若き女性除霊師が、自分の事務所に箔を付けるためにでっち上げた「黒金忠孝」という架空の人物が、なんか本当に発生してしまうところから始まる物語。
王道ど真ん中、真っ直ぐなエンタメぶりが気持ちいい退魔師ものの現代ファンタジーです。
もうあらすじというか、導入からして面白いのだからとてつもない。
どうしたって惹きつけられるエピソード、「存在するはずのない事務所長がなんか普通にいる」という衝撃の場面から始まって、そのまままったく減速することなく最後まで。
当然発生する「誰?」という興味に加え、コメディ的なやりとりの軽妙さが楽しく、もう夢中で貪るみたいに読んでしまいました。面白かった〜!
娯楽作品としての隙のなさがとてつもないというか、本当に物語への乗せ方・引き込み方が巧みすぎて惚れ惚れします。
コメディ成分とミステリ要素(というほどではないにせよ、主人公や怪異への正体の気にさせ方)が見事に調和しながら作用しているかと思えば、そのまま自然な流れで手に汗握る戦闘へとなだれ込んだりして、この滑らかな展開の妙に惚れ惚れします。
特に戦闘の緊迫感というか、「あ、これ本当にヤバい」感がもう大好き。あんなシンプルな描写で、どうしてこんなに敵の〝格〟が伝わるの……?
しかしそれよりなにより気持ち良いのは、やっぱり土壇場での主人公の活躍!
ネタバレしちゃうのは勿体無いので具体的には述べませんが、本当に気持ちいいし格好いいことは保証できます。
とにかく楽しくて格好良くて心地の良いエンタメ作品ですので、胸を張ってお勧めします。こういうお話大好き!