生贄の人
アオヤ
第1話 生贄に選ばれて・・・
地球は二度目のノアの箱舟級の水害に見舞われる。
海抜は2020年当時より20mほど上昇した。
世界の大都市はみんな海の底に沈み人類は混乱や争いに明け暮れる日々か続いた。
やがて、山間部に残った人類は最初こそ混乱したが、徐々に独自のコミュニティーを形成していった。
それまで普通に使われていたお金は価値を無くし、人々は物々交換で日々の必要品を得ている。
そんな大災害から100年くらい過ぎた頃、独自の発展を遂げた集落が現れる。
その集落は神様と呼ばれる
食料の分配、医療、占い、村の開拓、他所の村との交渉事、村を運営するほぼ全てを・・・
そして、神様が決めたことは全てが正しかった。
村人は神様の指導により、他の地よりこの村が豊かになった事を実感する。
村が豊かになるに伴って、神様は村人から絶対的な信頼を得ていった。
そんな豊かな村ではあったが、20年に一度生贄の儀式が行われる。
生贄となる者は10〜15歳の子供だ。
子供達は神様の廟に集められる。
生贄は神様と子供達が様々な質問を交わした後に神様から指名される。
村人は神様に生贄を捧げる事になんの疑問も持っていなかった。
それどころか選ばれた者に「神様に選ばれて生贄になるのだからこんな名誉な事は無い。」などと、選ばれた者の考えは全く無視される。
俺、青木翔❨10歳❩は神様に様々な質問を受けている。
目の前の神様はジンベエの様な浴衣の様な和装の服を着て、狐のお面を付けていた。
みんなを厳しくそして優しく見つめる目だけが光っていた。
声は低く澄んだ様に響いた。
「最後にひとつ・・・ 君は村人、三千人の幸せを願って喜んで生贄となる事ができますか?」
俺は少し悩んだが「私には親がいません。人々がどんな時に幸せを感じるのかよく分かりませんが、私を育ててくれた村人が幸せになるなら・・・ よろこんで生贄となります。」とまっすぐ神様を見つめて応えた。
「よろしい。君を次の儀式の生贄に指名する。」
神様からの無情な宣告を俺は受ける事となった。
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