第6話 過去 と 思い
私には人には見えない存在が見えること。その日もそんな存在にさそわれて道路に出たこと。両親がクッション剤になり放り出され私はトラックに引かれなかったものの両親は重症を負い病院先でなくなったこと攻め立てる幼い兄弟達。食いしばる兄達。
そこに負の魔が近づいてきて私を慰めた。わたしが彼に慰められ立ち直るほどにはを食いしばって耐えてた兄達もまるで私などいなかったかのように無視をはじめたこと。当然、お金が必要になり負に仕方ないことだ当たり前のことだといわれ家の金を盗み食費や学費にあてていたこと、そのころ突然クラスメイトの態度が変わり生意気、シカトする、喧嘩を売ってる目、汚い、できそこない、不良娘、親殺しとさまざまな理由で苛めがはじまったこと、それは先生にも影響し私は悪い子で懲罰を何度も受けたこと、その度に私は負に慰められクラスの硝子を割ったりクラスメイトの教材を壊したりをはじめ本当に悪い子になって言ったこと、猫にクラスメイトの名前をつけ殺して机の上に置いたりカラスが食べ荒らしやすいように網をはずしたり、苛め返しもしたことその度に集団リンチに合い、服を切られたり針を刺されたり顔を水に漬け込まれたり蝋燭やタバコで火傷をつくったり、そして中二の時には集団強姦にあったこと、そして妊娠と中絶。
その日から私には負の慰めも効かなくなってしまって自殺を繰り返したこと。その度に負が助け私の神経はおかしくなりそうで、とうとうある日人を殺したい衝動に駆られ何本ものナイフをポケットに入れ繁華街でチャンスを狙っていると桜さんに止められたこと私についている負の魔を退治して兄弟や学校に私の特異体質や負の魔に10年とりつかれていたなどを説明し説得してくれたこと兄弟は事実を受け入れ間柄は急速に改善していったのに対し学校はしてきたことに変わりなしとし謝罪も苛めの関与も認めなかったこと。
それでも負がいなくなったことで元凶はなくなったので苛めは終わり報復などを怖がるものは多かったものの向こうから集団リンチなどはなくなったこと強姦で学校にあまり行けなくなっていた私は一年遅れて高校に入学しその間退魔師になる訓練と受験勉強をしていたことを話す。
「あの怪しい喫茶は退魔師の集団か」
「うん」
「霊も魔も見えるのか?」
「気も心も見える」
「基礎レベル100超えてるな」
「すな?それ専門用語何故知ってる?」
「茲一家って言ったら陰陽師の分家の一つだよ。とくに結界に優れた一族だ」
「結界…私やないないさんと同じだ…」
「たぶんフルネームで呼ばれてたら誰かが気付いたさ
それより…お前の始めて欲しかったな」
「ごめん…」
「なんでお前が謝る壊れるほど辛かったくせに。きなは負の魔に完全に食われそうになってたんだ。ぎりぎりのところを桜さん達に助けられたことになる。お前を抱きたくて仕方なくなった」
「ごめん…こわい」
「そのうち欲しくてたまらない気分になるさ、辛い思いをしてるならなおさらだ。それまでまつよ」
「すな…」
「それより、安心した?全部話しても俺は離れないよ。ますます好きになった。ううん、愛おしくなった」
私の眼から一筋涙が流れていく。こわかった話すのが、それがまさか同業者だなんて凄い巡り会わせだ。私はすなを愛していいんだろうか?すなにすがりついていいんだろうか。こんなに汚れてるのに過去は取り返しがつかないのに。私は力を持ちながら負の魔にとりつかれ負にまけた存在だ。言われるままとはいえ随分酷い事もしてきた。それ以上に酷い事もされてきた。
すなの手が顎を持ち首を90度回転させる。伸びてきた首は唇同士を触れさせ舌が唇を割って入ってくる。抵抗を弱弱しくする私に強引に口付けは止まらない。
「つきあうことまで怖がるな。俺達こうして口付けももう交わしてる恋人同士だって公言していいんだよ。お前がどんなにこわがっても俺の心は止まらないよ。心を読めるなら読んでみるといい」
「漠然としかわかんないよ。そんなに強くない」
「強くないんじゃなくて封印してるんだよ。心を読むことほど怖いことは無いから。漠然とでいいから感じてみろよ」
私はすなに集中する絡みととられるようなとても熱い本流に飲み込まれ自分が沈んで行くのがわかる熱くって温かくってそれがどんどん絡み付いてくる。自分の体が熱を持ち心がとてつもなく脈打つのがわかる。私はよく好きな人と居ると心がキュンとするという感じをこの時知った。
気がつくとあつい抱擁といっていいだろう。とても強く抱きしめ包みこまれて居た。私はしばらく動けないまますなの思いを受け止め続けた。
「おい、チビ助……うちの娘になにしてくれてるんだおい」
長兄の何気なくかけられた声はいきなりドスの効いた怒り声になる。ああああっ、フォローしなくては大喧嘩に発展しかねない。でもどうしたら…だが人の心配を他所に喧嘩を売ってくれるすな。
「俺がもっと早くに知り合っていれば負の魔に10年も取り付かせなかった。あれは誰か一人でも心のそこから大事にしてくれる人が居れば簡単に立ち去る魔だ。10人も兄弟が居て誰一人救ってやれなかったあんたたちに俺の行動をとやかくいう資格はない」
「話したのかきなこ…」
「…うん。それで少し弱くなっちゃって抱きしめられてた」
「夕食に誘ってやろうと思ったんだが…悪いが帰ってくれ。俺達も苦しんだんだ」
「どんなに苦しんでもきなほどじゃない。きな帰る。明日までにだした課題やっとけ」
「うへーっ。はい。兄貴話したのは私、怒るなら私にして」
「怒るなんて、俺達になにが怒れる両親を失ったことで不良娘になったとしか思わなかったのに…」
すなはすりぬけて自分の家に帰った。私達はちょっと気まずい夕食をとった。ただ長兄が一言
「きながすなに過去を喋った。うちの一員として受け入れてやってくれ」
と言うと次兄が
「しゃべっちまったのか?全部?」
「全部、話した。桜さん達の事もそしたら同業者だった。同じ結界師。偶然って凄いね」
九男が言う
「それで、大丈夫だったの?姉貴ずっと人との付き合い避けてたじゃん」
「世の中には避けさせてくれない人も居るとおもい知っただけよ。大丈夫、愛されてるから」
「高校生の恋愛なんていつ破局するかわからんぞ」
「それでも私は賭けちゃった。たぶん未来の全てを彼に」
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