第2話 神様見習い

生贄の儀式は神様の廟で厳かに行われた。

100年前のココは神社と呼ばれていた様だ。

神様の従者の方が神楽を舞って俺をまねきいれてくれた。

周りには村の重鎮と思われる人々が30人程、集まっていた。

白装束を着た俺は神様の前に歩み寄り膝まづいた。

神様は俺にお祓いの儀式をはじめる。

それが終わると俺は生贄の場所に案内される様だ。

どうやらそれは“家康”とかいう数百年前の偉人の墓がある場所らしい。

猫の彫刻のある門を俺はくぐらされ、神様と共にその偉人の墓に連れて来られた。

そしてその墓に神様と共にお参りを済ませる。近くには地下室の入口と思われる場所があった。


「君にはこれから5年間、主にこの場所で修行してもらう事になる。」


「えっ? 私は生贄なんですよね?」


「そのとおりだ。この日向村ひなたむら3000人の生贄となってもらう。」


「たしか今、修行と仰りましたが・・・」


「これから君には5年間修行してもらい5年後私に代わって神様になってもらう。」


「えっ? 私が神様に・・・」


「そうだ! 神様の任期は20年だ!」


「俺なんかが神様になれるのでしょうか?」


「心配するな。これから入る地下室には神様の指南書が百万冊ある。本当の神様はこの指南書だ。君はこの指南書を活用して村を運営すればいい。つまり修行とはこの指南書を全て読んで活用できる様になる事だ。」


「百万冊の指南書を5年間で読破?しかも活用ですか?」


「そうだ! 私でも出来ている事だ。君に出来ない事ではないだろう?」


「神様となる自信がありません。」


「心配するな! 神様は指南書だ。君は指南書に書かれている事を実行するだけでいい。だが君は神様だ、君の判断は時として村人の数百人の命を奪う事もある。神様は時には村人の主として、時にはシモベとして行動しなければならない。さぁ覚悟を決めなさい。」


「私は生贄の人です。日向村の人々の生贄として神様になれる様、死ぬ気で頑張らせていただきます。」

俺は覚悟を決めた。

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