第7話 退魔

今日も勉強をサボって喫茶に来ていたりする。仕事はなさそうなので報告だけして帰るつもりだが…

「そう全部話したの。勇気がいったでしょう。がんばったわね」

と桜が言うと

「この喫茶のことまで話すひつようはなかったんだよばーか」

と男子校に通う一角が言う


「でも今の私が居るのはここのおかげだもん話さないと話が終わらないじゃない」

「まー向こうの素性も知れたんだあいこでいいんじゃないかな茲一須波って言うと小五から実践に出ているここいち家の期待の星だよ。結界を貼らせたらここらじゃ五本指には入るね」

とデーターさん。すなのやつそんなに強いのか。そのことは一切触れなかったからなぁ。


「待っているのでしょう?早く帰ってあげたら」

と桜さんに背中を押されて私は家に帰った。正直真面目に勉強だけなのだ家で違うことと言えば…


後は彼の態度で変わったことと言えばディープ・キスこそしないものの朝逢う時から始まり別れる時にいたるまでひと目も気にせず唇に触れてくる。それは家でも変わらず兄貴達がすなを叩き出す日も近いかもしれないなと思いつつひやひやさせるのだが負の魔のことをだされるとぐっとしか言えず正直兄貴達の評価は悪い。弱いもの苛めもいいところだから仕方もないだろう。


触れるような口付けをして勉強が始まる。もうお開きにして帰ろうかという時間だった。炎火さんたちが動き出した。慌てて立ち上がる私。

「仕事!ないないさんがいればいいけど鏡境(きょうさ)結界を張らないと戦いにならない」

そう言って跳んでいく私。すなも靴をはき走り私に追いつきながら

「それなら俺の十八番だ。敵次第だが無理はするな」


走っていくと途中ぷぁんとした感触にぶつかり通り抜ける。これが鏡境結界だ。だが狭い。ないないさんの結界師の能力は有攻撃結界師と言って重点がかなり攻撃の方を得意とする。私も有攻撃結界師だが私の結界能力の潜在能力は半端じゃないらしい。ともかく炎火さんや桜さんが攻撃しずらそうだ。


結界を広げなきゃ。印を結ぼうとすると

「俺に任せといて」

陰陽師特有の読経が流れ出す。あっという間に10倍は余裕で結界が広がったこれはでかい。私はこの2/3ほどしか広げられないだろう。そう思っているまにほうけていた訳ではない呪を変え印を結んでいた地面に手を付く広すぎて届かないかなと一瞬心配したが無事に鏡境結界まで届く。強化呪文だ。これで少々派手に暴れても壊れはしないだろう。


それを確認してないないさんが攻撃呪文を結ぶ。ないないさんの攻撃は結界吸収だ。アメーバーみたいな敵がどんどん吸い込まれていくアメーバーみたいな敵を切りつけてた桜さんの青葉も焼き付けていた炎火さんの炎も一遍に吸収していく全てを無にしていくまさしく無い無いさんの力だがあれは体力の消耗が激しく三分と持たない。そしてまだ1/3しか吸収してないのに三分経とうとしている。


「すな、結界維持一人で出来る?」

「10分程度ならたぶん」

「上等、私も五分と持たないから行ってくる」

「行ってくるってお前も有攻撃結界者なの?」

「うん、だからないないさんを師匠にしている」

「気をつけろよ得体が知れない魔だ。まるで人が作り上げた気配がする」

「そう言われても、私が出来るのも馬鹿の一つ覚えでね」

それだけ言うと走っていく。


私の結界攻撃はないないさんとはまるで逆だ結界を結晶化して相手に当て爆裂させる。印を結び心で行けーっ!と叫ぶ次から次えと生まれた結晶が爆裂してアメーバーをこま切りの木っ端微塵にする。その間も桜さんと炎火さんの攻撃は続いている。


見物を決め込んでるのはデーターさんと一角君データさんはともかく一角君は攻撃の方法ないのだろうか竹刀片手にもってるとこみると一角は役に立たないってことで物理攻撃をしかけていたんだろうけど…そんな全体把握をしている間も結界結晶の攻撃は飛んでいくみじん切りに完全になったところでないないさんが根性を見せた。もう一度吸収始めたのである。かなり大変なはず。だが今度は綺麗に吸収されていく。あっという間に何も無くなって終了。


ふらつくないないさんを支える桜さんと炎火さん。あー両手に花だ。役得だぁ。私はすなのところへ走っていく。

「もう結界切っていいよ」

「ほいさ。しかしきなすげーな。俺には絶対真似できない。攻撃能力も結構高いんじゃないか?」

「まぁね。だけど消耗が激しくって…」

そのまま私はストンと気をうしなった。


気がつくとすなが呪文を唱えてる。

「気がついたか。治癒系はおれちょっと強いよ。回復ならしてあげられるさ」

「それならないないさんを…」

「きなよりさきに回復かけたよ。あっちのが重症だったからな」

「ありがとう」

そう言うとすなの頬に口付けをした。そうすると顔中に口付けがふって来る。最後に触れるような唇への口付け。

「おいおい、いちゃつくのはみんな消えてからにしてくれ」

「そんないちゃつくなんて…」

喫茶のメンバーが顔を見合わせる。そして一人ひとり好き勝手な方へ行く。最後に残った桜さんが

「ちゃんと教えてもらいなさい。付き合うことの意味を」

そう言って消えていった。


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