第9話

スタスタと歩いている若松君に付いて行くと、倉庫の中を壁で仕切っているバックヤードみたいな場所に入って行く。

『店長代理〜、チョコパ○と新しい味のチュー○は何処だい?』

「はい、若松オーナー!店に誰も居ないですよねぇ?二足歩行の時の声ですけど。チョコパ○とチュー○は冷蔵庫とその前の棚ですよ」

Tシャツにジーンズにスニーカー、そして紺色のエプロンをした、30歳位の特徴の無い男性が、奥から現れた。

二足歩行の若松君と私を見てギョっとして

「秋ちゃん、これには深い訳が有って」

『店長代理、大丈夫だ。横に居る夏ちゃんを見ろ』

「あっ、エリザベス・・・と魔石!この前、オーナーの姪御さんを助けてくれた犬って夏ちゃんだったんですか、なら良かった」

『うん、夏ちゃんの魔石を見ろ。フルチャージだろ?これなら向こうとこちら、数回往き来出来るゲートが開けるから、多目に商品を持って行って来るので留守番を頼むよ』

「分かりました、ではチョコパ○とチュー○を用意しますのでお待ち下さい」

店長代理さんは、テキパキと動きフォークリフト用パレットに品物を積み上げる。

人の背丈ほどの高さになったパレットを見てどうやって運ぶんだろうと、思っていたら若松君が。


『夏ちゃん、収納してくれる?解るよね』


パレットにトコトコと近づいた夏ちゃんが

『収納!』

と唱えるとエリザベスカラーがガシャン、ガシャンガシャン!と変形しなから広がって、パレットと荷物を覆い尽くした。

私のスマホから夏ちゃんの声で

【モグモグ・ゴックン、ご馳走様でした】

と言う不穏な言葉が聞こえた後、エリザベスがガシャン・ガシャンと音を立てて元の形に変化し、消えた荷物の前で

【お腹いっぱい】

の時の顔をした夏ちゃんが・・・

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