第6話

国道16号を走る事、10分。

【総合的市場】と入口看板掲げられている倉庫街にジムニ○を乗り入れた。

古めかしい倉庫街には、食品専門店に手袋や作業着の店、お酒の安売り店、米の卸等、様々な店が並ぶ。

そんな一般お断りの雰囲気の中でも異彩を放つ一軒の倉庫。

その倉庫の看板には

【何でも売ります!買います!グリーンホッパー相模原本店】と書いてある。

うーん、グリーンホッパーってバッタよね?つまりは・・・バッタ屋・・・。

私は、そのバッタ屋倉庫の開いたままの入口前にある駐車スペースにジムニ○を停める。

ジムニ○のドアを開けて降りると続いて夏ちゃんもスルリと降りて来る。


まあ、他の店なら躊躇するけれども、この店のレジ横には、この店の看板犬で秋田犬の若松君がいつも居るので、リードも付けて無い夏ちゃんと倉庫に入る。


「こんにちは、若松君。店長代理は居る?」


若松君は賢いので、店長代理がどこに居るかを聞くと、大体の方向をいつもアッチとか首を向けて示してくれるのだ。

しかし今日の若松君は、私を見た後にエリザベスカラーを付けた夏ちゃんを見てビックリした様に眼を開き、そして夏ちゃんの胸に輝く魔石を確認し、何度かコクコクと頷くと首輪に付けているAppl○ Watchを前足でポチと叩く。

『やあ、秋ちゃんに夏ちゃん、いらっしゃい。夏ちゃんのエリザベスと胸の魔石。この前、車に轢かれそうになった僕の姪を助けてくれたのは、夏ちゃんだったんだね。改めてお礼を言うよ、ありがとう』

と若松君のAppl○ Watchから若い男性の声が聞こえたのだった。


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