第3話 修業がはじまる
修業は朝4時に起床と共にはじまる。
もちろん神様の食事をつくる事も修行のひとつらしい。
料理とは・・・
食材を見てそれがどんな料理になるか想像する事だと・・・
包丁を使った下ごしらえは手先の訓練となる。
それから・・・ 材料を調理していく時間や順番、調味料も入れる順番やタイミングがある。
火加減も注意しながらこれらを同時にこなしていく。
調理という作業は鍛錬が要る事だと感じる。
こんなにいろいろ注意してやっとつくった朝食も味見してみるとあまり美味しくなかった。
神様は俺の朝食を食べてくれるだろうか?
食べた感想はなんと言ってくれるだろうか?
俺はヒヤヒヤしていた。
「翔、今朝は早起きして慣れない朝食づくり頑張ったね。今日よりは明日、明日よりは一週間後。手際も良くなってくるだろうけど、料理する時は食べる人の顔をいつも思い浮かべて作ってください。」
・・・俺は神様の顔を思い浮かべて料理できただろうか?
修業ははじまったばかりだ、頑張らねば。
朝食後、神様に剣術の指導を受ける事になった。
神様は華奢な身体で剣術なんて全然出来そうにない。
俺は大丈夫か少し心配になりながら木刀を振りかぶった。
その瞬間に俺の胴に木刀があたっていた。
何が起こったか俺は判断できなかった。
「もっと相手の呼吸を読みなさい。」
「呼吸ですか・・・?」
「交渉事もそうですよ。相手とシンクロしてどんな事を考えているかを予測して先回りしなさい。」
「シンクロ・・・?」
「相手と一つになる事です。相手が次に何をするか考えるのです。例えば相手の目の動き、筋肉の動き、癖などを理解する事です。そうすれば、次に何をするか勝手に身体が動いてくれます。」
「まだまだ分からない事ばかりですが・・・ 精進させていただきます。」
俺は呼吸を整えて神様に礼をする。
神様は俺の呼吸が戻ったのを見てきりだした。
「さて、これから書庫を案内します。翔の最も重要な修行になるので気を引きしめてください。」
地下室の鍵を開け階段を降りていく。
想像していたより長い階段だ。
薄暗い階段を降りきって部屋の扉を開けた。
あれ?意外と明るい。
50m四方くらいありそうな部屋に棚が整然と並び、その中には本が詰め込まれていた。
「これが“神の秘伝書”だ。この中に日向村を護っていく智慧が詰め込まれている。5年間しっかり学んでください。」
俺が神様になる日が来るのか不安になった。
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