第2話 神のためなら命を賭ける覚悟
神を忘れた人間は、常に何かの奴隷になっているという。
ある人は、酒、麻薬、ギャンブル、憎しみ、復讐心、エログロの奴隷と数え上げたらキリがないというが、人間の創造主である神を離れた人間は、その代理を求めるのだろう。
信田さんは正式に組を脱退したといっても、信田さんに恨みをもっている人やその家族は少なからず存在する筈である。
だって、信田さんは、昔風俗嬢のヒモとなり、暴力で金をむしり取ってたんだから、恨まれて当然である。
しかし、信田さん曰く、そういう人のために、僕は祈らせて頂いているという。
これが僕にできる、唯一のしかし最大の償いだという。
人間いつかは死ぬといっても、殺されるのはやはり怖い。
信田さん曰く
「俺たちはいつ殺されても不思議はないが、恨みや裏切りで殺されたのなら、単なるアウトローの野垂れ死にであり、地獄行きだ。
しかし、神への伝道のために殺されたのなら、それは神のための殉死であり、肉体は死んでも魂は天国だ。俺たちは、肉体が生かされている限り、死ぬまで伝道を続けていくつもりだ。倒れるのを覚悟の上で」
「しかし、たとい罪を犯した者であっても、自分の犯した罪を離れ、私のすべての律法を守り、公正と正義を行うなら、死ぬことはなく、必ず生きる。
彼が犯した過去の罪はすべて忘れられ、正し生活によって生きるようになる。
主である神は仰せられる。私は、たとい罪を犯した者であっても、その人が死ぬのを喜ぶだろうか。
彼が悔い改めて、生きるようになるのを喜ぶ」(エゼキエル18:21-23現代訳聖書)
私はそれを聞いてガゼン、勇気が湧いてきたわ。
私の心身は、性病に侵されても不思議はない筈だったが、今こうして生かされている。
ということは、私も信田さんと同じように、神を伝道できる立場にあるということだ。どうせ死ぬなら、神と共に生きたい。
「体を殺しても、魂を殺すことのできない人間たちを恐れてはいけません。
そんな者たちより、魂も体も、共に地獄で滅ぼすことのできる力を持っておられる神様を恐れなさい」(マタイ10:28現代訳聖書)
信田さんは、牧師を目指して神学校に通っている。
私も、神学校で神様を学びたい。
こう見えても、小学生時代は、優等生だったんだよ。
人生はやり直すことはできる。
一人だけでは無理だけど、神と一緒なら、神と共に生きて天国行きを目指して。
神様、今日もあなたと共に生かされていることを、感謝します。
ハレルヤ
そのあと、口ずさんでいる讃美歌のメロディーを信田さんが歌いだした。
私は主にふれられて 新しく変えられた
イエスの御名を褒め歌おう 私は変えられた
イエスの恵み イエスの愛
なにものにも代えられぬ
主を愛して主に仕えよ 新しい心で
イエスの御名を褒め歌おう 私は変えられた
END(完結)
☆続 神と共に歩む元風俗嬢と元アウトローの十字架 すどう零 @kisamatuma
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