給料日にパチンコで全財産失ったら神様が心配して異世界に移住させようとして来たんだが
ルンルン太郎
第1話
パチたろは待ちに待った給料日を迎えた。この10日間、彼は管理している祖父母の家の畑で採れた野菜しか口にしていない。
友人におごってもらった牛丼が貴重なタンパク源。寿司もおごってくれた女性もいたが、女性に支払わせるのは無いという事でそれっきり連絡がない。
彼は飢えていた。38万の手取りがある。食事でも取るのかと思えば、青い顔してパチンコ屋に吸い込まれるように入って行った。
「お、パチたろじゃないか。久々だな」
「マジか。パチたろ今日勝ったらメシおごってやるよ」
「マジかよ! たっさん! うなぎ牛丼な!
980円もするんだよ! 」
「おう! 任せておけアサリ汁もつけてやるよ」
「約束だぞ! たっさん! 愛してる!」
「今日こそ勝つぞ!」
パチンコ屋の常連とそんなやり取りもあったが、たっさんは負けた。
そして空腹と戦いながら打ち続けているパチたろの勇姿を拝みにギャラリーが出来ている。
それは何故か。パチたろが打っているのは高レートの台で、1玉100円だ。当たれば大きいが、負ければ手痛い。つぎ込んだ金が多いとVIPレベルが上がり、高いレートで遊べるようになるのだ。
他にも特典があり、玉を追加で貰えたりするし、VIPレベルがあると特典で素敵なアイテムも貰える。人気の品切れで中々買えないゲーム機や、お掃除ロボット、果ては100万もするテレビや冷蔵庫。
そこまで行く人はまだ見た事ないが、パチたろなら、いずれその域に到達するだろうとパチスロ屋の常連たちは思っている。
「行けパチたろ! 今の状態ならスーパーリーチまでコインがある! 負けた俺のぶんまで勝ってくれ。俺の運を分けるぜ!」
「ありがとよ。たっさん! って負けたのかよ。うなぎ牛丼がぁー!!」
パチたろは調子よく打っていたが、中々スーパーリーチが来ずにコインが少しずつ減っていく。そんな時、来た。スーパーリーチだ。物凄い勢いでコインが減っていく。当たれば大きいが、大量にコインが減っていく。
パチたろは次々とコインを追加していく。これで揃えば全て元が取れる。100万円の大勝だ。だが、30万が消えた時にリーチが外れた。
「あーあ、今日もダメだったか」
「パチたろいいもの見せて貰ったよ」
「く、まだだ! パチスロがダメなら次はパチンコだ!」
「あー来たよ。ダメダメモード。パチたろ今日はもうやめときな」
「いや、次こそは俺が勝つ!」
「本当にやめとけって来月リベンジしようぜ」
パチたろは周囲の常連たちが止めるのも聞かずにパチンココーナに移動した。
常連たちは呆れて帰ってしまった。ひとりで寂しくパチンコをするパチたろ。1万になってしまった。とぼとぼと街を歩くパチたろ。負けた時はいつもひとりだ。孤独だ。腹も孤独ですっからかんだ。空腹でめまいがしてきた。
今度こそ飲食店に行くかと思ったが、違うパチンコ屋に入った。まだ行くか!
「この1万を増やして焼肉食いまくる! これしかない!」
いや、他にも1万円の使い道は沢山あると思うのだが。そしてほんの20分で所持金は700円になってしまった。
もう、うなぎ牛丼の980円すら残っていない。恐ろしいまでのパチンコ愛。いや、パチスロ狂い。これがパチたろの名前の由縁である。
「まだ1円パチンコがある! ラスト700発!」
そこで奇跡が起こった。何と1500円になったのだ。これがあるから彼はパチンコを辞められないのかも知れない。
そして彼は念願のうなぎ牛丼を涙を流しながら何度も美味いと言いながら完食した。残金520円。それをタバコを買うのに使い、残金0となった。
給料日なのに残金0になったのだ。パチたろの今月は地獄。しかも2ヶ月連続だ。この夏の暑さで体が持つのだろうか。
「神宮寺太郎よ。地獄の1ヶ月の間、夢の島でお金を稼ぐつもりはないか?」
「夢の島? 胡散臭いな。誰だよ。あんた」
「わしは誰かと? 神じゃよ」
「はあ? 寝言は寝て言え。俺は帰って畑に水やりしないといけないんだよ。じゃあな。自称神様」
「自称じゃないやい。証拠を見せてやるぞい」
わしは魔法でパチたろを夢の島に転送した。目の前の景色が一瞬で変わるのだ。信じるしかあるまい。
パチたろは目をぱちぱちと何度も開け閉めして、自分の頬を叩いている。相当驚いている。
「何だ。ここは! 水着のお姉さんが沢山いる!」
「そう。ここは夢の島。神の子達のリゾート地だ。ここには金も夢もロマンもある。しかも、ここでの1日は現代の1時間」
「何だって!? つまりここで24時間過ごしても現実の世界で1時間しか経ってないってのか? 最高じゃないか!」
「そうとも最高さ。だが、最高だからこそモンスターも遊びに来るんじゃ。さあ、伝説の武具を貸すから魔物を倒してきておくれ。仲間も奴隷から解放されたばかりの人達を連れて行くといい。彼らもお金が無い」
「え、お姉さん達に食事や飲み物を配るんじゃないのか?」
「そんな甘い仕事な訳がなかろう。現代で甘え過ぎているお前は痛い目を見て稼いだ方がいい」
「く、否定できねえ。俺はただ、じいちゃんとばあちゃんと仲良しなだけだ!」
「もういい。行け。パチたろよ。お前の甘えた根性叩きなおしてやる」
こうしてパチたろの冒険は始まった。仲間の奴隷出身の名前はマナ。レベルは15だ。
〘 力12〙
〘 素早さ18〙
〘 身の守り12〙
〘 回避率5〙
〘 技1〙
〘 魔力58〙
〘 運の良さ258〙
マナは容姿の可愛さと胸の大きさと運の良さでパチたろのパートナーに選んだ。
パチたろの能力はというと、こんな感じだ。
〘力28 〙
〘 素早さ35〙
〘 身の守り28〙
〘回避率50 〙
〘 技1〙
〘 魔力1〙
〘 霊力2989〙
〘精力1800 〙
〘 運の良さ2〙
パチたろはレベル1だというのにかなり基礎能力値が高い。特に霊力が凄まじい。魔法は魔力1なのでほぼ使えないが、特殊能力に目覚める可能性が高く、魔法以上に強力だろう。
能力は悪くないんだよな。これがパチたろに目をかけていた理由である。勇者もやれない事は無い素晴らしい能力値。
しかも男性の少ない異世界で精力1800もあるのもありがたい。うなぎ牛丼を食べたにしても多すぎる。100人抱いても大丈夫。わしの神の子達も増える事が出来る。子供100人目指せハーレム王。
彼は野菜が取れない時期に、1週間水のみで生き抜いたタフな肉体の持ち主だ。それも膨大な精力と関係しているのだろう。
こうしてパチたろの冒険が始まったのだった。
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