第9話 愛撫

「ほら、ここ、やり直し。これクリアーできないと高校生の問題にとりくめないぜ」

そう私の部屋で言って家庭教師を務めているのは今年学年トップで入ってきた茲一須波(ここいちすなみ)ことすなと呼んでいる。私の彼氏である。運動も出来て退魔にも精通している文句なしのすぐれものなのだか触れる唇が下から来る…背が低いのだ自己申告155cm


触れられた唇に手をやり一瞬頭が真っ白になっていると、バン!と机をノートで叩く音がする。我に返ってすなを見る。

「だからやり直し。口付けくらいで呆けるな。このさき何百回だってすることなんだからさ」

私はムッとする。

「呆けてなんかない。感触が口に残るから…」

「余韻に浸っちまったんだろう。それを呆けてるって言うんだよ馬鹿。国語も勉強しろ」


「わかったわよ。解けばいいのでしょう解けば解く前に口付けしてくるほうが悪いのよ」

すなはかなりのキス魔だ。朝から晩まで隙があればしてくる。彼の言うとおり1年も付き合えば100回は回数超えるに違いない。そして私は同じ問題の同じ場所で行き詰った。


優しく髪を撫でられる。そしてもう一度触れるような口付けをしてくる。訂正1千回超えるかも…このキス魔。

「考え方を変えてみようかさっきはこう教えたね…だけどこう考えてみるとどうだい?理解できそう?」

「あ!解った気がする」

すらすらと解いていく私、解けたと思って渡すと

「よくできました」

そう言ってまた口付けが来る。そしてほいと渡される10問問題。いつの間に作ったんだ。書くのも早い奴。


それをとき終わって、渡すと全部○。やったね。また口付けされて、今度は

「よくできました」

と耳元で囁かれ、舌が耳を愛撫してくる。

「ひゃん」

思わず声をあげて耳に手を触れてしまうと、また口付け…言うのを止めようくどすぎる。だがかれの家庭教師は終わるまでこの調子なのだ。


「一番ネックだった数学が高校問題に入れることでかなり順位も上がってくると思うけど本当にお前馬鹿だな」

「仕方ないじゃんまともに勉強したことなかったんだもん…六歳で親ころしちゃってるもん。学校なんてただ通ってただけだよ」

「その上魔に取り付かれ家族から見放されて苛め続けられてたんじゃしかたねぇかぁ」

すなの何気ない一言だったんだろうけど私は泣きそうな顔をしていたんだろう。

「ごめん。タブーな触れごとだったな」

そう言って再びされる口付けは舌が入ってきて長いこと私達は舌を絡めあってた。


「はふっ」

「効いた?」

「とても……キスが全部ディープだったら回数は減るの?」

「確かに減るかもだけど一回が長くなる。学校や勉強中には向かない…それにお前自身が欲しくてたまらなくなる。結構我慢してるんだぜ?」

「まだ高一のくせに」

「関係あるか。もう抱ける男だぜ」

「背低いくせに」

「関係あるかよ」


「…まだ高一なんだよね。男の子って20歳くらいまで伸びるっていうじゃん。これからかも」

「それは期待しないほうがいいな。母親142、父親160、祖母139、祖父152…茲一家の呪いって言われてる。実際俺は中学三年間1cmも伸びてねぇ」

「あらまぁ、でも奥さん自分より背が低いじゃん。すなも自分より低い子にアタックすれば良かったのに」

「怒るぞ。俺はお前が良かったの。犯すぞ、無理やりするのに20分はかかんないんだからな」

あ、怒ってる。時々すなはマジで私を脅す。過去があるから無理やりはおろか普通にも怖い。


「その経験あるの、なんていうか抱いたこと?」

「あるよ。女は俺をマスコット扱いしてよってくるし、優等生ぶってたから警戒心少ないし、抱かせろって言うと後10cm背が伸びたらねとか笑うのさ。退魔の力で無理やり縛り上げて身動きできなくして抱くの。悲鳴ひとつ上げれなくしてさ。大抵はその不可思議の力に恐怖して自分の中に秘めちゃうんだけど、たまに告げ口しても普段の優等生スタイルと幼顔スマイルが周りを騙しちゃうわけ。経験だけならあるよだから」


「すなも結構…荒れてたんだ」

「魔に取り付かれてない分俺のが性質悪いな。でも勝手に害の無い生き物として可愛がっといて都合が悪いとかわしていく連中が俺は本気で嫌いだった。軽蔑する?」

「散々酷いことしてた私に軽蔑なんてできるわけないよ」

「もう一回していい?」

「いくらでも」

私に口付けするすな。長いこと唇が離れないと思ったら離れたとたん首に唇が移る。触れられると同時に震えだす私。声を出したいのに声にもならない。

「かなり重症だね。治すの大変だぁ。キスマークつけたよ。みてごらん鏡」


鏡をみる私。ぶるっとまた震えが来る。無数の人間に体中につけられた経験、そう忘れるもんじゃない。

「同じにしないで。それは勇気のまじない。犯されたことなんて忘れて。愛する人がここにいる。愛された人に付けられた聖痕だよ」

そこで何があったか察したのだろう。お茶を運んできた長兄の手が声が震えてる。怒りを抑えてるといってもいい。

「きさま、うちの一人娘にてをだして責任とる覚悟はあるんだろうな…」

「もちろん、俺のものにする。あんたら兄弟にもくれてやらない」

これを幼顔なにこにこスマイルでいうのだ怖い。兄貴と火花が散ってるのが見えるようだ。


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