第12話 寝れない一夜

「ただいま、兄貴生活費」

「今回は大金だな。それよりすなみ君の泊まる用意したほうがいいかな?」

「え?まだいるの?」


そーっと部屋を開ける。ねてしまったりしてないだろうか?だが顔を見せると立ち上がってこっちに飛んで来る。狭い入り口で持ち上げられたかと思うと席に下ろされて、やっぱり口付けがふってくる顔中に。

「ごめん俺自分の勉強に集中しちゃってきなの見るの忘れてた。今全部チェック終わったとこ。説明するから座って」

「うん。でもすな。もう遅いよ?泊まってく?」

「きなと一緒に寝ていいの?」

「それはいくらなんでも無理。兄が許しません。客間に布団引くから」

「つまんないの。まぁいいよ。泊まっていくよ」

ちょっと扉まで行ってとびらを開ける

「すな泊まるって!!!」

「おー、わかった」


それから、まだ二時間くらい勉強をする羽目になった。泊まっていくとなったとたんこれだもんな。

「ふーっ、説明終わり。寝ようか」

「手間かけさせちゃったね。案内する」

すなを客間に案内する。口付けしてくるすな。あ、舌が入ってくる。私は受け止めた。もう何度目になるだろうか?そしてすなが言う。


「本当は一緒に寝たいんだよ?」

「うん」

「本当は欲しくて欲しくてたまんないんだよ?」

「うん。ごめんね」

「なにを学生の分際で求めてやがる!」

あ、兄貴

「じゃあ、お兄さんの初体験って何歳のときさ」

それはなにげないすなの言葉、しばらくの沈黙。え、何この沈黙。

「中学2年だよ」

『はえーっ』

声がはもった

「なのになんで今でも独身なの」

素朴な疑問。兄は30歳をすぎている

「人の事はほっとけ」

そう言うと消えた。

「ありゃ婚約申し込んでこっぴどくふられてるな」

「わかるの?」

「ああ、まぁよそくだけど」

「予測かぁ」


とりあえず眠りについた。同じ屋根の下すながいると思うとなかなか眠れない。とどうしよう、もうこんな時間だ。早く眠りにつかなきゃ。戸を叩く音、開けるとすなだ。

「すな、今寝顔でも見に行こうか迷ってたのにどうしたの?」

「お前と同じだよ。寝れなかった」

心臓がドキリっとはねる。

「ちょ、ちょっとかんがえごとしちゃって寝てなかっただけよ」

「嘘付け、ずっと俺のこと意識してたくせに。こんなけ近いともろ伝わるんだよばーか」

「え?………もしかしてすな人の心が読めるの」

「少なくともお前よりはなー。でも読めるんじゃない閉じても閉じても強い思念は飛び込んでくるんだよ」

「それって聞きたくないことも聞こえちゃうってこと?辛いね…」

「きなは変なところで頭の回転速いのな。そんな事きづかなくてもいいのに。とにかくベッドいこう」


布団に入るとのしかかってくるすな。頭の位置が自分より高い。背の低いことやっぱり気にしてるのかな。それとも無意識で抱き位置を決めたのかな。唇が上からくる。新鮮、入ってくる刺激はもっと新鮮で激しい。…止まらない。すなの私を求める気持ちが伝わってきて切ない。同時に抱かれる恐怖をすなは感じ取ってるのだろう。だから口づけはやまない。どうするのか決めたのか唇が離れる。どうじにすなの気持ちも無くなる。


え?どうしたの…。急に重みがかかった。凄い近くで寝息が聞こえる。なんだ起きてるの限界だったんだ。私は微笑んですなを隣にずらした。なんか、やっぱり安心する。そっと抱きついて眠りについた。

「きな、きな。そろそろ起きないと遅刻するぞ。きな」

そう言ってまた口付けが来る。本当にこいつキス魔だ…!!

「んーっ、んん!!」

「やっと起きたか早く着替えろ。ちこく寸前だ」

「朝食は?」

「俺は食べた。布団も畳んどいたよ」

そういうすなはもう行く準備万端だ。着替えようとする。でていかない。追い出そうかと考えたが、昨日のすなの気持ちを思い出す。免疫、免疫。私はすなの前で着替え始めた。


「おい、いい加減起きないと遅刻だぞ」

パンティ1枚の私にすなの姿を捉える。連れ出されて壁にぶつかる音。あーあー、あれは一発殴られたな。走りながら文句を言う。

「本人がゆるしてるのに兄貴がなんで殴るんだよ」

「親代わりだからねぇ。やっぱまずかったかもねぇ」

「ちょっと損した気分だ背中しか見てないのに」

私はあはははと笑いながら加速した。


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