第11話 私は決して騙されませんことよ
――その後も様々なアイディアを思いつく度にラングレー会長と打ち合わせをして、そのうち社交会でも話題になるほど新商品は人気となってまいりました。
「ヴィオレット嬢のおかげで我が商会もこの店も繁盛していますよ。」
「そうですか。それは私に話を持ってきて下さった会長や、職人の皆様、社交会の御令嬢方のおかげですわ。特に社交会の華であるフォスティーヌ公爵夫人が贔屓にしているということが価値があることですもの。」
私がラングレー会長と一緒に商品化に取り組んだものは、新しく作ったものもあれば既存のものをより良くしたものもありますわ。
「特に私たちが最初に取り組んだのど飴と、ハーブの蜂蜜漬けが人気ですよ。」
のど飴のアイディアは、いつもお元気な(大声でお話になる)フェルナンド様の喉は大丈夫なのかしらと思ったのがきっかけであることは私だけの秘密ですのよ。
「今まで、ハーブティーに蜂蜜を入れることはあっても、蜂蜜にハーブを漬け込んだ物などなかったですからね。ハーブティーだけでなく、飾って見た目も楽しめると人気ですよ。」
とても嬉しそうなラングレー会長を見ていると、私のような非力な令嬢でもアイディアさえあればお商売の役に立てるのだと自信を持つことができましたわ。
「ハーブが好きで、自分があればいいなと思ったものを伝えたまでですけれどね。どうもありがとうございます。」
「ヴィオレット嬢には商売の才覚がお有りだと思いますよ。このままずっと、私の商会を助けていただけると嬉しいのですが。」
あら、またまたさりげなく口説いてきてますわ!
フェルナンド様の計画を知らなければ、他の御令嬢方のように私もおそらくこの外見も態度も素敵な男性に陥落していたでしょうね。
――それでも、私は知っていますもの。あなたのその笑顔はターゲットに対する笑顔だということを。
「お言葉だけ、有り難くいただいておきますわ。」
私は絶対に別れさせ屋の計画には乗せられませんことよ!
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