第8話 つきあうことの意味
つきあうことの意味?
「まったくだぜ。ちゃんと俺達つきあってるじゃん。毎日のキスは何のため?」
私は両手ですなの頬を叩いた。
「貴方がキス魔なんでしょうが、どこでもかしこでもひと目も阻まずしてきてこっちの迷惑もしりなさいよ!」
「じゃあなんでほほになんてキスしたの?それこそひと目も阻まず?」
「それは、心から礼をあらわしたかったから…」
「違うね。単純に俺が欲しくなったんだよひと目も阻まずにね。きなが認めようが認めまいがそれが事実だよ。そして互いを求め合ってる。言ってみろよ、キスして欲しいって、自分がどんなけ俺を求めてるかわかるからさ」
「そんなこと言えるわけないじゃん。帰る」
私はきびすを返す。走ろうとする腕をつかまれてすなの胸の中に戻された。
「言うまで返さない」
「そんな無理やりってない…」
「本当に無理やりか試してみろよ」
「すな、私に口付けをお願い…」
「上出来」
向きを替えさせられると唇が触れるそのまま入ってくる舌。私は無意識に反応していたすなを求めて…何度目かの熱い口付けが交わされる。やっと唇が離れると
「はふっ」
と息が吐息となって漏れる。
どうしてこいつは私が求めてるとわかるんだ。おもわず睨みつける。人の心を見透かすようにすなは応えた。
「始めての戦いだから俺と一緒の。異常だろある意味俺達。自分が怖いよな。愛するものにすがりついて自分は捨てられないって確かめたくならないか?」
たった三ヶ月、私にとってすなはそこまで大切な存在になるものだろうか?今まで人なんて受け入れたこと…
「ううん。すなが退魔師じゃなければ私はもっと警戒してたはず」
「俺の感はずれ?」
「うん」
でも、何故だろう、わかんない
「難しく考えるなよ。俺、お前抱きたい。それが素直な気持ち」
「ごめん、まだ、やだ」
「うん。わかった」
まるで木陰からもれる優しい日差しの顔ですなは笑った。胸が締め付けられる。やだ、こんな気持ち。私はまだ傷は癒えてもいないのに。抱かれても終わる日が来るかもしれないのに、怖い、怖すぎる。
「ごめん。すな今日勉強はもう終わり。荷物持ってとっとと帰って、私そこらふらついてるから」
そういうと私は公園に向って走っていった。
「くすっ、本当にかわいい。心を読めるのが自分だけかと思ってるのかね。きな、きみは俺が退魔師だから心を許したわけじゃない。全てを話したあの日からもう俺のものなんだよ。それも忘れちゃってるね。どう思い出させたら傷つけずにすむかな…」
楽しそうに思案しながらすなはきなの家に荷物をとりに行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます