第13話 ギルド


「きな、今日は気をつけろ。まだ遠いがこっちに向って魔が移動してる。人の作りし魔だ。式神も使われてる。夕方にはここの領域に入るだろう。俺は長に連絡とって来る」

そう言って玄関で別れた。昼休み校庭を見下ろすベンチ。いつもすなと昼食を食べる場所だ。まってても来ない。

教室に行くと授業途中で早退したとのこと。何事だ。息を飲む。急いで昼食を食べると(朝食抜いてお腹すいてたんだもの)私も早退して、喫茶『遠路』に向かいすなの話をした。


「おそらく戦闘準備に行ったのさ。人魔を狩るのは陰陽師が親役だからな。だが舐めてもらっちゃ困る。遠路はここらでは五本指には入る精鋭揃いだ。簡単には負けないさ」

とないないさん。


カランコロン音をたてて入ってきたのは一角君。彼も早退してきたのか。

「おい、すごい魔の気配が近づいてきてるぞ。通過させるか?取り押さえるか」

「取り押さえましょうか。ここを過ぎるとおもちゃ卸屋の『みんなのとも』とそれを過ぎて児童施設『桜に紅葉』どちらもひょっこのグループよ簡単に潰される。それをさらに過ぎれば茶屋『ぶんぶく』があるから必ずそこでなら仕留められるでしょうけど。


ギルドと言っても強さはさまざまなのだ。私とないないさんは結界師としてここらのギルドの結界を張るのに狩りだされることも多いがみんなのともは人間の10代が中心、桜に紅葉は施設のOBのたまり場でもあるし若い人格を持った魔の育成所でもあるがそれだけに力は不安定だ。ぶんぶくはぶんぶく茶釜を親分になんと50人を越えるギルドである。かずがものをいうそして強いものはとてつもなく強いらしい。50人もいると御呼ばれしたことはさすがにないのでお話で聞いただけだが。


カランコロンまた音が鳴る。入ってきたのは………???!

「たぶん、すなだよね?」

そう私が言ったのも無理がないと思ってくれ。平安衣装に身を包み化粧までしている。男の化粧なんてそうみれるもんでもないが平安衣装といえばわかるだろうしらぬりのあの顔をしているのだ。私は大笑いをした。

「笑ってろ。伊達の陰陽じゃねぇ。格好にも化粧にも魔が宿る。本気ってことだぞ」

「そんなにやばいの?」

「いや遠路ならどうにかなるだろうとは言っていた。おれはお目付け補佐役」


夕方まではのんきな時間が過ぎた。だが炎火さんが来ない。このギルド一番の攻撃手だ。さくらが連絡をとる。

「どうやら、渋滞に巻き込まれてるみたい。今歩いてこっちに向ってるって。どの道もどの道も渋滞で裏道さへ障害物にひっかかりみうごきとれなくなっちゃったみたい」

「式神に捕まったな。早退はしたんだろう?」

「昼前にはで早退はしてたらしいわ。進路方向が一緒なのでしんぱいはしてたのだけど…やられちゃったわね」

「これで一人脱落かよ。いてーな。うちは人数は多くないのに」

「歩いてちゃ無理かもだけど走れば?」

「無理無理、炎火が愛用のバイク捨て置くわけないだろーが、だいいち魔の速さのが走っても速い」



そして私たちは移動する魔の移動する場所へ。出来る限りでかい結界を張ると結界内に入った魔が止まる。それはとてつもなくでかい土の人形に変化したハニワというよりゴーレムだろう。

「無理だ桜は木の属性だろう。あれは土の属性だ勝てない。俺が出るよ」

とすな

「お目付け役は黙ってみてなさいすなくん。さんぐらい付けなさい!!」

そう桜さんは言うとゴーレムよりも一回りでかい桜の木に変化した。満開の桜、戦闘の場でなければ感嘆の声がもれただろう。まぁ他の人は見慣れているか…


木がざわめく。あのやわらかいはずの花びらが細き刃となってまとめてゴーレムを貫く。後ろからは一角君。走るのは黒き馬の一角。その角は1メートルを余裕で越えた。桜の花びらで弱くなった腹を貫かれ真っ二つに割れる。そして桜さんの攻撃はそれでは止まない。木の枝が鞭のように無数に伸び再生しようとするゴーレムを完全に叩きのめしゴーレムはただの土の塊と化した。

「すげー木が土を打ちのめすなんて何年生きてるんだよ桜さん」

と感心のつぶやきをはっするすな。

「女に歳を聞かない!ないない、仕上げ」

「あいよ」

印を結ぶと土はすべてすいこまれた。いつも思うんだけどないないさんの体は消化不良とか起きないのだろうか?ともかく戦闘は終了したかに思われたとき無数のこうもりが出現した。ないないさんは力を使った後だ私の結晶でこうもりたちを果たして狙えるか?一角君が刀を抜く。桜さんも両手に葉を持ち投げる姿勢。私もやってみるしかない!


一斉に力がこもった瞬間、無数のこうもりが炎上した。

「炎火さん?!」

「俺だよ。あのレベルの式神なら呪を唱える必要もない何匹いようとね」

とすな。すげー落ち着いてるしとっても強いでやんの。しゃくに触るなぁ。

「そうじゃなきゃお目付け役は務まらない。お前らが暴走したときの殺戮役だよ俺は」

心読まれた完全に。それよりもお目付け役ってそーゆことなんだ…他のギルドに属さない訳だ。私はすなを抱きしめる。それでも私を選んでくれた大切な人だ。

「すげー気持ちいい」

はっと気付く自分から胸に沈めてしまった。あまりの恥ずかしさに突き放す。

「なんだよ。役得だと思ったのに」

「こんな恥ずかしいことつづけられるわけないじゃない!」

顔を真っ赤にして叫んだ


キキキキーーッ。猛スピードで跳んできて急ブレーキで反転するバイク。それでも乗っている人物は動じない。自分が赤いならバイクまで赤にすることないのに。炎火さんだ。

「やっと動けるようになって飛ばしたが、終わった後のようだな。無事か桜?」

「まだ、余裕よ花びらで間に合ったわ」

「それならいいが桜は無茶するから」

「あら?炎火だってかなり無茶する方よ?」

「ともかく遠路に帰ってお茶でもしないかー」

とらいらいさん。すなも含めて遠路に帰った。


「金の出所は桜さん?」

すなが聞く

「まさか一時的な肩代わり統括ギルドから必要資金はでているわ」

「やっぱり統括ギルドか」

「それがどうかしたの?」

「陰陽の金も統括から出てる。でもあそこのこと知っている人と出会ったことないんだよね」

「いらない詮索はしないほうがいい。秘密があるなら殺されかねん」

と炎火さん。ないないさんもうなづいている。

「このよに正義の味方なんているとはおもっていないけど、組織の上に殺されるかもってのは気持ちよくないね」

「それだけでかい組織だからさ。ほころびもある」

「そんなもんなのかなぁ、俺はきな連れて帰るよ」

「ああ、まちがいなく送れよ。途中で狼になるなよ」

と冗談めかしてないないさんがいう

「狼になんないおとことかいるのかよ。そこの一角だっけ毎日帰りに誰かナンパしてるぜ」

「透視の目を開くんじゃねーよ。俺は生まれの性質上、女にみさかいないの」

と一角君。みさかいないって認めてるよ。もてるんだ。ふーん。


「それじゃみんな、また明日~」

私たちは元気良く外に出たが目立つ目立つ今時平安着物なんて着てるやつはいない。あたりまえだが。私を家まで送り届けるとその日はさすがにそのまま帰っていった。報告とかいろいろあるのだろう。


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