第4話 計算機

「翔、会わせたい人が居るから午後、時間あけておいてくれ。」

突然神様に声をかけられ、集中していた俺はビクッとした。

・・・会わせたい人って誰だろう?

いけない!もうお昼だ。ご飯食べて準備しなくては・・・

俺は慌てて食堂に向かった。

昼食は神様の従者の方が用意してくれていた。


「今日から修業をさせてもらってる青木翔です。一番の下っ端ですがよろしくお願いします。」


「幼いのに・・・ 修業は大変でしょうが頑張ってください。5年後、立派な神様になる事を期待していますよ。」


「ありがとうございます。お昼、いただきます。」

朝の俺がつくった朝食とはだんちがいだ。

ゆっくり味わったり、作り方のコツを聞いたりしたかったが・・・

神様を待たせる訳にはいかないのでパパッと食べ終えた。

食べ終え食器を洗い終えた頃、神様から声をかけられる。


「これからオツカイを頼みたいのだが、準備は大丈夫ですか?」


「ハイ すぐに支度をととのえます。」


「いや、そのまま付いてきてくれればいいですよ。だがソコは秘密の場所なのでむやみに人を入れてはいけません。」


「ハイ わかりました。」


俺は神様の後をついて15畳位の部屋に通された。

ソコには鉄の箱の様なモノが並べられて中央の机にはガラスの板の様なモノがたてかけてあった。

そのガラス板の前にはピアノの鍵盤の様なモノが・・・


「ここは計算機室です。この計算機で家を建てるときの建物の強度を計算したり、天気等の気象を予測したりします。」


「はぁ〜 計算機ですか?」


「だが今回、翔にはある街に行ってもらいます。」


「えっ? 計算機で街に移動できるのですか?」


「そのとおり。その街で“ミウ”という人物に会って、5年後に翔が神様になる事を報告して来てほしい。」


「たったそれだけですか?」


「そう、それだけだ。だが、ミウもまた神様の様な存在だ。くれぐれも気をつけて行け。」


神様は鉄の箱のスイッチの様なモノを押した。

部屋の中は異様な雰囲気に包まていくようにかんじた。


“システムが立ち上がりました。これよりAIセバスチャンが案内致します。”


部屋に機械的な音声が響いた。


「いいか翔?この計算機はかなり電気を消費する。この村の電気事情は良いほうだが向うの世界に居るのは2時間までにしなさい。わかったか?」


「ハイわかりました。行ってきます。」


「セバスチャン、今回は俺の代わりに翔がログインする。何も分からないからヨロシク頼む。」

“翔様のログインを許可します。”


俺は神様にメガネの様なモノを頭から被せられた。

次の瞬間、目の前には見た事も無い様な世界が拡がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る