第18話 人魔<<じんま>>

今度のことで解ったから、とてつもなく求められてること。愛する人の側で仕事に明け暮れてるのが一番いいだろう。私は『遠路』に入っていった。

「ごめんね。今日はきなちゃん、おうちに帰れないわ」と桜さん

「そうですか。最近微妙に増えてない魔の数」


「それも人魔という人が作り出した魔がな。どこかに組織があると思うんだが見当もつかん」

とデーターさん。



鏡境結界を張りいって見るとスマホから大きな画像が飛び出てる。なんかコマーシャルで見たことある画像のような気がする。


「ありゃ’チャレンジャー5~大いなる勇者たちよ’の基礎キャラクターの一つだな。突き刺してみるか?」

と一角君。へー、一角君でもゲームするのかなぁ。と新しい発見。剣術馬鹿だとこの四年間思っていたよ。意外と現代っ子だ。


そんなのがなんで炎火さんと結ばれてるか不思議でならない。生きてる年数さへ違いすぎるし炎火さんの強さは押し倒してどうにかなるレベルじゃないから炎火さんの方も間違いなく惚れている。


ついでにいうなら桜さんとないないさんも結ばれている。学校へ行けなかった昼時ごはんをもらいに入ったら口付けしている二人を見たことがある。後にも先にも店でそんな所をみたのはその時だけだが呼び鈴壊れてたしな。


なのでデーターさんだけが独り者である。やっぱり禿は大きいと思う。20代なのに40代にも見えないことはない。そのデーターさんが言う。


「デジタル世界なら俺のほうがいいだろう細かい対処ができる。きな防御と強化の結界を俺に頼む」

「防御は当然だけどプログラムの魔に強化までいるのぉ?」

そう言いながら印を結ぶ。


「最近のゲームを舐めると死ぬぞきな」

と一角君。ほー、そうなのか無縁の世界ゆえ私には理解できない。アナログ人間なのだ私って。スマホも携帯とメールしか使ってない。


一気にスマホが掻き消えるほどの磁場が発生したと思ったがあっという間にスマホは再生する。え?データーさんのプログラム破壊が効かない?再生能力あるのか…マジ舐めると死ねる。私はデーターさんにも持続治癒をかけた。こっちだって成長しているのだ。


データーさんが基本通りにゲームを始めた。たぶんプログラムレベルでの対戦をしている。画像は映し出される前にどんどん消えてくが…これ真面目につきあってたら夜が空けないか?


そしてそれはほぼ的中した。真っ赤な朝焼けの中、今まで現れる前に消えていた画像が映し出されたのである。しかもどんどん実体化していく。

「実体化すればこっちの思うつぼだ」

と炎火さん。私は慌てて全員に防御と耐熱冷をかけるが


「このゲーム1:1ゲー、他は参加できないぜたぶん。それにあれボスキャラ」

とりあえず皆で一斉に攻撃するが絶対的なバリアみたいな結界で皆はじかれる。防御というより拒否だこれじゃ。その間にデーターさんがコンピューターで一つの画像を生み出した。この場合キャラクターというのだろうか?


「すげー最高勇者全能神ゼウスだ。始めてみた。データー材料後で教えろ」

一角君の言葉は無視され対戦が始まる実体化したから攻撃も物理衝撃があると思ったが攻撃も防御も治癒もデジタルっぽい。


デジタル、ゲームの法則ににより存在しないものを生み出すことはできないらしい。ならば…私はデーターさんでなくゼウスに多生能力を付与する。ゲームには存在しない能力かもしれないがゼウスは知ってのとおり、神話の神様だ。そっちの威力が勝らないかと試してみた。


「ナイスだきな」

ゼウスが先ほどまで一つ一つ繰り出してた技をまとめて繰り出し始める。敵の実体化は消えデジタル化して崩れはじめる。そこからのデーターさんの猛進撃は凄かった。5分とせずに消えた。残ったのは1つのスマホ。


データーさんが踏み潰し

「媒体があるってことはやはり人魔だな」

「それよりゼウスのデーターをよこせー」

と一角君。データーさんが自分のスマホを投げる。コンピュータ経由でスマホを使っていたのか。


「…なんだよこれLV1から選ぶべき略奪アイテム全部決まってて一本道じゃないか。それもランダム派生アイテムまでありやがる。ゼウスなんてほとんど奇跡じゃないか、やり直しても作れる気がしない」


「やりなおしたとしてゼウスになれる確立は0.0001%をきるぞやめとけ」

データーさんはあっさりという。一角君がデーターさんをにらみつけて

「その確立をこの戦闘でどう生み出したんだよ」


「おれはプログラムの塊だ最初から相手のプログラムに忍び込みベストチョイスするように書き換えながら戦っていただけだ。このゲーム12回は別キャラでクリアーしてるしな」


「12回!でてから3ヶ月だぜ。重複キャラクリアー合わせると何回だよ」

「47回かな」

「私はとっても不思議なんだけどプログラムいじれる人がプログラムで遊んで何が楽しいの?」

「プログラムをいじらずに遊べばいい。もっとも中身を覗いちまったからな。このゲームはもうしないよ」

とデーターさんが言って歩き出すと、皆も歩き出した。今日の報酬はデーターさんの一人取り。私も五万だけいただきました。


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