秘密結社、三人団 -神の国計画-
山口遊子
第1話 俺は帰ってきた(I have returned)1
『闇の大神殿』(注1)の落成式で、主催者発表20万の信徒たちの礼拝を受けた俺はあまりの歓喜に気を失ってしまった。
俺は一度も「必ず帰ってくる(
ただ、真昼の月が
俺たちを見ている通行人の服装や気温やそこらから言って今は春?のような気がする。
そんなことより、将来コスプレイヤーとしてデビューしたいわけではないので、今着ている
こら! 勝手にスマホで俺たちを
ビルに挟まれた自動車道の脇の歩道で未だに呆けているトルシェとアズランに、
「ここにいても仕方がないからどこかよそにいこう。とはいえ、先立つものが何もない」
「ダークンさん、ここはいったいどこなんでしょう? 夢を見てるのかな?」
「ダークンさん、私たちを見てる人たちの服装が奇妙なんですけど」
「夢でもなければ、着ている服もあれがここでは普通と思ってくれ。それと、ここは俺がゾンビになる前に住んでいた世界のようだ」
「ここがダークンさんの故郷だったんですか?」
「俺が覚えている俺の世界と若干のズレがあるようだが、おそらくそうだと思う。それよりさっきも言ったがここで通用する金がない。俺はこの世界では何年も前に死んだことになっているはずだし、俺の住んでいた家も貯金も何もかも無くなっていると思う」
「無くなっちゃったものは諦めて。
「残念だが、今までの
「反社勢力というのは?」
「悪いヤツらという意味の、この世界での言い回しだ。だからと言って簡単に殺さないでくれよ、後が相当面倒になるからな」
「はーい。殺さなければいいならそれ相応に」「手足を切り取って身動きできなくするくらいで
「痛めつけるにしても血がたくさん出るようなのは控えてくれ。跡が残ると厄介なんだ。殺しちゃったらコロに食べさせてしまえば何とかなるが、周りに人が大勢いるとマズいからそこは注意してくれ。
ここに立ってても仕方ないから、そろそろ
バカを釣るにはもう少し暗がりで狭い道のほうが釣りやすいから、そこの脇道に入ってみようぜ」
「はーい」「はい」
思惑通りと言えば思惑通りだが、ビルとビルとの間の
倒れているのが既に死んでいるようなら面倒だが、手足がわずかに動いているようなのでまだ生きてはいるようだ。
俺たちは正義の味方ではないが、1対3で一人が痛めつけられているところを見るとやはり、3をどうにかしてやろうという気にもなる。
俺たちが近づいていることにやっと気づいた3人組が蹴りつけるのを止めて、俺たちの方を睨みつけてきた。
注1:『闇の大神殿』
主人公ダークンが信者に作らせた二礼二拍手一礼教の大神殿。もちろん
注2:月が長四角
拙作宇宙SF『宇宙船をもらった男、もらったのは星だった!?』に登場する長さ3.6キロメートル、1辺360メートルの正六角柱型をした航宙艦。国会議事堂上空100キロに滞空している。本作では特に関係ないと思います。
注3:3人
『常闇の女神』ダークンのほか、『闇の右手』トルシェ、『闇の左手』アズラン。トルシェとアズランはともに半神である。二人とも小柄で、特にアズランは小柄である。二人とも実年齢はともかく見た目はそうとうな美少女。アズランの肩の上には6枚羽根のフェアという名のフェアリーが座っている。フェアは正確にはフェアリークイーン・ポイズナーという変異種である。また、ダークンの腰回りにはコロという名前のスライムがベルトに擬態している。コロは、スライム種の最上位種ブラック・グラトニーで、あらゆるものを捕食すことができるほか、凶悪な毒性(腐食、腐敗、即死など)を持った瘴気をまき散らすことができる。
注4:キューブ
正式名称は収納キューブ。いわゆるアイテムボックス的アイテム。3人はこれを所持している。特にトルシェはこれをたくさん所持しており、その中に金貨や貴金属はもちろん、金目の物を大量に保有している。
[あとがき]
本作は異世界ダーク風ファンタジー『闇の眷属、俺。-進化の階梯を駆けあがれ-』、『常闇(とこやみ)の女神 -目指せ、俺の大神殿!』の続編にあたりますが、現代ファンタジーですので主人公たち以外ほとんど関連はありません。主人公は一貫して一人称『俺』です。初見の方は何だか分からないようなものも頻出しますが、注として簡単な説明を付けています。いずれにせよ展開にはさほど影響はないので気にしないでください。
『闇の眷属、俺。-進化の階梯を駆けあがれ-』のあらすじ:
いろいろあって異世界の凶悪迷宮でゾンビとして転生した主人公が仲間を得、ついに進化の頂点を極める。そういった物語です。
『常闇(とこやみ)の女神 -目指せ、俺の大神殿!』のあらすじ:
進化の頂点を極めた主人公が仲間と共に勧善せずに懲悪しつつ信者を増やし、下は商会から上は国までいろいろ叩き潰したり乗っとったりした挙句、大神殿を建立する物語です。
宣伝:
ファンタジー『キーン・アービス -帝国の藩屏(はんぺい)-』
https://kakuyomu.jp/works/1177354055157990850 よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます