠のいていく。みんな。お母さん。お父さん。怖い。助けて。誰か。そして真っ暗闇のなかに引きずり込まれていった。



困ってるときに助けてくれる


いつも隣で笑ってくれる


犠牲にして戦ってくれる


そんな人は


そんな人はいないとそうみんな知っている。


私も知っている。


この世界はそういう小さな世界。




足や手に寒さが忍び寄る、そして、はっと目が覚めた。床が半分凍っているのが目に入る。周りを見渡すそこは大広間のような場所で、たくさんの絵画が並んでいた。シカやクマなどの彫刻などではなく気味が悪い生々しいデーモンの置物。「ここはどこ?私は助かったの?」そう思ったとき、大広間の真ん中にある階段から幼い男の子が下りてきた。「ミスズ様」と男の子が声をかけてきた。一瞬心臓がドキッと感じた。なんでこの子は私のことを知っているのだろう、こんな大広間で悪趣味の絵や彫刻。明らかに普通じゃない。しかし声をかけられている以上返事はしなければ「ええ、そうですが、どちら様でしょうか」家の電話を出るような感じの受け答えになってしまったが、声をなんとか出すことができた。「ミスズ様の忠実なるしもべです」悪魔の仮面をかぶったその幼い子はそういった。

それよりも学校のみんなや、お父さん、お母さんたちは大丈夫なの。「一緒にいたみさきは」と問いかけた、「彼女なら大丈夫です」大丈夫ってどういうこと、無事ってことでいいんだよね。あまりにも露骨な物言いに驚いてしまったが、もう家に帰りたい。おなかも空いてきたし家に帰ってみんなでご飯食べたりしたい、そう思うと言葉が出たいた「家に帰らせてもらいます」知らずのうちに怒るような口調になっていた。勝手すぎる。こんなところに連れてこられて、いったいなんだっていうんだ。

大きな門を開けようとするが出ることができない。「お待ちくださいミスズ様」仮面の男の声が荒げた。「ここはあなたのいた世界ではありません」どういうこと、と頭にふと浮かんだが、嘘に決まっている。嘘なんだ。ありえない。

門をこじ開けようとしたとき仮面の幼い子が言葉をかけた「ミスズ様!どうか落ち着いてください、あなたをこの世界に呼び出したのはわたくしたちなのです。どうかこの世界を救っていただきたいのです」「えっ」と声が出た。「この世界にはまた、ミスズ様の力が必要なのです」必死な声で仮面の少年は言う。



「どういうこと?」


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