第19話 それぞれの道
そして相変わらず魔との小さな小競り合いは続くものの変わりない日々が続いてた。
今日は何事も無いみたいなので遠路をでて帰ろうとすると。おもむろにデーターさんが立ち上がる。
「俺もしばらくは何も無いとき家に帰るわ」
『ええええーっ!!』
みんなして驚く。
いや、本当に驚くって。自宅勤務許可のプログラムの大社で働くデーターさんは家では仕事をせずに喫茶でいつも仕事をしていた。ほぼ閉店時以外ずーっと居座っている主なのだ。
「同棲を始めたんだよ。近いうちに籍も入れる。おなじプログラム魔だから、所属も俺と同じでここになる。そしたら連れてくるから。俺がここにいないのは長くはないと思う。つきあいだけなら20年になる。恋愛感情はないと思っていたんだ。今年の始め始めて対面したら急速に関係が深まって、とうとう職場やめて俺の家きちまったんだ。今はオリジナルソフトで稼いでる。一人だけの会社立ち上げてな」
「コンピューター魔ね。芋臭そうな女かガチガチのインテリ女イメージだな。どんなのだよ。20年っていつからやりとりしてんの?」
「知り合ったのは小学2年だ。ずっとネットではやりとりしていた。美人だよ。これでもないぐらい嫌味にな。元ソフトが卑弥呼だそれも当然かもな」
「どんなソフトなの?」
私は何気なく聞いた。それに悪びれも無く答えたのは一角君だ。
「女の裸体画像を作り上げるプログラムだよ。20年前ならプログラムで2D画を書き上げてたはずさ。現代卑弥呼は3Dを視覚とお絵かき感覚で作れるぜ」
「男は書けないの?服は?」
「描けない。男のためのソフトだから」
この時、私は棒立ちの女の人を想像してた。まさかあーんなポーズやこーんなポーズを描いて楽しむソフトだと知ったのは卑弥呼さんがギルドに所属してから知ることである。
口付けをすなとする。すなが死掛けて自分からすなに口付けをして以来、私の口付けの技術は急速に高まった。すなを求める気持ちが私にも芽生えいやらしくなったと言えよう。受け止めるだけとお互いが求める口付けとでは自然と変わってくる。
そこへぽんと開けて入ってくる兄。私がすなの家に一度飛び出して以来。キスシーンぐらいでは動じなくなった。というか諦めモードに入ったというか。ともかくため息をついて机にお茶を置く。
「お前ら、それで勉強になってるんだろうな」
「なってるさ。きなが今の勉強に追いつけるようになったから宿題と予習、復習だけで済むんだ。以前の1/3の時間で学習はすむ」
「その分、いちゃついてるのか?時々鍵もしまるようになったし」
「それは、ちょっと、兄貴にはお見せできないので…」
と作り笑いする私。兄はまたため息ついて
「承知してるさ。もうじき卒業だしな。籍いれるのか早々?」
「うん。そのつもり」
「また出て行くんだな?」
「ごめん。そのつもり」
「その頃には俺もでていくし、次兄が後は上手くやると思うが…寂しくなるな」
「でてくって…結婚するの?とうとう?」
「まずは籍だけだ。やっと踏ん切りついたというかつけさせてもらったというか」
兄が遠い目をして笑うと兄はでていく
「ふられたの初恋の相手だよ。二股かけられて金持ちに取られた24の時かな。
籍入れるのは職場恋愛の女性。ここ一年で親密になったっぽい」
「あまり人の心は覗かない方がいいよ、すな」
「仕方ないだろう強い思念は勝手に入ってくるんだから」
「幸せになってくれるといいな兄貴」
「ああ、そうだな。それでも俺はお前が妊娠した時ひっぱ叩いたお前の兄貴を心から許す日はこないだろうけどな」
「…それも見えるの?」
「見続けてる。普段はやりすごしてるみたいだけど俺がお前を貰うと宣言した日から顔を合わせるたびに思い出してる」
私はすなによっかかり
「なら、許してやってよ。それはきっと後悔の念なんだから」
「わかってるけど…俺はお前のものだ。中心がお前にあるんだよ」
「許そう全てを…すなが言った台詞だよ」
「全くだな…」
それぞれの新しい生活が始まろうとしていた。
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